そろそろワールドカップです。
本屋のサッカーコーナーを覗くと、たくさんの本がありました。ネイマールjrの本が2冊もあって目立ってた。よく知りませんが、たぶん今大会一番の注目プレーヤーなのでしょう。
一読して思い出したのはイチローでした。本人の努力もあるでしょうけど父親がすごい。まだ歩けないときからサッカーボールを与え、ボールと共に育ち、家にはボールが50個以上もあったそうです。
決して裕福な家ではありません。父親ネイマール(1965年生まれ)はサッカー選手として順調にキャリアを重ねてましたが、これからという20歳のときに重度の結核にかかります。プロとして続けることを断念し、父親の営む自動車修理の仕事をします。その後3部リーグからオファーをもらい再びサッカー選手となる。
とはいえ平日は工場で働き、週末だけのサッカー選手です。24歳のとき(1989年)に2部リーグのチームと契約。27歳(1992年)でネイマールJrが誕生します。ネイマールが4ヶ月のときに一家で大きな交通事故にあう。
ネイマールJrは軽症でしたが、父ネイマールは骨盤の脱臼で4ヶ月寝たきり、歩けるようになるのに1年かかったそうです。このときの怪我が選手寿命を縮めたのか、32歳で引退。その後は様々な仕事をしながらネイマールJrを育てます。生活は厳しく、時には電気代も払えず電気を止められロウソクで夜を過ごしたこともあると。
本書は2人のライター(ジャーナリスト)が父と子に取材し、それを書き起こすというスタイルです。父と子のインタビューが交互に記載されている。ライターが書いてるので、とても読みやすく面白い自叙伝になっています。
読んで思うことは、ネイマールJrは素晴らしい好青年だということ。父親の教育の賜物です。サッカーのテクニックだけでなく、人としてどう生きるべきか、サッカー選手としての心構えなんかを教えています。自分の経験したことを息子に叩き込んでいる。
ネイマールJrのサッカー脳は、父親の教育のおかげでベテランの域に達してる部分があると思う。こういう選手は強いですよね。「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のキリヤみたいなものか。現実の世界では個人が記憶を過去の自分に対してループさせることはできないので、父の経験値を子に受け継ぐのが最良無比の方法かと。
ブラジルスポーツ界最大のアイドル、ペレの再来、サッカー王国ブラジルの22歳の若きエースは、今大会どのような活躍をするのでしょう。順調にいけば後3回はワールドカップに出てくるかもしれません。ネイマールjr時代の幕開けとなるのか。以下に印象に残った部分を。
サッカー人生のはじまり
父親の試合を見に行き、観客席を上から下へ走り回ってたときに、ロビーニョを見出し育て上げた名コーチ、ベッチーニョの目に止まった。
「あの子の親はいるかね?」走り姿だけで将来選手としてやっていけると判断し、「自分のチームの練習にあなたの息子さんを参加させたい」と父親に話した。
父親の教えの一部
・ドリブルを無駄にしてはいけない。
・常に責任を持ってプレーする。
・対戦相手をリスペクトする。
・「時にはサイドチェンジをしたりして、両サイドのスペースを広く有効に使って動くことだ。そして相手DFを止まらせず、疲れさせるんだ。そのためには自分が止まってはいけない。相手にとって楽なポジションをとってはいけないんだ。それができれば相手DFのマークを外して、自分のプレーができる」
・「中盤で華麗なリフティングをすることでゴールは決まらない。テクニックにおぼれて余計なプレーをすることは、多くの場合はマイナスを招く。その結果、そいつはチームメイトから非難され、監督からは叱責され、ファンの怒りを買うことになる」
パナソニック
私がこれまでに経験した仕事は、誰に対しても誇れるものだと自負している。何をおいても家族を食べさせていかねばならない。そのためならば最低賃金で働くことだっていとわぬつもりでここまで勤め上げてきた。
これは余談だが、ネイマールJrがパナソニックのCMにでることになった時の驚きは大きかった。薄給を補うために、私はかつてパナソニックの浄水器を売る仕事もやっていたのである。不思議な縁を感じた。
ネイマールjrの刺青
僕の腕には息子の名前「ダヴィ・ルッカ」と、彼の生年月日「2011年8月24日」が入っている。
そして首のまわりには「神の祝福」、左腕には母の名前「ナジーネ」。
右腕には妹の名前「ラファエラ」、左手首には「神と信心」、左くるぶしの少し上には「大胆さ」、その裏側には「歓び」、右腕には王冠のマーク。
他には「ハート」、「無限のシンボル」、聖書の「コリント人への手紙」の一節も入ってる。そして胸の下には僕の偉大なアイドルでもある、父親の名前「ネイマール」が刻まれているんだ。
⇒刺青って不良のイメージがあるのですが、母親、父親、妹、息子の名前を刻んでいた。
「読書感想文」のために本記事を読まれてる方へ。
内閣総理大臣賞受賞作には、同じ特徴がある。
①読書体験と「自分の生活体験」を重ね合わせていること。
②読書体験によって自分は変わった(変わろうとしている)と述べていること。
同コンクールの入賞作すべてに共通した特徴ともいえる。読書感想文は書評ではない。あくまで読書という「体験」を題材にとり、「私」を主人公にして綴られた学校作文=私ノンフィクションの1バージョン。
ネイマールのことについてよく知れてとてもよかった