「六韜・三略の兵法|守屋洋」要約まとめ

マキアヴェッリ語録の塩野七生が強く推していた六韜・三略の兵法。

中国の兵法書の中では、孫子の兵法に次いで有名です。

「戦の駆け引きも知らないとあってはリーダーはつとまらない」 読んだことがなかったので、目ぐらいは通しとこうかと。amazonをみると、どうも守屋氏のこの本が決定版のようなので、20年近く前の本ですが読んでみました。

古典のエッセンスは、いろんな本に散りばめられるので、書かれてることは全て既読感がありました。そういう意味では、多読の方はあえて読む必要はないかも。漢文も併記されてるので、古典を読んだという満足感は得られますが。

中国でも日本でも、昔から大勢のリーダーがこの二冊の本に親しんできました。中国では劉備玄徳が遺書で息子劉禅に「漢書と礼記は必ず読むこと。さらに諸子百家、六韜、商君書をひもとき、古人の知恵に学べ」と言ってます。

呉の孫権は、部下の呂蒙(戦は強かったが学問教養に乏しかった)に対して「兵法書なら孫氏、六韜、史書では左伝、史記、漢書を読んでみるがよい」と自己啓発をすすめています。

日本では大化の改新を推進した藤原鎌足です。この人は六韜に魅せられて暗記するほど熟読し、自らの政治処世の参考にしたそうです。

小田原北条始祖の北条早雲は三略の進講を受けたとき、冒頭の「主将の法は、務めて英雄の心を覧る」という一句を聞いただけで、兵法の極意を悟ったと言われています。

ふと思うのは、漢文を理解しようと読むのは、意味を考えながら読むことになるので、すごく血肉になるのかな。超訳でさらさら読むとなんにも残らない気がします。考えながら読む。ポイントかもしれませんね。

ほかの日本人で近い例は、終戦時の首相鈴木貫太郎です。首相官邸のかれの机の上にはつねに六韜三略が置かれていたといいます。

以下に読書メモを。



中国の武経七書とは

『孫子』『呉子』『尉繚子』『六韜』『三略』『司馬法』『李衛公問対』

中国の主な兵法書七冊をまとめて「武経七書」と呼ぶようになったのは、今から9百年ほど前の宋代から。

もっとも有名なのが孫氏。各国語に翻訳されて世界中で読まれている。まずは中国を代表する兵法書といってよい。次いで有名なのが『六韜』『三略』である。

二冊の兵法書は別々の本だが、ふつうコミで呼ばれることが多い。なぜか。この二冊は太公望ゆかりの兵法書だとみなされてきた。そういう共通点ゆえ二冊並べて扱われてきたものと思われる。

太公望は現代では釣り名人の代名詞として使われているが、もとはといえば、周王朝に使えた軍師だった。渭水の岸辺で釣りをしていたところを周の文王に認められ、軍師として招かれて周王朝の創建に功績があったとされている。王(君主)を釣ったということか。3000年前の話ですが。

六韜の概要

韜というのは、弓を入れておく袋で、この場合は弓ではなく兵法の秘策。

「文韜」「武韜」「龍韜」「虎韜」「豹韜」「犬韜」の6巻60編からなる。ちなみに4巻の虎韜から、「虎の巻」という言葉が生まれた。

文韜 戦争を始めるのにどんな準備が必要なのか、もっぱら政治の問題を取り上げている
武韜 ここでも主として政治戦略を説いている
龍韜 作戦指揮や兵力配置を中心に説いている
虎韜 平野で戦う際の戦略戦術や武器の使用法などをとりあげている
豹韜 特別な地形に応じた戦い方を説いている
犬韜 兵士の教練や編成、各兵種の協同作戦などを説いている

三略の概要

上、中、下の三つの策略から成っている。だから三略。政治思想や軍事思想を説いている。

その思想には道家なかんずく「老子」の影響が強い。老子の政治論や戦争感を敷衍したのが三略だ。

上略 政治を整えるには人材を招くことが先決であることを説き、あわせて政治の要諦についてとりあげている
中略 策略の必要性、組織の統制術などを説く
下略 治国の要諦や臣下の使い方などを説いている

柔よく剛を制す…三略(上略)

「柔よく剛を制し、弱よく強を制す」という言葉がある。たしかに柔であれば人から慕われるが、剛であれば人から憎まれる。弱であれば助けてもらえるが、強であれば眼の敵にされる。ただし柔、剛、弱、強の四つのあり方には、それぞれに使い道がある。だから時と場合に応じて使い分けなかればならない。

相手国を自滅させる策(文伐)…武韜

文王がたずねた。「武力を使わないで目的を達するにはどうすればいいか」
太公望が答えた。「それには次の12の方法が考えられます」

①相手の要求を聞き入れてやれば、やがて驕りの心が生じ、必ずや墓穴を掘るようなことをしでかす。そこにつけ込む。

②敵国の寵臣を手なずけて、君主と権力を二分させる

③側近の者に賄賂を贈って、かれらの心をとらえる

④相手国の君主に、珠玉を贈り美人を献じ、政治を忘れさせ、下手にでて調子をあわせる

⑤相手国の忠臣を厚遇し、君主への贈り物を減らす。さらに忠臣が使者としてきても引見しない。相手が新しい使者を送り込んできたら、丁重に遇す。そうすれば君主は忠臣を疑い、後の使者を信任する。相手の結束にクサビを打ち込む

⑥相手国の内臣を懐柔し、外臣を離間する

⑦寵臣に賄賂を贈って買収し、利益で釣って職責を怠るようしむける

⑧君主に重宝を贈って協力を求め、相手の利益になるようにとりはかる。こうして親交を重ねて我がほうに協力させる

⑨君主を誉めあげていい気持ちにさせ、相手を尊大にさせる

⑩謙虚な態度で相手国の君主の心をつかみ、頼りになる味方だと思わせる。信頼を得た後にひそかに策をめぐらして切り崩しをはかる

⑪相手国の有能な臣下に、内密に高い地位を約束し、重宝を贈って手なずける。スパイを相手側に送り今以上に高い地位や暮らしを約束し、我がほうへ肩入れさせる。

⑫相手国の乱臣を手なずけ君主の心を迷わし、こちらから美女や歌舞団を送り関心をそちらに向かわす。好機が到来すれば、他国と手を結んで始末を考える。

以上の12の策をすべて試みてから武力を行使する。これなら勝てると見きわめてからはじめて軍事行動を起こす。

I got the six ♪ ZZTOP

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