【不格好経営・南場智子】書評と読書メモ

DeNAを1999年に起業した南場智子による自叙伝。フェイスブックのシェリルがライターに書かせたのと違い、自分で書き上げたようです。やっぱり日本人が書いたものを読んだほうが面白い。一生に一冊書ける魂の書。ワクワクするお薦めのノンストップ本です。

マッキンゼー出身者の本は読みやすい。伊賀泰代の「採用基準」とか、瀧本哲史の「僕は君たちに武器を配りたい」とか。やっぱりプレゼン上手ということか。

著者は86年に津田塾大学を卒業後にマッキンゼーに入社、90年にハーバードビジネススクールでMBA取得、96年にはマッキンゼーでパートナー(役員)に、99年に退社してDeNAを設立し社長に就任。11年に癌で闘病中の夫の看病に力を注ぐため、社長を退任。現在は代表権の無い取締役。



DeNAは、出会い系の温床になったり、課金制度のゲーム会社だったりと、あんまりいいイメージを持ってませんでした。オンラインゲームなんかをしないので、ぼくの人生に接点も無かったし。

何事も印象だけで物事を判断したらダメですね。今回の本はDeNAのすごいイメージアップに繋がると思います。

改めて「みん株」で見てみると、東証一部上場、時価総額約3000億円!
そのうち筆頭株主は13%の南場智子!
13年3月期では、売上2000億円、経常800億円、自己資本比率60%!!

いや~、ぴかぴかの会社だったんですね。それはあくまで結果としてであり、この14年間のスタートアップからのドタバタが、この本書の魅力です。もちろん実名でユーモアたっぷりにあったことが書かれている。著者は不格好と言ってますが、カッコイイですよ。なんていうか誠実です。それに勝るものはない。

会社は人材が全てだということもよくわかります。モバゲー、モバオクをつくった川崎という現・取締役は、アルバイトでやってきて、そのまま社員になったようです。

東大の博士課程で人工知能の研究をしているのを、運営サイトが素晴らしいということで、会いに行って会社に呼んで、その日からずっと会社にいるとの事。最初はマーケティングをアルバイトで手伝ってもらったりしたそうです。彼の入社後は、優秀なエンジニアが吸い寄せられるように集まってきたと。

以下に読書メモを。



意思決定はどうすべきか?

意思決定は緊急でない事案も含め、「継続討議」にしないということが極めて重要だ。コンサルタントから経営者になり、一番苦労した点でもあった。

継続討議はとても甘くてらくちんな逃げ場である。決定には勇気がいり、迷うことも多い。もっと情報を集めて決めようとやってしまいたくなる。けれども仮に1週間後に情報が集まっても、結局また迷うのである。

そして、待ち構えていた現場がまた動けなくなり、さまざまな作業に影響を及ぼしてしまう。「決定的な重要情報」が欠落していない場合は、迷ってもその場で決める。

意思決定について

不完全な情報に基づく迅速な意思決定が、充実した情報に基づくゆっくりとした意思決定に数段勝ることも身をもって学んだ。本当に重要な情報は、当事者となって初めて手に入る。だから、やり始める前にねちねちと情報の精度を上げるのは、あるレベルを超えると圧倒的に無意味になる。

コンサルタントと事業リーダーの違い

将来起業することを知っていたら、コンサル会社ではなく、事業会社で修行したかった。ところが巷では、将来事業リーダーになりたいので、まずコンサルタントとして勉強するという考え方が幅を利かせているらしい。コンサルは言う人、手伝う人であり、事業リーダーはやる人だから、立場も求められる資質も極端に違う。ゴルフでタイガーウッズのようなトーナメントプロになりたいから、まずはレッスンプロになろう、というのと同じくらいトンチンカンだ。

彼女はスーパーレディ♪

ルーサーヴァンドロスでShe’s A Super Lady♪ マーカスミラーがプロデュースして、ばりばりスラップ弾きまくるアルバムです。このアルバムが気に入ったので、ブラコンはあんまり聴かないのですが、ルーサーはずっと聴いてました。ファーストアルバムのマーカスを超える驚きは、その後はなかったですが。ミンガスのジャコ並みのインパクトです。

Luther Vandross – She's A Super Lady
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