レコードコレクタ―ズ執筆陣41名によって選ばれた、「80年代のロック・アルバム200」。その中から上位20作品を以下に。
AmazonMusicを貼っていきますので、個々のアルバム評などはAmazonのレビューを参照ください。
目次
- 20位 P.I.L|フラワーズ・オブ・ロマンス
- 19位 マイケル・ジャクソン|スリラー
- 18位 ポール・サイモン|グレイスランド
- 17位 ブルース・スプリングスティーン|ザ・リバー
- 16位 ルー・リード|ニューヨーク
- 15位 ザ・スミス|クイーン・イズ・デッド
- 14位 スクリッティ・ポリッティ|キューピッド&サイケ85
- 13位 AC/DC|バック・イン・ブラック
- 12位 ガンズ・アンド・ローゼズ|アペタイト・フォー・ディストラクション
- 11位 ジョン・レノン&ヨーコ・オノ|ダブル・ファンタジー
- 10位 プリファブ・スプラウト|スティーブ・マックイーン
- 9位 プリンス|サイン・オブ・ザ・タイムス
- 8位 ロキシー・ミュージック|アヴァロン
- 7位 ヤング・マーブル・ジャイアンツ|コローサル・ユース
- 6位 ソニック・ユース|デイドリーム・ネイション
- 5位 XTC|スカイラ―キング
- 4位 ドナルド・フェイゲン|ナイトフライ
- 3位 ポリス|シンクロニシティ
- 2位 U2|ヨシュア・トゥリー
- 1位 トーキング・ヘッズ|リメイン・イン・ライト
- 個人的に好きなアルバムのランキングは以下
20位 P.I.L|フラワーズ・オブ・ロマンス
19位 マイケル・ジャクソン|スリラー
18位 ポール・サイモン|グレイスランド
17位 ブルース・スプリングスティーン|ザ・リバー
16位 ルー・リード|ニューヨーク
15位 ザ・スミス|クイーン・イズ・デッド
14位 スクリッティ・ポリッティ|キューピッド&サイケ85
13位 AC/DC|バック・イン・ブラック
12位 ガンズ・アンド・ローゼズ|アペタイト・フォー・ディストラクション
11位 ジョン・レノン&ヨーコ・オノ|ダブル・ファンタジー
10位 プリファブ・スプラウト|スティーブ・マックイーン
9位 プリンス|サイン・オブ・ザ・タイムス
8位 ロキシー・ミュージック|アヴァロン
7位 ヤング・マーブル・ジャイアンツ|コローサル・ユース
6位 ソニック・ユース|デイドリーム・ネイション
5位 XTC|スカイラ―キング
4位 ドナルド・フェイゲン|ナイトフライ
3位 ポリス|シンクロニシティ
前作「ゴースト・イン・ザ・マシーン」は、3人編成のバンドによる作品ということを感じさせないようなアルバ ムだった。そこで聴けるキーボード類の多用されたサウンドは、まさに80年代初頭という時代に呼応していた。しかも当時は、テクノロジーの発達がバンドという形態を無意味なものにしようともしていた時代。だから、この前作を聴いてポリスの解散を予感したファンは多かったはずで、かくいう私もそのうちのひとりだったのである。
だがポリスは約2年後に、通算5作目となるこのアルバムをリリースする。しかもそれは、ロック・バンドによって作られた作品であることを強調したかのような名盤だったのだ。すでに不和や軋轢のなかに置かれていた3人のメンバーにとって、こうした作品を作ることはさぞかし苛酷な行為であったろう。しかし彼らは、そうした困難にあえて挑んだ。それは彼らが、ビートルズ以来の伝統を後世に伝えようとしていたからではないか。ロックという音楽の成立には青春の一形態であるバンドというものが欠かせないということを痛感していたからではないか。そうした青臭くロマンティックな夢想を私たちに抱かせてくれるという点でも、本作は名盤なのだ。
アルバムは「シンクロニシティーI」で幕を開け、「シンクロニシティーⅡ」で前半を終える。前者はコンピュータのシークエンス・パターンに導かれて始まる4分の6拍子の楽曲。後者はスピード感とシンフォニックな雰囲気を兼ね備えた楽曲。 どちらもキーボード類の使用はあるものの、ロック色がきわめて強い。しかもアルバム発表後に行なわれたシンクロニシティー・ツアーVでは、驚くことにこの2曲がサポート・メンバーなしで演奏されている。 このことは、当時のポリスがもっていたロック・バンドとしての矜持を感じさせてくれる。
そしてヒット曲 「見つめていたい」で始まるアルバム後半は、スティング作の 名曲がずらりと並ぶ。 これらを名曲たらしめているのは、 これ以上ないほどにジャストなタイミングで打音を入れるスチュワート・コーブランドのドラミングと、空間を鮮やかに彩っていくかのようなアンディ・サマーズのギター・ プレイだ。緊張感に耐えられなくなったバンドが本作を最後に解散するのは必然だった。しかし彼らが示したバンド という形態の魅力は、いまだ色褪せていない。
2位 U2|ヨシュア・トゥリー
アントン・コービンが撮影したモノトーンのジャケット写真(カリフォルニア州の砂漠地帯で撮られたもの)も印象的なU2の5作目のスタジオ・アルバム。バンドの最初の全米1シングルで、英チャートでも4位まで上昇した「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」、同じく米チャート首位/英6位を記録した「アイ・スティル・ハヴント・ ファウンド・ホワット・アイム・ルッキング・フォー(終 りなき旅)」など4曲のヒット曲を生み、米英両国を含む数カ国のアルバム・チャートで軒並み首位に達したU2最大のヒット作である。さらに本作は、グラミーの最優秀アルバム賞など多くの賞を獲得。デビュー以来、着実に評価を高めてきたU2の名声を揺るぎないものにし、単なる人気ロック・バンドという以上の存在にしている。 プロデュースは前作「焔」で彼らと初めて組んだブライアン・イーノとダニエル・ラノワの二人が共同で担当。「焔」 やピーター・ゲイブリエルの「30」といったヒット作で実績を残していたラノワにとっても、この「ヨシュア・トゥリー」は 代表作に数えられる一作で、本作の成功を追い風にヴェテランから若手までさまざまなアーティストと際だった成果を残していくことになる。
ニカラグアやエルサルバドルにおけるアメリカの軍事介入を名指しで批判した「ブレット・ザ・ブルー・スカイ」、アイルランドの炭鉱閉鎖に材を取った「レッド・ヒル・マニング・タウン」、同じく母国で問題になっていたヘロイン (1986年にはフィル・ライノットが、この薬物の過剰摂 取が原因で亡くなっている)をテーマにした「ランニング・トゥ・スタンド・スティル」など、政治的社会的なメッセージを込めた歌詞が目立つ点は今日まで変わることのないこのバンドの一貫した持ち味だが、本アルバムを特徴づけ、特別な作品にしているのはフォーク、カントリー、ソウルといった米ルーツ・ミュージックの影響を滲ませた歌唱/演奏と、緻密に組み立てられた陰影に富んだサウンドだ。そのあたりはオープニング・トラック「ホエア・ザ ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム」(シングルとしても リリースされ、米英チャートでそれぞれ1位/4位に達した)の1分半に及ぶイントロや、ボノの奏でるハーモニカ をフィーチャーした「トリップ・スルー・ユア・ワイヤー ズ」に顕著で、意識の共有を声高に訴えることのないおおらかな表現はバンドの成熟を感じさせた。
1位 トーキング・ヘッズ|リメイン・イン・ライト
「フィア・オブ・ミュージック」(79年)のオープニン グを飾った「イ・ジンブラ」のアイデア、あのアフロビートの新解釈とプリミティヴな生命力を感じさせる男女混声ヴォイスの衝撃が次に進むべき方向を端的に示していた。 デイヴィッド・バーンとブライアン・イーノはさらなる夢想に導かれるままに「ブッシュ・オブ・ゴースツ」(81年) の制作に入り、ファンクを基盤にした斬新なサウンドスケイプを追求する。 エキゾチックなサンプリングのコラージュはアフロ・フューチャリズムにも通じるスペイシーな神秘性を匂わせつつ、アート性も強く打ち出した。 イーノが ホルガー・シューカイと会った際に聴かされた新作「ムーヴィーズ」(79年)のエキゾチックな手法に刺激を受け、「ブッシュ」でサンプリングしたコーランの使用許可を待つ間に本作の作業が始まっている。
バハマ・ナッソーのコンパス・ポイントで3週間をかけてベーシックが録音された。バンドの持ち味であるアマチュアリズムを尊重しつつ、さらにメンバーの手なりのプレイを排除するために担当の楽器を入れ替えてインプロヴィゼイションで演奏。曲の骨格を導き出したそのベーシック ・リズムの録音テープをバーンとイーノがニューヨークのスタジオに持ち帰り、ふたりで歌詞やメロディを探りつつ、 曲のパーツを組み替えて完成させた。「ヒート・ゴーズ・オン」の印象的なベースはバーンによるものである。
ミニマルなフレーズの心地よさやミドル・アップのテンポ感は、フェラ・クティ&アフリカ70のパーカッシヴなギターやキーボードのリズムを参考にしつつも、あくまでもワン・コード、ワン・シークエンスで突き進むアフロビートの呪術的な反復の面白さに着目、いつか思いも寄らない場所に降り立つことになるであろう革新的なファンク・ミ ュージックを模索している。「クロスアイド・アンド・ベ インレス」の覚醒したエイト・ビート、煌めくシンセサイザーと流星のようなギターが縦横無尽に飛び交う「ワンス ・イン・ア・ライフタイム」、「ハウシズ・イン・モーション」におけるジョン・ハッセルのモーダルなプレイなど奇跡の連続で、何が彼らをそうさせたのかという問いとため息しか出ない。発売時、バーンがプレスに向けて語った。もはやこれはロックンロールではないという言葉は作品の世界観を率直に表わしたものだが、結果的にバンドとしての在り方と考え方の相違の分岐点にもなった。
個人的に好きなアルバムのランキングは以下
24位:プリンス|パープルレイン
25位:R.E.M|マーマー
28位:スティーリーダン|ガウチョ
30位:スタイルカウンシル|カフェブリュ
31位:イエス|90125
35位:デビッドボウイ|レッツダンス
39位:ブルーススプリングスティーン|ボーンインザUSA
56位:ダイアーストレイツ|ブラザーズインザアームス
61位:デュランデュラン|RIO
81位:ヒューイルイス|スポーツ
88位:ビリージョエル|イノセントマン
102位:ストレイキャッツ|ストレイキャッツ
110位:オジーオズボーン|ブリザードオブオズ
113位:アズテックカメラ|ハイランドハードレイン
119位:シンディローパー|NYダンステリア
128位:ヴァンヘイレン|1984
129位:TOTO|聖なる剣
138位:カルチャークラブ|カラバイナンバーズ
143位:スターシップ|フープラ
144位:ジョージャクソン|ナイトアンドデイ
145位:ジョンクーガー|スケアクロウ
147位:エイジア|エイジア
150位:デキシーズミッドナイトランナーズ|女の泪はワザモンだ
151位:STYX|パラダイスシアター
166位:ZZTOP|イリミネイター
184位:ザジャム|ギフト
195位:U2|WAR
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