「推し、燃ゆ」と「52ヘルツのクジラたち」共通点

小説に何を求めるのか?

ぼくは癒しみたいなものを求めています。

水戸黄門みたいにスカッとするやつとか、ホンワカした展開。前はそんな小説が多かった気がします。読んで心がざわつかない楽しい話。

最近は弱者とか障害抱えた人が主人公の小説が多いような気がする。「コンビニ人間」とか「星の子」とか。それだけ社会が病んでるということなのか。

「上見りゃほどなし 下見りゃほどなし」って昔から言いますが、下を見たい人が多いのか。

なぜこの本を読んだのか?

「日経トレンディ2021上半期ヒット大賞」でオススメされてました。「推し燃ゆ」が文芸書の上半期売上1位だったようです。芥川賞とって50万部売れた。下期のヒット予測が「52ヘルツのクジラたち」です。

『直近の芥川賞受賞作で現在までに発行部数50万部を超える作品は、又吉直樹『火花』(278万部)、村田沙耶香『コンビニ人間』(133.8万部)、若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(68万部)の3作品(発行部数は累計)。本作の累計発行部数50万部突破は、これらに続く快挙』

柳美里以外は読んでみました。「三体」は1巻を図書館で借りてみましたが、精読できませんでした。あまりにもボリュームが多すぎる。wikiのあらすじでさえ長い。とくに2巻。まずはwikiのあらすじ読むことをオススメします。笑

マンガの「大奥」も長いんですよ。16年間の大作。男女逆転の大奥話。それなりに面白いですが少女漫画のノリなので途中で挫折します。

「ブルーピリオド」。このパターンのマンガはよく見かけます。高校の文科系(美術など)が舞台のマンガ。最初の方だけ読んで保留してる。

「葬送のフリーレン」はマンガ大賞取りましたよね。エルフが主人公の物語。少年マガジンの「トニカクカワイイ」みたいな長寿な人の話ですが、ハガレンクラスの名作です。

「推し、燃ゆ」と「52ヘルツのクジラたち」の共通点

いわゆる毒親の話です。両方とも母娘の物語。母子の愛着障害がその後のメンタル不調を引き起こしてる。

「おしもゆ」のほうは、まず学習障害。学習障害は原因不明な病気なんですが、家庭のしつけや育て方の問題ではなく、何がしかの脳疾患が原因とされてます。

ただそれが起因となって、愛着障害から「認知の歪み」が生じて、その後の精神疾患につながっています。

母子の愛着障害って、連綿とつながってるんですよね。

母が突然ハンドルの中心を強く連続で叩いて、短くクラクションを鳴らした。押し殺すような声で「あぶないでしょうが」と向かいから来た車に聞こえない文句を言う。

姉が、自分が言われたように小さく息を吞む。どうでもよいことばかりしゃべりながら、姉はずっと母の動向をうかがっている。いつもそうだった。気に障ることがあるたび母が黙り、黙るほど、姉がしゃべる。

だいぶん昔、父の海外への転勤に一家がついていくことに反対したのは祖母だった。と聞いた。祖母は、夫に先立たれたわたしをひとり残すつもりなのか、親不孝だ、と訴え、母と孫たちを日本にとどまらせたらしい。母は祖母について恨みごとばかり言った。

「おしもゆ」を読むと毒親諸類型の、かなりの部分が適合しています。

・感情的で、すぐに暴言・暴力をふるう(死んでやるなどと子どもを脅迫)
・なんでも自分の思い通りにしようとする(進学、就職、結婚などに介入)
・子どもを他者と比較する(兄弟や親せきなど、成績や容姿など比較)
・自分の価値観を子どもに強要する(成績トップじゃないやつはクズだ)
・表情や機嫌で子どもを操作する(子どもを不安にさせ服従を強要する)

「おしもゆ」のお母さんも大変なんですが。こういうストレス抱えてる人多いよね。

あたしの中退を、誰よりも受け止められずにいたのは母だった。母には思い描く理想があり、今の彼女を取り巻く環境はことごとくそれから外れていた。次女の中退に限らない。年取った母の体調が悪化している。最近代わった担当医の愛想が悪い。直属の部下が妊娠したので仕事量が増える。電気代が増える。隣の夫婦の増えた植物が伸びてきてうちの敷地に入り込んでいる。夫の一時帰国が仕事上の都合で延期になる。買ってきたばかりの鍋の取っ手が取れたのに、メーカーの対応が雑で一週間経っても代わりの品が届かない。日を追うごとに、不眠は酷くなるようだった。

「おしもゆ」の著者・宇佐美りんさん(大学生)は、少なくとも中学から慶応みたいです。経済的には恵まれた環境にあったと思われるので、毒親といってもライトな感じでした。

もう一方の「クジラ」はヘヴィです。毒親というより虐待ど真ん中。読んでてしんどい…。

様子を眺めていたわたしに義父が気付き、笑みを収める。代わりに、冷ややかな声で言う。「物欲しそうな顔をするんじゃない。向こうに行ってろ」

能面のような、感情の消えた顔が怖い。彼の言う通りにしなければぶたれる。でも足が動かない。頭のどこかで、母が「こっちにおいで」と呼んでくれるのを期待しているのだ。そんなこと、あるはずがないのに。だってほら、母はわたしの方すら見ない。

義父が苛立ったように舌打ちし、わたしに近寄って来る。逃げなければ。でも、足は動かない。「あのね、お義父さ…」「言うことをきけ」 パン。

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