爽やかでハッピーエンドな青春小説。おすすめします。
アイドルになる夢を持った女の子が主人公。なんとなく「あまちゃん」を連想します。
東ゆうの夢はアイドルになること。
彼女は学区内の可愛い女子高生を4人集めて、アイドルグループを作りたい。
高専女子でロボコン美少女の大河くるみ。
お嬢様女子高生の華鳥蘭子。
ボランティア活動をしてる亀井美嘉。
いろんな物語があって彼女たちは仲良くなり、やがて深夜番組の女子高生リポーターに抜擢される。そのコーナーが好評で、アイドルユニットとして活動してみないかとオファーがくる。
ここでトラブル発生。東ゆう以外はとくにアイドル活動をしたいとは思ってない。仲の良い友達とちょっとした冒険をしてる感覚。仕事としてアイドルをやるというのは、そんなに楽しいものではない。レッスンも厳しい。やがて限界がきてユニットは解散。
エピローグのあらすじは書きません。ぜひ本で感動を味わってください。
トラペジウムの意味は?
コトバンクによると以下。
1 不等辺四辺形。どの二つの辺も平行でない四角形。
2 オリオン星雲の中にある四つの重星。非常に高温で強い紫外線を放ち星雲全体を光らせる。
このトラペジウムという言葉。小説の最後の最後に出てきます。とても素晴らしいエンディング。明るい未来が想像できる、いい余韻。
高山一実とはアイドルだった
じつは高山一実のことはぜんぜん知りませんでした。おっさんだと思ってた。
読み終わって、いい小説書く人だな。どんな人かな?ってググると出てきたのがこの人。
ぶっ飛びました。え~って。その衝撃があったのでこの記事書いてますw。
乃木坂46のメンバーだそうです。
こんなキレイな子が、こんな面白い小説書いたの?すごい…。
ぼくの中の小説家のイメージは、太宰はんとか村上春樹とか筒井康隆とか。なんか濃い~おじさんです。芸能人小説家でいうと、「火花」の又吉とか、「ホームレス中学生」の田村とか。
こんなルックスグッドな人は、小説を書くイメージがない。
これだけ書けるんだったら、次回作も期待します。
その前にこの作品はメディアミックスされるべきと思う。映画化やアニメ化。やりやすい内容だし。もうすでにオファーはきてるかも。
そうなると女子高生役の女優を誰にするか。エピローグ部分は本人でいいと思うけど。いや、やっぱ作家本人が出演っていうのは野暮か。
トラペジウムの売上状況は?
出版不況がいわれるなか、メッチャ売れてます。「2019年上半期ベストセラー」(日販調べ)のランキングは以下。
【平成世代が買った本】
1位:高山一実『トラペジウム』
2位:前田裕二『メモの魔力』
3位:『生田絵梨花写真集 インターミッション』
4位:TEX加藤『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』
5位:清水建二、すずきひろし『英単語の語源図鑑』
<対象>購買年齢層:0歳~30歳/ジャンル:全書籍
(※集計対象期間:2018年11月25日~2019年5月25日)
【2019年上半期文芸書ベストセラー】
1位:瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』
2位:内館牧子『すぐ死ぬんだから』
3位:高山一実『トラペジウム』
4位:真藤順丈『宝島』
5位:伏瀬『転生したらスライムだった件 14』
<対象>購買年齢層:全年齢/ジャンル:文芸書
(※集計対象期間:2018年11月25日~2019年5月25日)
げげ!直木賞受賞の「宝島」より売れてるやん。
ちなみにトラペジウムの1冊前に読んだ小説は「すぐ死ぬんだから」。78才のおしゃれなおばあさんが主人公の物語。「おしゃれ」の大事さがよく認識できる小説です。いくつになっても老け込まず、「おしゃれ」でありたい。これもいい小説です。おすすめします。
トラペジウムのメッセージとは何だったのか?
ダヴィンチでの高山一実のコメントが秀逸でした。
『現在お仕事での執筆はしてないのですが、ふとした時に文章を書きたくなります。自由に綴ることは楽しいです。ただ、軸に強いメッセージを込めない限り1つの作品にするのは不可能なのだと気付きました」
本書のメッセージはなんでしょうか?
「夢をあきらめない」だと思います。東ゆうは何度もオーディションに落ちる。でもアイドルをあきらめきれない。それで自分で美少女ユニットを作ってアイドルになることを計画する。
世界最大のアイドル、ビートルズでさえオーディションに落ちまくってました。あきらめてたらそこで終わってた。過去記事からのメモを以下に。
「そのころのぼくらは、かなり不安定な状態だった。レコードが出せなかったらどうにもならない。成功できるなんて思えなかった。ぼくらが成功するって言っていたのは、ブライアン・エプスタイン(マネージャー)だけだった。ロンドンから戻ってきたブライアンは、ぼくらの顔をまともに見れなかった。20回はレコード会社から断られていたからね」
byジョンレノン
「レコード契約に関しては、ブライアン・エプスタインに任せていたんだ。彼がリヴァプールへ帰ってきて「今回もダメだった」と言うのを何度聞いたことか。ぼくらはいつもライムストリート駅か、パンチ&ジュディという近くのコーヒーバーで、彼の列車が着くのを何時間も待ったものさ」
byポールマッカートニー
「いかなることにも増して、お金で買えるあらゆるものを超越して、平土間一等席のうしろのほうで頬杖をつき、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴの、ステージの幕が上がっていくのを見ているのが、私は好きなのです。明日はどんなふうになるのだろう。太陽はやはり明日も輝くと、私は思う」
byブライアンエプスタイン
「ぼくらはブライアンが死んだことをバンゴアで聞かされた。ズンと気持ちが重くなった。頭が混乱して、信じられなくて、ウソだろうとしか思えなかった。なにより死んだのは、ぼくらの友達だったんだ。ブライアンは友達だった。ぼくら全員取り残されてしまった」
byリンゴスター
「ブライアンが死んだあとは、ぽっかりと大きな穴が開いたようだった。彼と出会ってぼくらはプロになり、レコード業界やロンドン・パラディアムに向かって進み始めたんだから。ぼくらは自分たちのビジネスや金銭面については何も知らなかった。彼がすべてみてくれていたんだ。だから彼がいなくなったあとはメチャクチャだったね」
byジョージハリスン
お久しぶりです。トラぺジウムという言葉はじめて聞きました。
AKB48など、今いろんなアイドルグループがありますよね。まさに現在にピッタリなお話ですね(笑)。
やっぱりハッピーエンドなお話が一番ですね!