レコードコレクタ―ズ執筆陣41名によって選ばれた、「70年代のロック・アルバム200」。その中から上位20作品を以下に。
AmazonMusicを貼っていきますので、個々のアルバム評などはAmazonのレビューを参照ください。
ちなみにサムネは1位のアルバムジャケットの人。アジア人初のパリコレモデルです。
目次
- 20位 デレク・アンド・ドミノス|いとしのレイラ
- 19位 トッド・ラングレン|サムシング/エニシング?
- 18位 デビッド・ボウイ|ロウ
- 17位 ザ・ローリング・ストーンズ|メインストリートのならず者
- 16位 ザ・ローリング・ストーンズ|スティッキー・フィンガーズ
- 15位 デビッド・ボウイ|ジギー・スターダスト
- 14位 ポール&リンダ・マッカートニー|ラム
- 13位 ニール・ヤング|アフター・ザ・ゴールドラッシュ
- 12位 T・レックス|電気の武者
- 11位 ブルース・スプリングスティーン|明日なき暴走
- 10位 ジョンレノン|ジョンの魂
- 9位 ジョージ・ハリスン|オール・シングス・マスト・パス
- 8位 ジョニ・ミッチェル|ブルー
- 7位 キャロル・キング|つづれおり
- 6位 テレヴィジョン|マーキー・ムーン
- 5位 ボブ・ディラン|血の轍
- 4位 セックス・ピストルズ|勝手にしやがれ
- 3位 レッド・ツェッペリン|Ⅳ
- 2位 ピンク・フロイド|狂気
- 1位 スティーリー・ダン|彩(Aja)
- 個人的に好きなアルバムのランキングは以下
20位 デレク・アンド・ドミノス|いとしのレイラ
19位 トッド・ラングレン|サムシング/エニシング?
18位 デビッド・ボウイ|ロウ
17位 ザ・ローリング・ストーンズ|メインストリートのならず者
16位 ザ・ローリング・ストーンズ|スティッキー・フィンガーズ
15位 デビッド・ボウイ|ジギー・スターダスト
14位 ポール&リンダ・マッカートニー|ラム
13位 ニール・ヤング|アフター・ザ・ゴールドラッシュ
12位 T・レックス|電気の武者
11位 ブルース・スプリングスティーン|明日なき暴走
10位 ジョンレノン|ジョンの魂
9位 ジョージ・ハリスン|オール・シングス・マスト・パス
8位 ジョニ・ミッチェル|ブルー
7位 キャロル・キング|つづれおり
6位 テレヴィジョン|マーキー・ムーン
5位 ボブ・ディラン|血の轍
4位 セックス・ピストルズ|勝手にしやがれ
3位 レッド・ツェッペリン|Ⅳ
手の内をすべてさらしたレッド・ツェッペリンの最初のピークであり、自信溢れるネクスト・ステップへの分岐点でもある。 カヴァーのレコーディングとゲストの参加は本作のセッションが最後という点もその一つ。 とにかく細部のアレンジ力と原始のエナジーのバランス感が絶妙で、ジミー・ペイジのプロデューサーとしてのセンスに舌を巻く。
至福のハード・ロック・アルバムでありながら、様々なシーンとリンクした底なし沼の作品だ。前作のアコースティック・ナンバーをダイナミックにアップデートしたような曲と、「フィジカル・グラフィティ」に直結するグルーヴィな曲が同じ地平で激しく息をしている。「ザ・バ トル・オブ・エヴァーモア」は、元フェアボート・コンヴヴェンションのサンディ・デニーとロバート・プラントがサイケデリックな交感を行ないながら、歌詞は闘いがテーマの80年代以降のヘヴィ・メタル・バンドも導く。「ゴーイング・トゥ・カリフォルニア」では、曲のモチーフのジョニ・ミッチェルが当時拠点にしていたLAのローレル・キャニオンの光景をイメージさせる。
「ブラック・ドッグ」などで引き続き俗っぽい歌を披露する一方、気高いほどの神秘性を強めている。バンド名を筆頭に、アルバム・カヴァーには表も裏も文字情報が一切なし。 アルバム・タイトルの代わりに、レコードのレーベ ル面などにメンバー一人一人を象徴した四つのシンボル・ マークを印したところも言葉に頼らぬ姿勢の表われだ。
強靭なサウンドそのものの響きをはじめ、目が覚めるほど確信に満ちた肯定性が輝く。その極みが「ステアウェイ・トゥ・ヘヴン」。見開きジャケットのアートワークとリンクし、特に内側の絵と共振している。インナー・スリーヴには歌詞が描かれているが、本作で唯一というだけでなくアルバムに付ける形で初めて公表した曲と思われ、伝えたい思いの強さが伝わってくる。その内容も “tune” への絶対的な信頼感に貫かれ、終盤は感動を禁じ得ない。 彼らにしてはかなりまっすぐなリトル・リチャード直系の 「ロック・アンド・ロール」もやりつつ、意味深長な “To be a rock and not to roll” というクライマックスのキメのフレーズは、ロックに対するレッド・ツェッペリンの覚悟のステイトメントだ。
リリースから半世紀経ってますます、ロックが持ち得る底知れぬ力がみなぎる一枚。
2位 ピンク・フロイド|狂気
「月の暗黒面」と題されたピンク・フロイドのアルバムが歴史的なヒットを記録したことは、1970年代においてポピュラー音楽の創り手・リスナーが新たな進化 (プログレス)を迎えたことを象徴する出来事だった。1曲目から禁断の四文字言葉である “fuck” が飛び出し、描かれるのは出遅れてしまった人生、資本主義の貪欲さ、社会からの孤立、精神疾患などの題材。ラストの「エクリプス」 は、「太陽(光)は月(闇)によって覆い隠される」という一節で終わる。東西冷戦、泥沼化するヴェトナム戦争、アルバム発売直後のオイル・ショックなどの時代を反映するサウンドトラックとして求められたのは、旧来の3分のラヴ・ソングではなく本作だった。「狂気」はまた、バンドの精神状態も反映していた。 初期のリーダーだったシド・ バレットを失い、活動の拠りどころだったサイケデリアの終焉、終わることのないレコーディングとツアーの繰り返しなど、 彼らは常にギリギリの一線に立っていたのだ。
もちろんコンセプト先行の頭でっかちなアルバムになることなく、音楽作品としても本作は高い完成度を誇ってい る。シングルとなった「マネー」「アス・アンド・ゼム」や、「ブリーズ」「エクリプス」など忘れ難いナンバーの数々 がインストゥルメンタル曲に挟まれながら繰り広げられる4分は、ひとつの音楽の旅路といえるものだ。
主たる曲作りは77年の後半に行なわれ、72年1月にライブ初演。同年3月の日本公演でも披露され、ヨーロッパやアメリカでのツアーで演奏しながら5月からロンドンのアビー・ロード・スタジオでレコーディングが行なわれた。事前にライヴで試運転していたことも功を奏し、楽曲はさらに洗練され、バンドの4人の演奏に加えてサックス や女声ヴォーカル、EMSシンセサイザーやキャッシュ・ レジスターの音声ループなども効果的に使われている。エンジニアを務めたのはザ・ビートルズの「アビー・ロード」も手がけたアラン・パーソンズで、本作でグラミー賞ノミ ネートもされるなど、本作をきっかけにしてその名を世界に轟かすことになった。
本作は73年に発表されるや世界的なヒットを記録するが、 むしろロングセラーとしてコンスタントに売れ続け、全世界で5000万枚といわれるセールスを達成。ロックという音楽が存在する限り聴き継がれるであろうクラシック・ アルバムとして、時代を超えて君臨している。
1位 スティーリー・ダン|彩(Aja)
車で移動中、助手席で選曲係を務めていた私がスティーリー・ダンの「彩(エイジャ)」を流すと、「いいね。 ホテルのバーでマティーニを飲んでそうな感じ」とドライバー は言った。このまま壁が何かに突っ込んだって構わない、 という自棄っぱちな気分になったことを覚えている。ダイ・ビハインド・ザ・ウィール・・・。
ジャズの語法を使った複雑なハーモニー、一筋縄ではいかない曲構成、晦渋な歌詞、時間と予算を湯水の如く使った緻密なスタジオ・ワーク、名うてのミュージシャンらによる研ぎ澄まされた演奏、エンジニアたちがお手本とする洗練された音像。そうした前評判が刷り込まれた状態で聴いた「彩」には当惑するばかりだった。
マイケル・フランクスの「アート・オブ・ティー」やマリーナ・ショウの「フー・イズ・ジスビッチ・エニウェイ」のような内容であればしっくりきたのかもしれない。 たとえばスティーヴィー・ワンダーの70年代前半の諸作に見られるコード・ワークはその複雑さが明快だった。他方、ダンの取り組みの複雑さはわかりにくい。つまり、わかりにくいことがわかりにくいのである。それを自然な不自然と言い換えてもよい。
先のドライバーへの反感は、ダンの音楽は軟派な大人のためのBGMなどではないという確信からくるものだった。しかし、よくよく聴いてみれば「ブラック・カウ」も 「ディーコン・ブルース」も「ペグ」もヨット・ロック的な意味でスムーズと形容したくなる享楽的なサウンドである。一切の妥協を許さないという求道者的な姿勢が強調されるためか、ダンのヒットメイカー的側面を見落としがちである。 デビュー時からコンスタントにヒットを飛ばしてきたキャリアを持つ彼らには、職業作家としての矜持もあったはずだ。複雑であることとラジオ・フレンドリーであることは、両立が可能であるとこの作品は示している。
ドナルド・フェイゲンは、ジャズも、フェイク・ジャズも、フェイクフェイク・ジャズも同様に好きという旨の発言をしている。この発言にダンの美学が表われてはいまいか。彼らはリアルとフェイクであればリアルのほうが偉いといった明快な価値観を示すことをしなかった。矛盾する要素を矛盾したまま提示したのだ。その矛盾は決して解決されることはない。これこそが「彩」のとっつきにくさであると同時に最大の魅力なのだろう。
個人的に好きなアルバムのランキングは以下
24位:ジェームステイラー|スイート・ベイビー・ジェイムス
32位:CSN&Y|デジャブ
34位:ジャクソンブラウン|レイト・フォー・ザ・スカイ
40位:イーグルス|ホテル・カリフォルニア
46位:ブライアンイーノ|アンビエント1
50位:フリートウッドマック|噂
60位:リトルフィート|デキシー・チキン
85位:ジュディシル|ジュディシル
101位:リッキーリージョーンズ|リッキーリージョーンズ
124位:ビリージョエル|ストレンジャー
133位:ヴァンヘイレン|ヴァンヘイレン
147位:ボストン|ボストン
155位:ジャニスジョップリン|パール
156位:サイモン&ガーファンクル|明日にかける橋
174位:ドゥービーブラザース|ドゥービーストリート
188位:ライクーダー|パラダイス&ランチ
197位:エリッククラプトン|461オーシャンブルー
199位:トムウェイツ|クロージングタイム
461オーシャンブルー、ヴァンヘイレンⅠ、ストレンジャー、ホテルカリフォルニアなんかの順位をみると、選者の好みって一般人とかけ離れてるなぁって思いました。
(関連記事)
80年代ハードロック名盤20選
https://book-jockey.com/archives/14222
ギターソロベスト20
https://book-jockey.com/archives/11000
70年代ハードロック名盤20選
https://book-jockey.com/archives/14120