将棋の格言は、古来から数多くある。
しかし最近は先方も進化し考え方も変わり、通用しない格言も増えてきた。本書は新格言、修正格言、古今不変の格言の3つに分けられています。ぜんぶで50の格言。うち10選を。
目次
古今不変の将棋格言
二枚飛車 鬼より怖し
敵陣を攻めるのに、二枚飛車を並べて打つ。または一段目と二段目の段違いに打つ攻めは、もっとも強力な寄せの形である。二枚飛車が有効なのは、攻めが強力なゆえに、相手がその攻めを受けるのに、ムダな受け駒を打って戦力を減らされるからで、あまり受けに駒を使うと切らされてしまうおそれもあるからだ。
歩のない将棋は負け将棋
歩は一番価値の低い駒だが、もっとも数が多く、攻防に気軽に使える駒だ。攻めるときに歩がないと敵陣に穴をあけられない。また受ける場合には、歩でないと受けた駒を取られて攻め込まれてしまう。
と金の遅早や
古来からある格言。たとえ遠くにある「と金」でも、活用していけばじつは早い攻めになりますよという教え。相手に渡したとき、と金は歩にしかならない。双方の戦力バランスがくずれる。遅く見えると金でも、活用する手は好手になることが多い。
馬は自陣に
「竜は敵陣、馬は自陣に」といわれ、竜は横に利くから敵陣にいたほうが威力があるが、馬はナナメの利きが主だから、自陣に引けば守備にも攻めにも利く駒になるという格言。
今流に修正した将棋格言
敵の逃げたい場所へ打て
終盤で敵玉をとらえる場面では、相手が逃げたい場所に捨て駒をして、逃げ道をふさげという格言。「敵の打ちたいところへ打て」という格言もあるが、相手がどこへ打ちたいかわかれば上級者だ。
王手の八割は悪手
昔から「王手は追う手」とムダな王手をやゆした格言はある。アマの大会などを見ると、王手の多くは悪手。多くの王手は悪手ということを自覚していれば、自分が王手をかけるときに気を付けることができる。
玉は行き止まりに追い込め
相手玉を寄せるのに、一段目に落とすと寄せやすくなる。これまで「玉は下段に」といわれてきた。一段目とはその先の逃げ道がない行き止まり。いったん一段目に落としたら、そこから上げないのが寄せの鉄則。終盤では玉を上部に逃がすほど寄せにくくなる。
将棋の新格言
在庫、手形、現金の順で考えよ
中盤以降、持ち駒が少し増えてきても、1に在庫(盤上にある駒)、2に手形(2手かければ金になる持ち歩)、最後に現金(持ち駒の金銀)使うという順番で考えれば、攻めが切れてしまうことはないという教え。アマと指導対局をしてもこれがわかってる人がほとんどいない。将棋の考え方で最も重要な格言。
自玉から遠い駒を先に使え
玉のまわりにいる駒は、すぐに動かなくても玉を守っているという働きをしている。相手が攻めてきたときに応戦すればよいが、玉から遠い駒は動かさないと、全く働きのないまま終わってしまう。
終盤では一石二鳥の手を探せ
終盤では攻めだけの手、受けだけの手より、攻めにも受けにも利く手、一石二鳥の手を探せという教え。これができる人とできない人では、終盤の力が全く違う。考えてみれば、終盤で2手の価値がある手を指せる人と、指せない人では、勝敗に差がつくのは当然のこと。
史上最年少棋士の藤井聡太さん。5歳のとき祖母にKUMONのスタディ将棋を買ってもらって将棋を覚えたそうです。
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こんばんは。
歩のない将棋は負け将棋。
昨日の棋聖戦第一局がまさにそうでしたね。
中盤で渡辺棋聖に歩がなく、不安定な陣形が続きました。
一方、藤井挑戦者には最大で七歩ぐらい持ち歩がありました。
勝因も99手目の▲1二歩だったと思います。
青野九段、A級在位は62期が最後だから17年前になるんですね。
途中、B2で長く踏ん張っておられたようですが、今はC1。
幕尻から3枚目の降級点持ちで、C2降級の大ピンチです。
頑張って欲しいなあ、青野九段。同世代です。