なぜフィンランドの幸福度は高いのか? その理由。

フィンランドの幸福度

国連が毎年発表する世界幸福度ランキング。

2018年、2019年は2年連続でフィンランドが1位でした。

そもそも世界幸福度ランキングとは何か?主なものは以下の3つがあります。

・国際連合 発表「世界幸福度報告」⇒1位フィンランド
イギリスNEF 発表「地球幸福度指数」⇒1位コスタリカ(2016年)
スイスWIN/Gallup International 発表「幸福度調査」⇒1位フィジー(2018年)

継続的に発表されて一番メジャーなのが国連発表のものです。

①1人あたりGDP、②社会的支援、③健康寿命、④人生の選択の自由度、⑤社会的寛容さ、⑥腐敗の認識、といった要素に、国民に今の幸せの評価を聞いた調査、およびディストピアとの比較といったことを元に総合的な幸福度を測っています。2019年は156か国の調査。日本は58位でした。トップ10の半数は北欧諸国が占めています。

なぜフィンランドの人は幸せなのか?以下に「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」より読書メモを。



身近な自然。森が近い。パーソナルスペース広め

日本から九州を引いたぐらいの国土面積です。日本の約9割。しかし人口は547万人。日本だと兵庫県の人口が547万人。ちなみに北海道も547万人。

日本もフィンランドも面積に占める森林の割合はほぼ同じ約70%。日本も自然があふれる国であるが都心部からは自然が遠い。フィンランドは森や湖との距離が遠い。

⇒フィンランドは人口密度が低くパーソナルスペースが広い。なので行列も間隔を異様に開ける。よくREDDIT(アメリカの5Ch)に貼られて爆笑されるフィンランド人の行列。もっと詰めろよw

フィンランド人の行列

⇒それと森林は「ゆらぎ」でヒーリング効果をもたらす。「ゆらぎ」は脳疲労を軽減する。「不規則な規則性」を持つ現象をゆらぎと呼ぶ。人の生体もつねにゆらいでおり、自然環境のゆらぎと人体のゆらぎがシンクロすることが心地よさをもたらす。フィンランドの自然は人を癒す。

いろんな指標で世界1位

安定した国、大学が良い国、女の子にとっていい国、子どもにとって公平な国、政治やビジネスにおいて透明性の高い国、腐敗度の低い国、報道の自由度が高い国、イノベーション度が高い国、水がキレイ、空気がキレイなど、フィンランドがトップにあるランキングは数多くある。

子どもの貧困率は3.7%でデンマークに次いで2番目に低い。日本は34位で16%。格差もデンマークに次いで2番目に少ない。ひとり親の貧困率は日本では50%を超えるがフィンランドは15%以下。フィンランドは男性のほうがじゃっかん貧困率が高い。

残業はほとんどしない。4時に帰る。有給消化率もほぼ100%

1人あたりGDPは日本の約1.25倍だが、夏にほとんどの有給休暇をまとめてとり1カ月はしっかり休む。有給消化率はほぼ100%。公務員でも教師でも医師でも、どんな仕事でも有給はしっかりとる。子どもたちは6月から8月中までの2カ月半、宿題無しで休みを取る。教育レベルも高い。

残業もほとんどしない。週平均労働時間はフィンランドは36時間。日本は39時間。時間的には大きく変わらないが、ここにはパートタイムの人の労働時間も含む。日本はパートの人の割合が高いので、長時間働く人の時間が相殺されて、統計でみる労働時間の全体平均は多くない。

週49時間以上の長時間労働を見ると、日本では20%以上、男性だけ見れば3割近いが、フィンランドは8%に過ぎず、他のヨーロッパ諸国と比較しても少ない。

16時を過ぎるとみんな帰っていく。8時から働き始め、16時からみんな帰り始め、16時半になるともうほとんど人がいなくなる。それは不思議なほどでどこの業界も徹底されている。この徹底ぶりは企業レベルの努力というより、国や社会全体の常識と言った方がいい。

法律で決められている1日8時間、週40時間以内の勤務時間は守られるべきで、よほどの理由がないと残業はしてはならないし、雇用主もさせてはならない。官公庁でも、大企業でも、中小企業でも同じで、多くの業界の平均的な勤務時間は40時間よりも少なく、週37.5時間。

やむを得ない残業をした場合も、その時間をまとめて休暇として取ることが多いので、有給と残業分を足して、夏休みを6週間とったという話もめずらしくない。

夏休みはコテージで過ごす。デジタルデトックスする。547万人の人口で50万戸のコテージがあり、複数人でシェアして使っている。

夏休みは同僚と時期をずらしたり、インターンシップの学生が穴埋めしたり、失業中の人がパートで働く。失業中の人は長期雇用、正社員へのチャンスとなる。

フィンランドの在宅勤務は3割

週に1度以上在宅勤務をしている人は3割になる。今のように就労時間や場所に柔軟性が生まれたのは1996年に施行された就労時間に関する法律の影響が大きい。

この法律は2020年1月にさらに改正された。働く場所や時間が今まで以上に自由になる。就労時間の半分は働く場所も、時間も、従業員と雇用主が相談して自由に決定することができるようになった。

ボスがいない働き方

フィンランドはピラミッド方式よりフラットを好む。フィンランドを代表するゲーム会社「Supercell」、IT企業「Reaktor」といった企業はヨーロッパでも良い職場リストの上位に入っている。

「Supercell」はリーダーや管理職はいるが、組織はピラミッドではなくチーム制をとっている。最終的な意思決定は数名から10数名で構成されるチームがそれぞれ行っている。チームの意思が何より尊重され、経営者や管理職の役目はそれを下から支えることだ。

歓送迎会もコーヒー

プライベートの時間を犠牲にしない。コーヒー文化が強く、社員の歓迎会やお別れ会も勤務時間内にコーヒーとケーキでする。時間にして30分程度。

その費用はみんなから集めるのか、経営陣のポケットマネーか、会社のお金かはケースバイケース。その頻度は部署の話し合いや上司の考え方による。

仕事を終えた後に飲みに行くことはほとんどない。年に1回クリスマス会は行っている。日本の忘年会のようなもの。おしゃれをしてクリスマスフードを食べお酒を呑み、ゲームやダンスをして、このときばかりは無礼講な雰囲気がある。

このクリスマスパーティは日本の忘年会と同じで、職場だけでなく、趣味の仲間や友達同士でも行うので、クリスマス前は飲み会で忙しくなる。



父親の8割が育休をとる

休む人に代わって他の人を代理でやとうため周りにしわ寄せが生じづらい。雇われた人は自分の実力をアピールするチャンス。失業率が日本より高く、新卒採用システムのないフィンランドでは、この1~3年の期間限定の雇用はフルタイムへの第一歩となり、いい経験になる。

母親の育休は問題がなくても、長期の育児休暇を取ろうとする父親に対しては、ハラスメントが少し存在する。現在8割の父親が育児休暇をとっているが、3週間から2カ月と母親に比べるとそれほど長くない。この場合は特に代理の人を雇うことはしない。最近ではとることが当たり前になってるので、逆にとらないと人間性が疑われるほどだ。

男性の場合の2カ月を超える育児休暇は、まだ理解が得にくいと言われている。しかし現政権は男性が長期の育児休暇をとれるよう制度を改正していく意思を表明している。

サウナとはフィンランド語

サウナは海外で最も普及しているフィンランド語。550万人の人口に対してサウナの数は200~300万あるといわれている。お風呂の感覚でどこの家にもあり、その代わりお風呂のバスタブはあまりない。フィンランド人は普段はシャワーのみ。週に1~2回サウナに入る。

フィンランドには偏差値が存在しない

教育が世界的に知られているが、面白いのは偏差値が存在せず、大学名で上下関係をつくらないこと。

義務教育もその後の高等教育も公立学校ばかりで、通常家から通いやすい学校に行く。レベル的なバラツキは少なく地域差もない。日本のように高校受験はなく、選抜基準は中学の時の成績による。特別な高校や人気の学科に行くときだけレベルテストがあったりする。大学によって優劣は無い。入りたい学部や研究内容、通いやすさ住みたい街といった基準で大学を選ぶ。

フィンランドには職業高校や応用科学大学とよばれる職業専門大学があるが、それが普通高校や総合大学に劣るかというと、そういうわけではない。事実、最近では就職に有利だという理由で職業高校、応用化学大学は人気だ。

学校名によるレッテルがないことは、とても心地いい。シンプルにその人の本質を見ようとするし、対等でありたいと思える。

失業はありふれている

フィンランドの2017年の調査。回答者の3分の2はキャリアのどこかで失業を経験している。フィンランドの2019年10月現在の失業率は約6%。不況や業績不振になると、あっけなく社員をレイオフする。

減給や痛み分けでみんなで乗り切るのではなく、とりあえずスタッフをレイオフして乗り切る。そして業績が回復すると信じられないほど簡単に、レイオフした人たちを再雇用する。

ちなみにフィンランドのヘルシンキ市。2019年の調査で「ワークライフバランス」世界1位になっている。

ヘルシンキといえばBABYMETAL。2020年2月26日ヘルシンキで行われたBABYMETALライブのファンカムです。今回の欧州ツアーは、G7諸国に加えて、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、オーストリア、ロシアなどを回ってます。どこの会場もほぼソールドアウト。平均して2~3000人の動員です。ファンカムを見てると各国の国民性がわかって楽しいです。フィンランド人は大騒ぎしないシャイな感じでした。

Babymetal Kulttuuritalo Helsinki

著者はフィンランド好きでフィンランドの大学を卒業、その後フィンランド企業で働き現在はフィンランド大使館で広報の仕事をしてる人です。なので真実の濃い情報が書かれてます。

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