古典を読め。
よく言われますが、選者によってガラッと色合いが違います。
本書は佐藤優、監修です。執筆者は20人ぐらい。200冊の書評はこの20人が書いてると思います。ところどころに入る寸評やエッセイ、まえがき、本の選出などが佐藤優のものかと。
5章に分かれてます。
人間の本質、世の中の仕組み、政治経済社会の本質、日本という国、物語を味わう。
物語には、カムイ伝、火の鳥、キングダムなどマンガも選ばれてました。
寸評で初めて知ったこともあります。例えばゲーテの「ファウスト」。キンドルに入れてちょこちょこ読んでます。訳者によって面白さも変わってくるのですが。
『ゲーテの代表作とされる長編の戯曲。15世紀末から16世紀にかけてドイツに実在したとされる錬金術師の伝説を基に、ゲーテが24歳のころから書き始め、82歳までほぼ一生をかけて完成させた、ライフワーク的な作品。悪魔に魂を売り渡してまで欲望をかなえる人生とは幸せなのか。魂の救済とは何なのか』
これ知らんかった。60年もかけて書いた作品だったのか。すんげえ。ちなみにゲーテ。白取春彦によると、悟りを得ていた可能性が高いと。まぁスゴイ人ですよね。
あと内村鑑三の「代表的日本人」。新渡戸の「武士道」や、岡倉天心の「茶の本」と並び称される本。じつは書評サイトやってながら未読です。内村が代表的日本人として挙げたのは5人だそうです。政治家として西郷隆盛、地方大名として大杉鷹山、農業指導者として二宮尊徳、教育者として中江藤樹、宗教家として日蓮。
日本の「良心」を世界に発信しようとした内村は、やはり近代日本を代表する言論人だ。
かように興味深い本を200冊も選出してる本書。一覧を以下に。気になった方は是非ご一読ください。パソコンだとクロームのズーム200%で読めます。スマホは指で拡大してね。
以下にこの本から、ぜひ読んでみたいと思った3冊を。
谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のをんな」
谷崎潤一郎は猫好きなことで知られている。とくにペルシャ猫を好み、オスよりメスを好んだ。人生を通じて数十匹に及ぶ猫と暮らしたという。猫のような顔の女性が好きだとも記している。
谷崎文学には「美しい女と隷属する男」がしばしば描かれる。愛とは隷属であり、人間にとって真の幸福とは、「何かに隷属すること」によって得られるとする谷崎文学。その対象は異性とは限らない。ネコであってもいい。何かの隷属になり、そのために身を滅ぼすことで、ようやく人間の心は充足するのである。
では相手から隷属を拒否されたときに、一体何が起きるのか。それを描くのが「猫と庄造と二人のをんな」である。猫好きにはたまらない。
三木清の「人生論ノート」
日本人の思想哲学における入門書の傑作。三木清は京都大学哲学科に学び、ドイツ留学ではハイデッガーに師事。帰国後は法政大学哲学科教授。パスカル、マルクス、親鸞まで、三木清の探求対象は多岐にわたる。
1930年、共産党に資金供与したとして有罪、教壇に就けなくなってからは文筆での活動となった。1945年6月に治安維持法の容疑者をかくまったとの嫌疑で逮捕され、1945年9月移送された刑務所で罹患した疥癬の悪化により獄死する。
「人生論ノート」は死後に出版されベストセラーになる。現在に至るまで名著として読み継がれている。本書は1938年から掲載していた「文学界」の連載をまとめたエッセーであり、死、幸福、人間の条件といった哲学的な話から、怒り、嫉妬、噂など、日常のさまざまな事柄までをテーマとして取り上げたもの。
とくに何をもって「幸福」とするかという三木の「幸福論」は、「成功=幸福」ととらえがちな現代の私たちへの示唆に富む。
石原莞爾の「最終戦争論」
大日本帝国軍軍人。石原莞爾による戦争に対する考察。1940年5月の講演が元になっている。石原は、戦争は恒久平和のため必要であると主張する。幼少より成績優秀だった石原は陸軍士官学校に進学。乃木希典、大隈重信に師事。在外武官としてドイツに留学。帰国後は関東軍参謀として満州事変をけん引。1万人程度の関東軍で中国東北部を占領。満州国建国に奔走した。
石原は国粋主義者ではない。満州国建国の意義を「侵略」ではなく「民族協和」と考え、日本人も日本国籍を捨てて全国民が満州人になるべきであり、それこそが来るアメリカとの最終戦争に勝利し、世界に平和を実現させる足がかりになると主張する。
ドイツ留学時に原子爆弾の開発に触れていたとも考えられ、未来の戦争では兵器の進歩により、短期的かつ最小限の被害で終わると考えた。
石原はテクノロジーの発達が近代兵器をさらに進化させ、やがて恒久平和をもたらす手段になるとした。
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donさん、おはようございます^^
ゲーテのファウスト!
そんなに長期間かけた作品だったのですね。
なかなか、読み込むのはハードルが高そうだな(;^ω^)
という作品も多そうですが、
こういう古典をしっかり読んでいったら、
自分の中に、ひとつの新しい芯というか
軸みたいなものが生まれそうですね。
白取春彦さん、むかしdonさんが
紹介されていた記憶があります!
書店でこちらの本、手に取ってみたいと思います☆