「新訳ローマ帝国衰亡史・エドワードギボン」書評

「言葉が続く限りこの書は永遠に続く」とまで言われる、エドワードギボン1787年刊。不朽の傑作です。

著名な読者ではアダムスミス、チャーチル、ネルーなんかがいます。この前読んだ「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」で、父が息子に必読書として買い与えた10冊のうちの1冊です。

シーザー、カリギュラ、ネロから、オスマン艦隊の山越えで滅びるまでの、ローマ帝国1500年の興亡史です。

日本人にとっての司馬遼太郎(司馬史観になっちゃいますが)のように、西洋人には必読書なのでしょう。

キリスト教やイスラム教の勃興の分析が秀逸でした。

ローマ皇帝という頂点に昇りつめた者の、悲哀が感じられます。1日で追い落とされるものや、数十年にわたる治世をおこなうものまで、様々な皇帝がいます。

能力のない息子に継がせたものや、悪政をおこなったものはあっけなく無残な末路となり、節制し民を思い善政をつとめたものは、後世がしっかり評価しています。

「飽食ほど盛運を損なうものはない」

金言というよりも、一読して全体の雰囲気を味わえば、現代のぼくたちにも、教訓となるものが散見されます。

「賢者は歴史にまなび、愚者は経験にまなぶ」

ゲルマン民族の大移動により、庇を貸して母屋を取られた※西ローマ帝国は476年に滅びます。庇を貸してからわずか100年弱の間の話です。

※375年、西ゴート族がフン族に追われ、ローマ帝国に居住を求める。ローマ帝国はこれを許す。西ゴート族は暴動を起こし、鎮圧に出動したヴァランス帝は死去。西ゴート族は395年バルカンとギリシアを襲撃、401年はイタリアを攻める。410年にはついにローマを蹂躙。その後ローマ帝国は衰亡し、476年に滅亡する。

日本列島は日本人だけのもなじゃないとアジア幻想をいだき、友愛外交(外国人参政権、人権侵害救済法案などの闇法案)を進める、民主党にぜひ読んでもらいたい部分です。

外交とは、平和理想主義のお花畑の発想でうまくいくほど、甘いものではないはずです。

先人が必死で守った日本を、ぼくらの子供達にしっかりと残せるようにしていきたいと、今さらながら思い返しました。

ローマ帝国の創建者アウグストゥス

「心象(イメージ)において勝つこと、これがすべてである」

とくに勇者でもない、食事も小鳥のように細かった男が、英雄シーザーでさえ成し得なかったことを成しとげた。ローマ帝政は彼からはじまります。

イメージ
レスポンシブ広告

シェアする