治験バイトの本。「職業治験、治験で1000万円稼いだ男の病的な日々」

『私はある日、親に涙ながらに訴えられた。「どんな仕事でもいい。アルバイトだっていい。星次が好きなことなら何でもいい。頼むから働いてくれ。近所からなんて言われているかお前知っているのか・・」と。「訳の分からない薬ばかり飲んでお金を貰い恥ずかしくないのか・・」と。』

うまく治験をつなげると、年間160万円ぐらいの収入になるようです。生活保護の単身が150万円なのでほぼ同額レベル。ただし「臨試協4ヶ月ルール」がプロ治験者の前に立ちはだかります。前回の治験から4ヶ月たってないと治験に参加できない。抜け穴は臨試協非加盟病院での治験や、海外治験だそうです。



治験は4段階のステージがあると。

第一相治験は薬の安全性を探る試験。動物実験で分からない副作用を調べます。著者が参加してるのはこれです。20代前半から40歳ぐらいまでの健康な者。報酬があります。

第二相治験は少数の患者に対して投与して、効果を調べます。一般的にお金は貰えないが治療費が無料になるそうです。

第三相治験は大人数の患者への投与です。これでよいデータが出れば厚労省へ提出できる資料となる。

第四相治験は市販後のチェックです。薬の飲み合わせや食べ合わせ、アルコールとの併用など、予測できない副作用データの収集です。

治験はアルバイト情報誌には載らないようです。建前はボランティア。業者による金銭目的の誘導は禁止されているとのこと。

報酬は「負担軽減費」だそうです。ボランティアで検索し、治験情報会社に登録し治験情報を閲覧しエントリー。待遇のいい治験なんかだと3倍とかの倍率になって、体の数字のいいものから選ばれるそうです。

ただし治験のほとんどは関東でしか行なわれてないので、地方在住では参加は難しいと。

変り種の治験もあり、骨折(局部麻酔をかけて万力で骨折)は2ヶ月入院で80万円。胸を切り開いて人工心臓を入れる治験は1千万円!

なんか聞くだけで痛そうです。

以下に読書メモを。



世界の製薬業界概況

全世界での医薬品の売上は80兆円。その20%、16兆円が新薬開発費用に回される。日本国内の医薬品業界の売上高は7兆円。それに対してファイザー1社の売上は6兆円。世界最大の売上高を誇る高脂血栓の治療薬「リピトール」だけで1兆円を超える。国内製薬メーカーでは、武田薬品の糖尿病治療薬「アクトス」の売上は3千億円、エーザイのアルツハイマー治療薬「アリセプト」の売上は2千億円。

製薬会社の特許は25年認められ、切れると他社のジェネリック医薬品が出回り安価になる。特許が切れる前に製薬会社は投じた資本を回収すると同時に、次なる新薬を開発する。しかし「薬九層倍」(原価1割儲け9割)は簡単には実現しない。全く新しい化学構造の新薬は年間10個程度しか生まれていない。

ちなみに世界最大の売上を誇ったリピトールの特許は2010年に切れた。

世界の胃がんの50%は中国

世界の胃がん症例は約60万件。そのうちの50%強、約30万件が中国で発症している。中国の食品安全や強い酒(白酒)を飲む習慣、偽薬などが蔓延しているためである。その9割が半年以内に死亡している。ちなみに肝臓がんも欧米と比べて中国の発症率が非常に高い。

世界の売血ビジネス

昔から血を売ることは蔑まれてきた。今でも中国では献血ではなく売血が行なわれており、400ccで百元(1300円)となっている。アメリカ、ドイツ、オーストラリアでも売血は行なわれており、その報酬は30ドルや、25ユーロとなっている。これには理由がある。血液製剤を作るための原料が、人間の血液からしか作れないからだ。

かつて日本でも売血は行なわれていた。血を売る人間は、ホームレス、肉体労働者、ヤクザなどで、当時は覚せい剤の静脈注射が蔓延しており、B型やC型肝炎のキャリアが相当いた。血の質は最低で薬害も蔓延した。

売血禁止のきっかけは「ライシャワー事件」。駐日米大使が、大腿を刺される事件が発生した。その手術で日本の売血由来の血液を使ったために肝炎に感染。政府は1969年に売血を禁止。モラルが期待できる献血のみとした。

「何人も有料で、人体から採血し、または人の血液の提供を斡旋してはならない」罰則は3年以下の懲役または500万円以下の罰金。

ぼくらはあんた達が欲しいものを持ってる♪
血が欲しいのかい?

AC/DCで、If You Want Blood♪

AC/DC – If You Want Blood (You Got It)(Official Video)
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