2020年に世界で生み出されたデータ量は?
50兆ギガバイト(50ゼタバイト)だそうです。これはYoutubeのHD動画57億年分に相当するらしい。
本書はデジタルがリアルを脅かすという。
2つの脅威がある。1つはフェイク。もう1つはプライバシーです。
1つめの脅威、フェイク。ディープフェイクなポルノとか。あとスパイ関連。アメリカの選挙や台湾の事例。やっぱデジタル大臣は台湾のオードリータンみたいな人がいいみたい。
本書は6人のNHKディレクターが共同執筆しています。NHKスペシャル取材班の本って、けっこう深いです。何冊か過去に読書メモ残してる。幽霊とか、ジョブズとか、心理学系とか。
もう1つの脅威、プライバシーに関しての読書メモを以下に。
グーグルテイクアウトでデジタルツイン解析できて丸裸になる
「グーグルテイクアウト」でダウンロードできるデータの種類は47(2020年3月時点)。インターネットの閲覧履歴、本人の位置情報、動画の視聴履歴、アップした写真や動画、電子メールのやりとり、予定表(Googleカレンダー)など多岐にわたっている。
あなたの住所や家族構成、身の回りの人も知らない趣味や年収、病気、異性関係まで丸裸にできる時代になった。
じつはスマホの利用履歴のデータさえあれば、「デジタルツイン」というもう1人のあなたをデジタル空間に作り出し、あなたの人物像を解析することができる。
今回NHKは実験を行った。実験した会社とX氏に面識はない。実験を行うためにX氏にグーグルテイクアウトの使い方を教え、自らの利用履歴をダウンロードしてもらった。そのデータをUSBメモリに入れて実験チームに提出。デジタルツインを作る実験を開始した。
実験チームがX氏から受け取ったGoogleのデータは9年分。それでもデータ量は2.74GBに過ぎない。実験チームは「2.74GBあれば、本人に会わなくても、大体X氏がどこに住んでいるか、職業、趣味まで丸裸にあぶり出し、デジタルツインを作れる」。
まず解析したのはX氏の位置情報。同意していればGoogleはあなたがいる場所を24時間記録している。そしてスキー場をよく訪れる人に対し、youtubeでスキー用品の広告を表示する。
位置情報は2種類ある。「いつ、どこに行ったのか」「移動速度と移動形式」移動速度は計算され、電車の確率は78.37%とまで解析されている。
じつは位置情報だけで家族構成も年収もわかる。人物像をざっと把握するには、直近1週間の位置情報で事足りる。
X氏の最多の位置情報は大阪市西淀川区のある特定のマンションから発信されていた。これにより実験チームはX氏の自宅とみられる物件を突き止めた。位置情報には高度の情報もあり7~8メートル。フロアは3階が推測される。
マンションが特定できれば住宅情報サイトで検索。築30年以上の賃貸マンション、間取りは1K、部屋の広さは30平米。これらの情報からX氏は独身か単身赴任ではないかと推測される。
そして家賃。家賃の3倍を月収と仮定すると年収も推測できる。
時間帯による位置情報で勤務先もわかる。X氏の場合は1人暮らしのバー経営者ということが分かった。
位置情報から様々なことがわかる。フットサルコートによく通う。春になると耳鼻科に通う。ラブホテルによく行く。趣味、病気、恋人の有無といつ別れたか。
もちろん検察による捜査でも使われる。2020年6月河合法務大臣と妻の案里参議院議員が逮捕された事件。地元議員らに任意で提出させたスマホの位置情報解析から判明した。
第2段階はGoogleフォトのAI解析。まず本人の顔の確定。AIは性別年齢を自動算出する。X氏の場合の誤差は1歳だった。
あなたは人生で最初にグーグルで検索した言葉を覚えているだろうか?グーグルテイクアウトを使えば簡単に確認できる。X氏は9年間で3万5765回検索していた。
実験チームは第3段階として検索履歴の解析に着手した。マイアクティビティは本人が消去しない限りデータは残り続ける(2020年6月から検索履歴と位置情報は18カ月までに短縮した。プライバシー保護)。
3万を超える検索履歴。人間の作業量を超えているのでAIに読み取らせ、1年ごとにどのような単語が多く検索されているか、X氏の人物像に迫った。
検索履歴の解析からは以下のことが分かった。X氏は2018年7月に東京で脱サラし、10月に職業訓練校で観光について学んだ。2019年に退校し、単身引っ越しパックを使って大阪市に転居。物件を居抜きで借り上げ、4月にバーを開業。
その後の解析でも多くのことが判明。生活保護の検索、各種サービスの解約情報などから貯金や財布の中身がわかる。食習慣、病歴、趣味、好きなマンガ、好きなタレント…。実験チームのつくったデジタルツインは以下。
ポケモンGOは位置情報を狙っている
運営会社の狙いはあなたの位置情報を得ること。位置情報があれば上記の実験のとおり、ユーザーの人物像をかなり推定できる。
従来の資本主義は私たちは選ぶ側だった。新たな「監視資本主義」で商品になっているのは「私たち自身」。
商品は供給過剰となり先進国では需要は頭打ちになった。モノが売れる時代は過ぎ去った。そこで現れたのは「あなたはこれが欲しいのでは?」と購買意欲を刺激する、Googleによるターゲティング広告だ。
私たちが無料のサービスを利用すると、関心、趣味、嗜好が推定される。この「私たち自身」を表すデータに、大小さまざまな企業が殺到し、巨額のカネを巨大IT企業に支払う。
市場の中心がモノではなく、「デジタルツイン」になってる。それが「監視資本主義」だ。
2019年度のGoogleの決算
「グーグルを使うたびに、Googleはあなたについて詳しくなっていく」
Googleは1998年カリフォルニアで創業。現在の利用者は検索サービスは10億人(2017年公表)。地図アプリの月間ユーザー数は10億人以上(2020年公表)。Youtubeは20億人以上(2019年公表)。
優れた広告技術は人々の購買意欲を刺激して経済を回す。利用者の側も広告ビジネスのおかげで、検索サービスや地図アプリなど便利なサービスを無料で利用できる。
2019年のGoogleの決算によると、Googleの収入は1607億ドル(16兆6千億円)、このうちインターネット広告収入はおよそ1348億ドル(13兆9千億円)。
グーグルの経常利益率はいつも約30%ほどです。これはブログ広告のクリック単価で広告主が支払うのは1クリック約30円。僕たちのようなブロガー(サイト管理者)の収入が約20円。Googleの取り分が約30%の10円程度だから(YouTube広告も似た感じ)。
あまりにも利益率が高くて株主につつかれるので、クルマの自動運転とか新規事業にムダ遣いして、利益率を25%ぐらいに下げてる。株主は未来への投資を求めます。
しかし15年前、ネットの四角い広告が、こんなビッグビジネスになるなんて想像だにしなかった。2005年と比べてGoogleの売上は30倍になり、利益率はほぼ維持されています。2020年12月期は1825億ドルと前期比14%の増収です。コロナ下なのに順調。
Norah Jones で Flame Twin♪ なんとくデジタルツインのこと歌ってるような気がします。ソングミーニングスにも解釈コメントがまだないので、英語圏の人がどう解釈してるかは不明ですが。珍しく日本語訳ビデオが公式にあったので。ありがたい。
ノラのお父さんは、ビートルズのジョージハリスンに影響を与えた、インドのシタールの師匠です。アラフォーになったノラを見てると、めっちゃお父さんの若いころに似てきた。
ね、めっちゃ似てるでしょw
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donさん、こんにちは。
大阪も宣言解除になるようで、何もかもこれからですねえ。
若い人は頑張るしかありませんからね。
こんな試練、ぼくは経験せずに済んで本当にラッキーでした(笑)
さて、グーグルですか。
ぼくは過去にも申し上げたようにグーグルは大嫌いです。
しかしこの企業グループの功績は大きい。それは認めますよ。
「グーグルテイクアウト」
こんなものがあったんですね。
昨夜ざっとダウンロードして中身を見てみました。
いやあ、微に入り細に入りですねえ。
幸いなことにぼくのグーグル依存度合は極めて小さいので、
データは比較的スカスカでしたけど。
悪いことばっかりしてる人には恐喝のネタにも使えそうだ(笑)
>家賃の3倍を月収と仮定すると年収も推測できる
これは誤差が非常に大きいと思います。
家賃の3倍が月収という基準は、どこから来ているのでしょう?
統計的にそういうモノサシが存在するのでしょうか?
例えば家賃10万だったら月収30万、年収360万ですか?
ぼくのイメージとはかなりかけ離れてる気がするけど。
更に、同じ団地、同じマンションに住む人の年収が同じだなんて
そんなことは高い確率でありませんよ。
ま、だけど、位置情報は本当に危険な情報ですよね。
生活のほぼすべてが位置情報に含まれますからね。
位置情報を抜かれるとちょっとややこしいことになります。
特にグーグルみたいな企業に位置情報を握られたらまさに恐怖。
Google Maps Timeline でしたっけ?
あんなものの設定は間違ってもONにしないほうがいいです。
怖すぎですよ、真面目な話。