ゲーテのファウスト。初めてぜんぶ読めた!あらすじと解説

「魔女」という言葉は、もともと日本語にはなかったようです。

1913年。森鴎外が「ファウスト」を翻訳したとき、ドイツ語のHexeに「魔女」という訳語を当てたのが最初とのこと。へ~。初めて知りました。

「ファウスト」ご存知でしょうか?白取春彦の書評から引用します。

どんな人生論を読むよりも、ゲーテのファウストを読んだほうが、男の一生というものがよくわかるのではないか。なぜかというと、男が人生のうちでやりたがるほとんどのことを、主人公ファウストがやってみせてくれているからだ。

若返り、少女との恋愛、冒険、政治、国土の開発などに彼は果敢に挑み、そして手痛い矛盾にがく然とし、最後に彼は、自分が本当にすべきことだった希望の光を見て死んでいく。

悪魔に魂を売った中世の学者ファウストが若返り、男の人生冒険をくり返し、すべてのことに失敗して死んでしまう話だ。

6年ほど前にこの書評読んで、何度か挑戦したんですよ。4冊目で初めて完読できました。笑

アマゾン見ればわかるように、いろんな人が翻訳してます。

最初に読んだのは天下の森鴎外。キンドルで0円やったから。これが苦痛でした。まったくおもんないし。なんかマルクスの「資本論」読んでる感じです。挫折。

次に読んだのは図書館にあった新潮文庫版。これも読了できないまま返却。なぜか全然おもんない。小説はエンタメやのに。何のための読書なのか。

3冊目に読んだのは現代語訳。キンドルオーナーライブラリーでは、月に1冊まで2万冊が無料なので。

それなりに読みやすかったので、半分くらい読めました。それから読むのが苦痛になった。なぜか?

①ファウストは「戯曲」=演劇の台本です。小説じゃない。解説がないと読みにくい。

②マルガレーテの名前の呼び方がコロコロ変わるので、意味が理解できなくなる。



「史上最高に面白いファウスト」の著者曰く、原書では第一部「マルガレーテの部屋」からマルガレーテの呼び方が愛称の「グレーチヘン」に変わって、第一部最後の「牢獄」でふたたびマルガレーテに戻す。なぜ変えてるのかゲーテの真意はわからないと。なので本書では「マルガレーテ」に名前は統一されてます。たったこれだけでずいぶん読みやすくなりました。

ファウストは悪魔と賭けをした

神(主)と悪魔(メフィスト)の賭けの対象がファウスト。

神(主)が「わしのしもべ」と呼ぶファウストのことが、悪魔(メフィスト)と神(主)の会話の中で話題になる。悪魔(メフィスト)もファウストのことを知っていて、篭絡できるか「賭けましょうか?」と神(主)にもちかけ、挑発を受けた神(主)は、あっさり応じる。思いがけない神(主)と悪魔(メフィスト)の「賭け」が成立する。

神と悪魔の賭けは、旧約聖書の「ヨブ記」の中に前例となりそうな話があり、ゲーテはそれをヒントに使っている。

そしてメフィスト(悪魔)とファウスト(人間)の賭けも成立する。

(賭けの対象)
「時間よ止まれ。おまえは美しい」とファウストが人生に満足して言えば悪魔の勝ち

(悪魔が捧げるもの)
現世でファウストの召使となり、ファウストのあらゆる欲望を満たす

(ファウストが捧げるもの)
ファウストが満足して「時間よ止まれ、美しい」と言ったら、やり直しの人生に満足したこととなり、ファウストは死に、地獄に落ちてメフィスト(悪魔)のしもべとなる

なぜファウストの2部は、死後に発表されたのか?

ゲーテが24歳から82歳までの60年間、亡くなる直前まで生涯をかけて書き上げた大作「ファウスト」。作中の「芸術は長く、命は短い」「時間よ止まれ、おまえは美しい」「人間は努力する限り迷うものだ」は、詩聖ゲーテの名言として広く知られている。

ファウストの2部は、ゲーテの遺言により死後まで発表されなかった。

詳細はラストシーンに関わるので書きませんが、内容がカトリック教会にとって許しがたいものだったから。ゲーテが生きた1700年代後半1800年代にかけてのヨーロッパは、キリスト教の全盛期。ファウストは当時の社会常識を大逆転する結末だった。教会権力が支配する体制に、断固たる反抗をしめしたことになるから。



ドイツの光源氏こと恋多きゲーテ

転記するのも大変な女性遍歴。なので後学のために貼っときます。セックス依存症だったオジーオズボーンとか、晩年までロリコンだった一休さんみたいなもんでしょうか。

フランクフルトのグレーチヘン、アンナ・カタリーナ、フレデリーケ・ブリオン、シャルロッテ・ブッフ。しかし初恋の女性の名前を、ファウストに「グレーチヘンの悲劇」で14歳の少女として登場させるとは…。

ゲーテの女性遍歴

アンナ・エリーザベト、シャルロッテ・フォン・シュタイン夫人、マッダレーナ・リッジ―、クリスティアーネ・ヴルピウス、

ゲーテの女性遍歴

晩年のゲーテの主な女性。74歳で19歳のウルリーケに求婚したが拒絶される。

ゲーテの女性遍歴

ゲーテは女性と恋に落ちるたびにその体験を昇華させ、数々の名作を世に送り出しました。

ファウストは「永遠にして女性的なるものがわれらを天国へ引き上げる」という言葉で終わっています。’’やっぱり女が最高’’って意味でしょうか。一休禅師と同じ境地に達しています。笑

ファウストを元にした音楽は、たくさんあります。シューベルト「糸を紡ぐグレーチヘン」、ムソルグスキー「蚤の歌」をはじめとして、ワーグナー、リスト、シューマン、ベルリオーズ、マーラー。

歌詞見てると、どう考えてもモチーフです。この曲の作詞は矢沢永吉じゃないです。

時間よ止まれ 矢沢永吉 資生堂 アクエア・ビューティケイク

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『ゲーテのファウスト。初めてぜんぶ読めた!あらすじと解説』へのコメント

  1. 名前:のべる・K 投稿日:2022/02/14(月) 15:09:10 ID:8eed5413d

    日本に「魔女」という言葉がなかったのは意外でしたね(でも、いわれてみれば確かに・・・)。
    確かに、Hexeは魔女という意味です。最近ドイツ語にハマっているので知ってますよ(笑)。

    「ファウスト」はまだ読んだ事はないのですが、機会があったら見てみたいです。
    因みに、「ゲーテとの対話」も面白いですよ(笑)。

  2. 名前:don 投稿日:2022/02/15(火) 21:02:58 ID:152fb53eb

    のべる・Kさん、こんばんは~
    「ゲーテとの対話」ですか。読んだことないです。
    図書館サイト見てみたら上中下の3巻構成でした。
    とりあえず上巻予約してみました。ご紹介ありがとうございます。