高校のころから、こういう酒がらみのハードボイルドものが好きでした。チャンドラーの短編とか読んで、酒やタバコに憧れたし、片岡義男読んで、バイクが好きになっった。
※『ハードボイルド:黄身までしっかりと固くなった「堅ゆで卵」をあらわす言葉である。文学で、感情を交えず、客観的な態度・文体で対象を描写しようとする手法。感情や状況に流されず、軟弱、妥協を嫌う生き様や、それを描いた小説のジャンルのことを指す。トレンチコート、煙草にバーボンといった記号的な表現にも使われる。』
本書、じつはハードボイルドじゃなかった。ハードボイルドってどうなんでしょうね。大人を夢見る高校生が読むと、カッコイイと思うかもしれないけど。
舞台は現代のロサンジェルス。ハリウッドの場末にある一軒のバーで、その店に出入りするアル中やジャンキーの生態が克明に描写されてます。
この本はデビュー作で、執筆当時作者はハリウッドのバーで実際に働いていました。なんか不思議な構成です。本の半分以上は1p~数pの短編集です。いろんな客のいろんなエピソードが書かれてる。アルコールとドラッグに蝕まれた人たちの無残な醜態です。
主人公(二人称の君と呼ばれる)は、3つのフロアを持つ大きめのバーで働く補助スタッフ。正規のバーテンダーに昇格しようとする意欲はない。仕事にかこつけて夜ごと大酒を飲み、アスピリンを貪り食う。
本の半分ぐらいで奥さんが家を出る。その後主人公はタガがはずれて酒、クスリの摂取量が増え、ロクデモない女と次々に関係し、重度のクラック中毒者にも心配されるほど体調を崩す。
物語終盤にかけて、主人公はあることを思いつく。その計画はうまくいくのか。
この本読んで思ったこと。
ジェムソンって、そんなに美味いか?
主人公はバーにおいてある45種類のウイスキーを、一晩に一種ずつ試飲する。すべて飲み終える頃には文字通り味得する。客に個人的におすすめの酒は何か?と聞かれると「ジョン・ジェムソンがいいですね。あのアイリッシュウイスキーは最高だ」と答える。
さっそく買いました。アイリッシュウイスキーはタラモアデューしか買ったことなかったので。量販酒店で1600円だった。
ジェムソンがなんで美味いかは表現されてません。なぜジェムソンなのか?
ここからは個人的な推測なんですが、
①アメリカ人は端麗なスコッチが好き。
ブレンドスタンダードクラスだとJ&Bレア、シングルモルト12年ものだとグレンフィディック。アメリカで人気があるのはこのへんの銘柄です。前に読んだウイスキー図鑑に書いてあった。もちろん自分でも1本買ってむかし飲んでみた。薄かったです。コーヒーもアメリカンが好きだし、なんでしょう。何でも大量に摂取するから薄味がいいのかも。で、ジェムソンはピート香がついてないので、たぶん一番水に近い味。タラモアはもっと濃かった。
②ストレートで飲んで喉への刺激が少ない。
これが大きいかも。12年物以上は喉への焼けるような刺激が少ない。しかし高い。ブレンディッドスコッチのスタンダードクラスを一通り試しましたが、刺激のないものはほぼなかった。ストレートで飲んで喉への刺激を回避しようとすると、12年物以上、高い金を払わないといけない。ピート香はないけど、スタンダードクラスではジェムソンが一番喉への刺激が少ないと思う。イコール、コスパが一番いい。
次に刺激が少ないのは、ティーチャーズかな。あれはあのプリン風味でごまかされてるのかも。で、結局ストレート派は、12年物以上を買うことになる。1~2年前は、マッカラン12年が3300円だったけど今は4500円。山崎12年は6000円だったけど12000円。余市12年も同じような感じ。というか山崎&余市の12年物は売り切れ状態。
マッサンブームか何か知らんけど、ちょっと異常な状況です。まともな価格じゃありません。
今まともな価格(3000円以下)で、ストレートで喉への刺激なしで飲めるのは以下(変動します)。
・ブランデーだけどカミュVSOP3000円、 ・ジョニ黒2500円⇒安定の価格と味。イチオシ。 ・グレンリベット12年2500円 ・バーボンだけどメーカーズマーク2200円 |
そういえば日経ビジネスに、サントリーの新浪社長のインタビュがのってて、
・原料不足(ウイスキ不況のとき生産してなかった)で山崎がない。 ・顧客第一主義ならサントリーの社員は山崎を飲むべきじゃない。新浪氏も我慢してる。 ・新浪氏は山崎を遠慮してメーカーズマークを飲んでる。 |
とのことでした。