フロイト、ユング、アドラーは深層心理学の3巨匠です。フロイト50歳、アドラー36歳、ユング31歳の当時は、一緒に研究していました。フロイトの学説と対立して、アドラー、ユングともにフロイトと距離をおきます。過去記事からのコピーですが、ざっくり言うと3人の特徴は以下です。
(フロイト)
なんでも性にむすびつける。現在の問題は幼少期に原因があると考える。
男性優位。無神論。ユダヤ人。合理主義。
(アドラー)
劣等感が人間心理を読み解く鍵。権力欲。貧しい人の治療。女性優位。社会主義。ユダヤ人
(ユング)
現在の問題は目的の面で考える。箱庭療法。オカルト。ゲルマン系スイス人。東洋思想。
じつはアドラーに関する本を読むのは初めてです。フロイトやユングほど華がないというか。なぜか最近はアドラーブームですよね。なんでだろ。
本書の構成は右ページにアドラーの言葉、左ページに著者がそれに関する解説を書くというスタイルです。全部で100のアドラーの言葉をのせてます。通読するとなんとなくアドラーのエッセンスがわかるという。
100の言葉のうち、心に残った15の項目を以下に。
目次
- 「世話好きな人は、単に優しい人なのではない。相手を自分に依存させ、自分が重要な人物であることを実感したいのだ」
- かまってほしい場合の4つの行動パターン
- 「悲しいから涙を流すのではない。相手を責め、同情や注目を引くために泣いているのだ」
- 「カッときて自分を見失い怒鳴ったのではない。相手を支配するために、怒りという感情を創り出し利用したのだ」
- 「子供は感情でしか大人を支配できない。大人になってからも感情を使って人を動かそうとするのは、幼稚である」
- 「人はライフスタイル(=性格)を10歳くらいまでに、自分で決めて完成させる。そして、それを一生使い続けるのだ」
- 「幸福な人生を歩む人のライフスタイル(=性格)は、必ずコモンセンス(=共通感覚)と一致している。歪んだ私的論理に基づく性格では、幸せになることはできないだろう」
- 『子供にとって家族は「世界そのもの」であり、親から愛されなければ生きていけない。そのための命がけの戦略が、そのまま性格の形成につながるのだ』
- 「叱られたり、ほめられたりして育った人は、叱られたり、ほめられたりしないと行動しなくなる。そして、評価してくれない相手を、敵だと思うようになるのだ」
- 『「よくできたね」とほめるのではない。「ありがとう、助かったよ」と感謝を伝えるのだ。感謝される喜びを体験すれば、自ら進んで貢献を繰り返すだろう』
- 「判断に迷った時は、より大きな集団の利益を優先することだ。自分よりも仲間たち。仲間たちよりも社会全体。そうすれば判断を間違うことはないだろう」
- 『行動に問題があるとしても、その背後にある動機や目的は、必ずや「善」である』
- 「すべての悩みは対人関係の課題である。仙人のような世捨て人でさえも、実は他人の目を気にしているのだ」
- 『人生には3つの課題がある。1つ目は「仕事の課題」。2つ目は「交友の課題」。3つ目は「愛の課題」である。そして後の方になるほど解決は難しくなる』
- 「愛の課題とは、異性とのつきあいや夫婦関係のことである。人生で一番困難な課題であるがゆえに、解決できれば深いやすらぎが訪れるだろう」
「世話好きな人は、単に優しい人なのではない。相手を自分に依存させ、自分が重要な人物であることを実感したいのだ」
さらなる高等戦術として、自分を責め自分を傷つけるという方法もある。自分を責めることで家族や周囲の人間を責めている。そして周囲からの謝罪や同情を手にする。人はあらゆる手を使い、自分が重要な人物であることを証明しようとする。
かまってほしい場合の4つの行動パターン
1.注目を集める:注意を引いたり、要求したりする。
2.力を示す:かんしゃくを起したり、怒りをぶつけたり、泣いたりする。
3.復讐:問題行動を起し、相手に不快感を与える。家事放棄や非行に走ったりする。
4.回避:あきらめて努力しなくなる。課題から逃れたり、自分の弱さや落ち込みや病気をひけらかす。
「悲しいから涙を流すのではない。相手を責め、同情や注目を引くために泣いているのだ」
感情が人を突き動かすのではなく、人は目的のために感情を使用する。
「カッときて自分を見失い怒鳴ったのではない。相手を支配するために、怒りという感情を創り出し利用したのだ」
アドラー以前のフロイトなどの心理学では、目的論とは別の原因論が主流だった。人は無意識下の感情に突き動かされるという。この場合怒鳴ったのは無意識の怒りが原因であり、本人は悪くないという結論になる。アドラーの場合は、相手を操作し支配するための目的があって怒鳴ったと考える。
「子供は感情でしか大人を支配できない。大人になってからも感情を使って人を動かそうとするのは、幼稚である」
感情だけがものごとを達成する唯一の方法ではない。大人になってからも泣いたり怒ったりという感情表現で人を動かそうとするのは、内面的に幼稚な人である。
「人はライフスタイル(=性格)を10歳くらいまでに、自分で決めて完成させる。そして、それを一生使い続けるのだ」
「幸福な人生を歩む人のライフスタイル(=性格)は、必ずコモンセンス(=共通感覚)と一致している。歪んだ私的論理に基づく性格では、幸せになることはできないだろう」
コモンセンスとは、組織や家庭などにとっても、共に受け入れられるような考え方。
『子供にとって家族は「世界そのもの」であり、親から愛されなければ生きていけない。そのための命がけの戦略が、そのまま性格の形成につながるのだ』
「叱られたり、ほめられたりして育った人は、叱られたり、ほめられたりしないと行動しなくなる。そして、評価してくれない相手を、敵だと思うようになるのだ」
いまだにアメとムチで人を育てることが正しいと信じてる人が多くいる。それは明らかな間違いである。自分の意志で行動しなくなるので、一生アメとムチをやり続けなくてはならなくなる。私たちは相手をコントロールしようとしてはいけない。それは教育ではない。
『「よくできたね」とほめるのではない。「ありがとう、助かったよ」と感謝を伝えるのだ。感謝される喜びを体験すれば、自ら進んで貢献を繰り返すだろう』
ほめるのは上から目線。感謝は横から目線。新入社員が社長をほめることはない。
「判断に迷った時は、より大きな集団の利益を優先することだ。自分よりも仲間たち。仲間たちよりも社会全体。そうすれば判断を間違うことはないだろう」
『行動に問題があるとしても、その背後にある動機や目的は、必ずや「善」である』
母親が出かけるとき、子供が一緒に行きたいという。しかし母親は「お姉ちゃんとお留守番しててね」という。子供はかんしゃくを起し、おもちゃを投げつけ、食器棚のガラスが割れてしまう。母親は子供を叱る。この子供の動機は「母親と一緒にいたい」というもの。この動機は悪ではなく善である。行動は問題であるが、動機は善だ。そんなとき私たちは、善に着目して相手を勇気づけることができる。「お母さんもほんとは一緒にいたいんだよ」と伝える。その後に間違った行動ではなく、他の方法を選択できる可能性について話し合う。
「すべての悩みは対人関係の課題である。仙人のような世捨て人でさえも、実は他人の目を気にしているのだ」
『人生には3つの課題がある。1つ目は「仕事の課題」。2つ目は「交友の課題」。3つ目は「愛の課題」である。そして後の方になるほど解決は難しくなる』
あらゆる人生の課題は、対人関係に集約され、それはわずか3つに分類される、とアドラーは言った。商談よりも、雑談や異性とのつきあいのほうがよほど難しい。
「愛の課題とは、異性とのつきあいや夫婦関係のことである。人生で一番困難な課題であるがゆえに、解決できれば深いやすらぎが訪れるだろう」
ぼくの課題はあなたです♪
あなたを待っている♪
ジャクソンブラウンでMy problem is you♪
この頃のジャクソンブラウンは、大阪のフェスティバルホールだったかなぁ。見に行きました。もう20年以上前になるのか・・・あの子は今、どうしてるのだろう。