古典を読め。よくいわれることですが、何からよんだらいいかよくわからない。そういう人にお薦めの本です。ぼくも何の古典を読んだらいいか、手さぐりなので読んでみました。
著者は青学出身⇒元リクルートの人。コンサルやらいろんな会社を経て、2度ほどうつ病になり、今は「人間塾」の代表理事。人間塾とは塾生が1000人ほどいて、古典の本を読む会だそうです。
そういえばこの人の本、前に読みました。「アルフレッドアドラー 人生に革命が起きる100の言葉」という本です。なかなかいい言葉が選ばれてました。
本書によると、アドラー自身は本を1冊も書いてないそうです。アドラーの著作全部が、講演の講話記録で、体系化された本のほとんどは弟子が書いたものだと。
著者のイメージする古典の全体像はこんな感じです。
なるほど。古典はむずかしいんですよね。本を理解するということも実は難しい。
本書によると、
「人は同じ本を読んでも、自分の力量の範囲でしかその本を理解できない」
「本を読むということは、本を読む人の力量が問われるということです」
「コンフォートゾーンから出るべき。自分が触れたくない考えたくないことにも触れていく」
「その結果新たな気づきが生まれるかもしれない」
「人間は自分の経験した範囲でしかものを見ることができない」
「本を読むことは経験に光をあてることである」
「その光は古典を読んでないと、コンフォートゾーンからしか照らされない」
「古典を読むと、コンフォートゾーンとは違う角度、古典からの視点で経験に光をあてることができる」
本書には、おさえておくべき古典一覧が56冊出てます。こんなかんじ。
よい新刊がないときは読んでみようかな。
いつか読む日のために全56冊のメモ残しときます。
著者名のアイウエオ順です。ちょっと偏りがあるような気もしますが。
これをぜんぶ読めば、ブレない!人になれるかな?
<個人心理学講義生きることの科学/アルフレッドアドラー、岸見一郎(訳)/出版:アルテ>
アドラーの講話録。アドラー心理学の主要テーマを網羅してる。入門書的。1929年出版。
<性格の心理学/ アルフレッドアドラー、岸見一郎(訳)/出版:アルテ>
ウィーンで行われた講演をもとにしている。「性格論」を別冊でまとめたもの。
<子どものライフスタイル/アルフレッドアドラー、岸見一郎(訳)/出版:アルテ>
アドラーのカウンセリング症例集。1930年出版。
<臨済録/入矢義高(訳注)/出版:岩波文庫>
禅問答が繰り返される。禅の知識がなければ意味がわかりにくい。解説書と併読がよい。
<日本一幸せな従業員をつくる!/岩崎靖子/制作:E-Eプロジェクト>
TEDなど多数のメディアで取り上げられた。ホテル再生の感動物語。古典ではないが、塾生が学びたいといった名作。映像作品。
<代表的日本人/内村鑑三、鈴木範久(訳)/岩波書店>
1908年の英文著作。日本がロシアに勝って世界から注目を集めたため、日本の素晴らしさを伝えるため内村が筆をとった。西郷、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮のエピソードを書いている。208pと読みやすい。
<伝習録/王陽明、溝口雄三(訳)/中央公論新社>
官僚のための儒教を批判し、民衆のための儒教を提唱した王陽明。西郷、松陰、藤樹などが心酔。本の難易度は高い。
<凡事徹底/鍵山秀三郎/到知出版社>
イエローハット創業者の代表作。掃除一筋50年。
<論語/金谷治(訳注)/岩波文庫>
論語、孟子、大学、中庸は四書として知られる。金谷訳が簡便的確。
<孟子/金谷治/岩波新書>
孟子のいわゆる解説本。儒教を俯瞰して見ることができる良書。本書を読んでから「孟子」のオリジナルを読むべきか。
<大学・中庸/金谷治/岩波文庫>
四書のうちの2つ。大学は孔子の門人曾子 (そうし)の作、曾子の門人子思に学んだのが孟子。大学は初学入徳の書、中庸はもっとも深淵なる書。
<老子/金谷治/講談社学術文庫>
老子は論語と並ぶ中国の代表的古典。論語と対局にあり、論語を学ぶ儒家がまじめでそつがなく、身だしなみも整えてるのに対し、老子、荘子を学ぶ道家は服装や決まりに対し無頓着でずぼらでおおらか。しかし大事なことは外さない。朝は孔子で、夜は老子で生きるべき。
<道は開ける新装版/Dカーネギー、香山晶(訳)/創元社>
言わずと知れた自己啓発の世界的ベストセラー。
<人を動かす/Dカーネギー、山口博(訳)/創元社>
1936年初版。1500万部売れた。
<ユング心理学入門/河合隼雄、河合俊雄編/岩波現代文庫>
日本ではじめて本格的にユングを紹介した書。河合隼雄の語り口は優しい。
<坂村真民一日一言/坂村真民/到知出版社>
「念ずれば花ひらく」で有名な詩人。365編の詩。
<言志四録/佐藤一斎、岬龍一郎(編訳)/PHP研究所>
佐藤の代表的著作。リーダーのバイブルといわれている。東大総長にあたる江戸末期の儒教の研究者。その門下生は6000人といわれている。
<論語物語/下村湖人/講談社学術文庫>
論語の解説書。小説仕立て。孔子が生き生きと描かれる。
<日本的霊性/鈴木大拙/岩波文庫>
現代仏教学の頂点をなす著作。鈴木大拙の代表作。
<禅/鈴木大拙、工藤澄子(訳)/ちくま文庫>
禅の解説書。外国人向けに英語で書かれたものの翻訳。外人向けなのでシンプルな文体で明快な論旨。
<自助論/サミュエル・スマイルズ、竹内均(訳)/三笠書房>
1858年の世界的ベストセラー。「天は自ら助くる者を助く」ではじまる。
<超訳・易経/竹村亜希子/角川SCC新書>
易経は単なる占いではない。五経の1つ。
<新版 歎異抄(たんにしょう)/千葉乗隆(訳注)/角川ソフィア文庫>
徒然草、方丈記とならぶ日本三大古典のひとつ。日本で最も読まれてる仏教書。日本三大哲学者の西田幾多郎は、「一切の書物が消失しても歎異抄があれば我慢できる」と語ってる。
<勇気づけて躾ける/ルドルフ・ドライカース他、早川麻百合(訳)/一光社>
アドラーの高弟ドライカースの書。初版から50年経過しても色あせない子育ての名著。500ページ近い大作だけど、ほとんどは子育てのケーススタディ。
<イワン・イリッチの死/トルストイ、米川正夫(訳)/岩波文庫>
トルストイの短編名作。不治の病にかかり、自分の人生を呪いながら死にゆくイワンがとつぜん悟る。そして幸福感を感じながらしんでいく。仏教や心理学の教えが体現されている。
<10代の君たちへ 自分を育てるのは自分/東井義男/到知出版社>
中学生向けに書かれた東井の名作。中から一遍の詩を。脳性まひのきみちゃん17歳~ひとつの願い。「お便所に一人でいけるようになりたいのです。それが私の願いです。たったひとつの願いです。神様、神様がいらっしゃるなら、私の願いを聞いて下さい。歩けないこと、口がきけないこともがまんします。たった一つお便所に、一人で行けるようになりたいのです。お願いします」
<東井義雄「いのち」の教え/東井義雄/佼成出版社 >
珠玉のエピソードの数々に、読むたび涙を禁じ得ない。
<菜根譚/中村璋八 (全訳注)、石川力山(全訳注)/講談社学術文庫>
明の時代の洪自誠の書。松下幸之助、田中角栄、川上哲治など多くの人が愛読書に挙げる、稀有な名著。
<善の研究/西田幾多郎、小坂国継(全訳注)/講談社学術文庫>
明治44年出版の西田幾多郎の代表作で処女作。難解な本だが、詳細な解説があり初心者にはよい。
<武士道/新渡戸稲造/矢内原忠雄(訳)/岩波文庫>
新渡戸が1899年に海外へ向け英文で著した。
<二宮翁夜話/二宮尊徳、児玉幸多(訳)/中央公論新社>
薪を背負いながら読書をする銅像で有名な二宮尊徳。二宮は企業再生、自治体再生のプロ。リーダ論としても読める。
<新版きけ わだつみのこえ/日本戦没学生記念会/岩波文庫>
学徒兵の遺書を集めた遺稿集。わだつみとは海神を意味する日本の古語。おどろくのは当時の学徒たちの驚くべき博識ぶりと国を思う意識の高さ。
<般若心経入門/ひろさちや/日経ビジネス人文庫>
平易かつ関西弁で語りかけてくる、ひろさちやの代表作。見開き2pにおさまる短い経だが、描かれてる世界は宇宙のすべてを表す深い深い教え。
<新訂 福翁自伝/福沢諭吉、富田正文(校訂)/岩波文庫>
福沢諭吉の自伝。諭吉の人生がドラマティックかつ人間臭く描かれる。
<学問のすゝめ/福沢諭吉/岩波文庫>
上記自伝との併読をおすすめ。
<フランクリン自伝/松本慎一(訳)、西川正身(訳)/岩波文庫>
アメリカ建国の父であるベンジャミンフランクリンの自伝。
<夜と霧/ヴィクトール・E・フランクル/霜山徳爾(訳)/みすず書房>
アウシュビッツにとらわれ生還した著者。旧版と新版があり、旧版には新版にない豊富な写真やデータが掲載されている。
<それでも人生にイエスという/ ヴィクトール・E・フランクル/春秋社>
収容所から解放された翌年に、ウィーンの市民大学で行った講演録。
<愛するということ新訳版/エーリッヒ・フロム、鈴木晶(訳)/紀伊国屋書店>
1956年NYで出版。日本語版だけでも40万部以上売れてる。愛は感情ではなく、「技術」であると言い切っている。
<新訳 南州翁遺訓/松浦光修(編訳)/PHP研究所>
西郷隆盛が遺した「敬天愛人」の教え。著者小倉広のマイフェバリットな1冊。
<新訳留魂録 /松浦光修(編訳)/PHP研究所>
吉田松陰の死生観。
<良寛 旅と人生/松本市壽 (編)/角川ソフィア文庫>
子どもと遊ぶ姿で有名な良寛。本書は良寛の生涯の解説と和歌の代表作が収められてる。
<正法眼蔵随聞記/水野弥穂子(訳)/ちくま学芸文庫>
曹洞宗の開祖、道元禅師による「正法眼蔵」の最良の入門書。
<家庭教育の心得21 母親のための人間学/森信三/到知出版社>
家庭教育の聖書。母親のみならず、父親、子供のいない夫婦、青年にもおすすめの良書。
<修身教授録/森信三/到知出版社>
人間塾歴代課題図書ランキングの圧倒的1位。1937年~1939年に天王寺師範学校で行われた講義の筆記録。小倉広が「生き方」「人間力」についての本を1冊だけ挙げよと言われれば、迷わず本書を挙げると。
<講話録 真理は現実のただ中にあり/森信三/到知出版社>
森信三三部作の一作。巨人のことばが胸を打つ。
<人生二度なし/森信三/到知出版社>
森信三三部作の一作。森信三を学ぶなら、本書か「真理は現実のただ中にあり」から始めるのがよい。
<父親のための人間学/森信三、寺田一清(編)/到知出版社>
森信三は、「父親は人生で3度子どもを叱るか、まったく叱らないか」との態度を確立すべきであると。
<森信三講録 西郷南洲の遺訓に学ぶ/森信三/到知出版社>
日中戦争が勃発した時に、満州の建国大学教授就任中の森氏が帰国した際の講話録。
<荘子Ⅰ/森三樹三郎(訳)/中央公論新社>
荘子は戦国時代の思想家。老子とともに「老荘思想」と呼ばれてる。「道」の世界を語っている。
<人生と陽明学/安岡正篤/PHP研究所>
陽明学の本質がわかる。
<いかに生くべきか/ 安岡正篤/到知出版社>
四書を読む前のガイド本というより、四書を読んだ後の理解を深める書物。
<運命を創る/ 安岡正篤/プレジデント社>
読みやすい講話録。いつまでも「えび」のごとく脱皮せよと。
<論語の活学/安岡正篤/プレジデント社>
1967年著者70歳の時の講義録。「利の本は義にあり」
<分析心理学/CGユング、小川捷之 (訳)/みすず書房>
1935年60歳のユングがロンドンで200名の意志に行った講演の講話録。
<君たちはどう生きるか/吉野源三郎/岩波文庫>
中学2年生のコペル君と友人たち、そしてメンターのおじさんとの交流をつうじて、
コペル君が成長する物語。涙を禁じ得ない。人間塾で読んでよかったとの評が多い書。
ブレブレブレ~ブ~ ♪
と歌って♪
ブレない!といえばいつもこの歌が頭を回ります。
スティーリーダンでブレブ♪ 夏の夕暮れどきに聞きたい1曲。
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