90年代ハードロック名盤20選。「90年代ハード＆ヘヴィアルバムランキング100」より

レコード・コレクターズ 2021年 10月号

レコードコレクタ―ズ執筆陣25名によって選ばれた、「90年代ハードロック＆ヘヴィメタルアルバム・ランキング100」。

選者のコメントを以下に。

『REMやソニックユースの成功は全米各地のバンドを勇気づけた。

それに続いたニルヴァーナの世界的な大ヒット。さらにパールジャムやサウンドガーデンなどシアトル周辺にスポットが当たり「グランジロック」として大ブーム現象が起きる。

メジャーレーベルはこうした動きに慌てて全米各地の青田刈りを行い、地道に活動していたグループにも突然の脚光があたる。

こうした動きは幅広い音楽性を追求していたバンドを浮かび上がらせる。ミクスチャーのレッチリやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが代表格。

90年代半ばにはターンテーブルやサンプラーがメンバークレジットされるスリップノットが人気を集める。

コーンやトゥールなどラップやプログレをメタルと融合させたミクスチャーロックは90年代には非常にインパクトがあった。

時代の寵児となったナインインチネイルズ。インダストリアルメタルと呼ばれるソリッドなサウンドに加え激しいパフォーマンスでインパクトを残した。

マリンマンソンは反キリスト主義で聖書を破り捨て、星条旗を燃やしたり、過激なパフォーマンスで注目を集める。アリスクーパーやキッスの伝統を受け継ぐ。

94年にオフスプリングが「スマッシュ」でインディ史上最高のセールスを記録。同時にグリーンデイも大ヒットしパンクの一大ブームを起こす。

今回のベスト100で3枚がランクインしたパンテラ。メンバー交代を活かしてスラッシュメタルをどんどんヘヴィ化して人気を得ていった』

・90年代のハード＆ヘヴィはメタルのエクストリーム化、グランジ後のオルタナティブメタル。

・90年は洋楽が変わった。イギリスからノイズギターバンドが出てきて、米国からグランジが出てきて、ミクスチャーが盛り上がり、エクストリームなメタルが幅を利かせ、ロックの価値が一変する。グランドビートも出てきて、そこからの数年が8ビートから16ビートの時代への転換点。

・激動の10年。米国ではグランジ～オルタナが世間を揺るがし、イギリスではマッドチェスターからシューゲイザーへバトンが渡された。それらがブリットポップという大きなムーブメントを形成していった。

・90年代ハード＆ヘヴィはニルヴァーナ、メタリカに象徴される。

・前半はパンテラとナインインチネイルズとニルヴァーナ。後半はスリップノットとコンヴァージの登場に尽きる感じの90年代。

・90年代はメロハーは衰退。

・後半から空気がガラッと変わった印象。ど真ん中の95年がインターネット元年。まだCDはミリオンを連発していたが、消費のメインとなるカルチャーがアニメとゲームに移っていく兆しがあった。

・90年代は現在のシーンの起点。アイアンメイデンとジューダスプリーストが看板ボーカリストの脱退により苦境に立たされたのも、時代の潮流と無縁ではない。