「村上T」読んで。書評というか感想

村上T

雑誌ポパイの連載をまとめたもの。

『「そういえば、Tシャツのコレクションみたいなこともやってるんですよ」とぽろりと口にしたら、編集者に「村上さん、それでひとつ連載をやりませんか?」と持ちかけられて、言われるがままに雑誌ポパイで1年半ばかりTシャツねたで連載することになった。それがこのように1冊の本にまとめられたわけだ。

とくに貴重なTシャツみたいなものがあるわけでもなく、芸術性がどうこうというものでもなく、ただ僕が個人的に気に入ってる古いTシャツを広げて写真を撮って、それについて短い文章をつける―というだけのもの』



今年は作品がいっぱい出てますね。未読ですが「猫を捨てる」と「1人称単数」。「村上T」と合わせたら、翻訳もの以外で3冊も出る。

2015年以来のビッグウェーブか。あの年は「職業としての小説家」「村上さんのところ」が出た。両方とも楽しいというか興味深い本でした。

今年の3作品はすべて読むつもりですが、本書読まれた方はどう思われましたか?

文体。肩の力がかなり抜けましたよね。ブルハで甲本ヒロトの声がガチガチの気合入った作りものだったのが、ハイロウズになって、肩の力抜けて自然体になったような感じ。

軽めのポパイのファッション連載だからか。それとも71歳の達観か。

前はね。読者にものすごく気を使って、読む人がイヤな思いしないように、八方に気を使って文章書いてた。なんていうか計算しつくされた完璧なスキのない文章というか。

以下に何点かメモとか感想を。

クインシー・ジョンズとの会話

2016年プリンストン大学で名誉博士号をもらったときは、隣がクインシージョーンズさんで、卒業式のあいだずっとジャズの話をしていた。ジョーンズさんは「おれは松田聖子のアルバムのプロデュースをしたんだぞ」と僕に自慢していた。もっと他に自慢することはいっぱいあるんだろうにね。

ハイネケン

誰でも知っているオランダのビール。僕はアメリカに行くとよくこのビールを飲みます。うるさいバーなんかだと、バーテンダーに大声で怒鳴って注文しなくてはならないことがありますが、そいうとき発音がいちばん通じやすいのがこの「ハイネケン」です。「ミラー」とか「サミュエル・アダムズ」とか叫んでも、経験的に言ってろくすっぽ通じない。へたするとラムコークが出てきたりして。

村上T

写真撮影は無地

「僕のメインは柄物だけど、アメリカで一度、作家を専門に撮る写真家エリーナ・サイパートにポートレートを撮ってもらったとき、柄物のTシャツを着ていったら、それはダメだと。写真は無地のTシャツに限るのだと。それでトルーマン・カポーティのグレーの無地のTシャツを着ているポートレートを見せてくれて『かっこいいでしょう?』って。確かにかっこいいんだよね(笑)。それ以来、写真撮影をするときのTシャツは無地と決めてます」

—無地Tに何かこだわりは?

「首がいい’’やれ具合’’になる無地のTシャツはいいですね。なかなか難しいけれど。<ヘインズ>と<フルーツオブザルーム>は’’やれ具合’’がいいのだけれど、一番いい状態が長く続かない。無地のTシャツは消耗品だから、取っておいても記念にならない。

夏はTシャツのみ

—今でも村上さんはTシャツを日常で着ているのでしょうか?

「夏はTシャツのみですね。それ以外に着るものがないというぐらい。アロハも時々着ますけれど、ほとんどTシャツにショートパンツ。実はショートパンツもけっこう集めているんです(笑)」

「カーゴパンツから丈の違うものまで各種取り揃えてます。Tシャツには靴下なしのスニーカー。最近は<スケッチャーズ>が履きやすくてそればっかり履いてます。ただ外出するときは必ずバッグの中に上からはける長いズボンと上に羽織れるシャツを持っていきます」

「そういうことが要求されることがありますから。ある夏、銀座の吉兆に出版社の方に招待されて、入り口でショートパンツの方はお断りですって言われて。招待されて来ているのに、僕が入れなかったらマズイじゃないですか(笑)。『いいですよ』と言って、カバンから長いズボンを出して、吉兆の玄関ではいたら、みなさん真っ青になってました。

ぼくも80年代はこのTシャツ一択でした。今はユニクロ一択w。

スケッチャーズ。これか?これなのか?

ウイスキで一番好きな銘柄

—一番好きなウイスキの銘柄は?

「ウイスキーいいですね。何でもいいんだけど、やっぱり僕はアイラ島に行ったことがあるから、ラフロイグが一番いいですね。一番飽きない。癖があるんですが、指定しなくちゃいけないときは大体ラフロイグと言うことが多いです。近所にいいウィスキーバーができたんですよ。最近はそこでハイボール飲むのが結構気に入っていて、土日は3時半からやっていて、3時半から5時半までは3割引きなんですよ」



トニー滝谷

—ここにある200枚のTシャツの中でお気に入りというか、思い入れのあるものは?

「これかな。TONY TAKITANIと書いてあるこのTシャツを買って、『トニー滝谷』という短編小説を書いたんです。このTシャツを買って、トニー滝谷ってどんな人だろう?と思い、いろいろ勝手に想像して、それが小説になったんです。

HOUSEDと書いてあるじゃない?意味がわからなかったんですが、後で聞いたら、選挙用のTシャツだったんですよ。HOUSEは下院、Dはデモクラット。ハワイ州下院議員の民主党の候補だったんです、トニー滝谷という人は。

小説が出版され、英語に翻訳されて、その滝谷さんが、『私がトニー滝谷です』と手紙をくれました。彼はそのときは落選したそうです。でも今は弁護士として成功していて、今度一緒にゴルフやらないかと言われたけど、僕はゴルフやらないからね(笑)」

「マウイをドライブしているときに、小さなスリフト・ショップで見つけて買ったんですよ。1ドルくらいで。謎だったんだけれど、小説を書いたおかげで謎が解けたし、映画にまでなった」

これ読んでないけど。映画はコレか。イッセー尾形、宮沢りえ。

またUTmeつくってしまった

村上春樹とは違う話ですが。Tシャツつながりで個人的な話。

最近UTmeにはまりました。またつくってしまった。お目よごしですが。左がLサイズ。右がXLサイズです。LサイズはトレンドのビッグT感が出なかったので、ワンサイズ上げてみました。見ての通り横幅がだいぶ広がりました。

UTme

クインシージョーンズがPの松田聖子の動画です。

One Of These Days

(関連記事)

【職業としての小説家・村上春樹】海外で人気の理由は?
https://book-jockey.com/archives/8914

「ある作家の夕刻-フィッツジェラルド後期作品集-村上春樹翻訳」
https://book-jockey.com/archives/4519

【村上春樹翻訳ほとんど全仕事】読書メモ
https://book-jockey.com/archives/8908

PC用関連コンテンツ

シェアする