「定職をもたない息子への手紙|ロジャー・モーティマー」の感想

2012年イギリスのベストセラー。

「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」を思い出しました。あちらは、立派なビジネスマン(経営者)の父親が、立派な息子へ出した私信です。すごい良本で名言もザクザクです。

こちらは読書メモになるようなものはなかった。だけどすごくいいんですよねぇ。読んでると愛情が溢れている。息子を案じて苦悩しながらも、ユーモアを忘れない。

1967年から1991年まで25年間、父親が息子へ出し続けた私信です。父親はダメ息子を心配して、ずっと手紙を出し続けている。どんなふうにダメかというと、名門イートン校を中退して、転々と職を変えている。途中逮捕されたこともある。

非常に共感する部分が多いです。順風満帆な子育てしてる人には、どうでもいいことかもしれないけど。

この本がベストセラーになったのは、子育てが思うようにならない人が多いからだと思う。子どもたちは、大なり小なり親の思うようにならない。ま、そりゃそうですよね。自分自身のことも思い通りにならないし。

「親元を離れて寮生活を送る息子に父が一通目の手紙を出したのは、1967年となっている。そのとき父ロジャーは58歳。まだ活力に溢れていた時期である。しかしいつまでも親を安心させない息子への手紙は、やがてみずからの老いの現実を受け入れ、しみじみした調子をおびていく。」

父、ロジャー・モーティマーは英国競馬の解説者です。サンデータイムズでの競馬解説やBBCでのコメンテーター、競馬ギャンブル会社のPR担当を務めました。

どんな手紙か、以下に少し紹介。

逮捕された時の手紙

名門イートン校を中退するときの両親の苦悩も興味深いですが、ハイドパークで行われたストーンズのコンサート会場で、ドラッグと折りたたみナイフ所持で逮捕され、ニュース紙の一面を飾った後の手紙は以下。

「私はどうにかなりそうだ。母さんもどうにかなりそうだ。なぜ私たち家族ばかり、こんな目に遭わなくてはいけないのか。どうか、どうか、少しでも将来どうしたいのか、そのためには何をすべきなのか、ちゃんと考えてみて欲しい。

まずは、お前が後生大事にしているその自転車からなんとかしてはどうだろう。そんなものを買うと知っていたら、私は40ポンドも渡さなかったぞ! 元気で」※父の言う自転車とは、息子の溺愛してたホンダモンキーのこと。

父親の世話で陸軍士官学校に入ったものの5日で辞めてしまった後の手紙

「~前略~お前と親子としていい関係を作ってくることができなかったのだと思うと、私は本当に胸が痛い。母さんはまだお前が子供だったころから、本当に深くお前を愛してくれていた。だから苦労やショックや悩みごとにまみれたこの数年間で、お前の想像を絶するほど深く傷ついてしまった。

その疲労と絶望とで、母さんは夢も希望も失ってしまうことになったのだ。それもこれも、母さんがお前を心から大切に思っているからだよ。

~中略~お前がひとことも相談せずにモンス(士官学校)を辞めてしまったことには、計り知れないほどに大きなショックを受けた。あのとき言ったとおり、私とお前との関係も、もはやこれまでとすら思った。~~どうか、その日暮らしをやめて、先のことを少しでも考えてほしい~~」



仕事を1週間で辞めて、悪評の絶えない友人と南米旅行に行くことになったときの手紙

「~前略~ベネズエラあたりで麻薬中毒になろうものなら、お先は真っ暗だ。母さんはあのとおりものすごく神経質な人間だから、家族の問題で心労をかけ続ければ、ただごとでは済まなくなってしまうのは、お前の歳になれば分かるだろう。自分が母さんを苦しめようとしているのだと、肝に銘じておきなさい。その結果、苦しみはお前ではなく、私にのしかかってくるんだよ。

~とにかく私は苦しくて、つらくて、不安でたまらない。言わずもがな、母さんもお前の事でずっと頭を悩ませ、胸を痛めてばかりだ~~」

30歳の誕生日に息子へあてた手紙

「失敗知らずの人生よりも、失敗のある人生のほうが価値のあるものだ。理想に燃える人びととは、理想を持たぬ人びとと比べ、同世代で成功している人びとを見て、嫉妬心を抱いたりして不幸なものだ。 ~~

もしもう一度人生をやり直せるとしたら、私は海からほど近い地方の大学で、歴史学部の学部長になる道を選ぶだろう。そしてたっぷりの休暇を読書に費やし、大学があるときには、サンダルばきとひげ面でやって来る、マルクス主義の学生たちをいじめて過ごすのだ。 ~~ 母さんはとても元気がなく、誰にでも、特に私に、当り散らしている。」

あんまりブラックユーモアの部分を紹介してませんが、イギリス人特有の、大阪風の自分を落とした笑いが満載です。それとどんな困難な状況でも笑いに変えてしまっています。典型的な中産階級のイギリス紳士だからでしょうか。

don
don
みなさんは、家族に手紙を書きますか?
うちは手紙というか2人の息子たちと、LINEやGメールをしています。

彼は父から英国式教育で育てられた♪
寄宿舎学校に入り♪
ベッドで父からの手紙を読む♪

ムチの感触と神への恐れは♪
少年を大人に育てる♪
少年は誰かのルールで生きる方法を学んでいく♪

やがて彼は仕事を得て♪
結婚し家を持ち♪
彼の息子に対して♪
父からされたのと同じ方法で教育する♪
それはチェーンのように繋がっていく♪

リックスプリングフィールドでLike Father Like Son♪

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