「ユニクロ 対 ZARA」戦略と違い 

ユニクロ 対 ZARA というよりファッション全般の構造がわかる一冊。もちろんユニクロ、ZARAも丸裸になっています。著者は流通コンサルタントとして新興企業の経営サポートに関わったり、ファッション専門家として各大学でファッションビジネス論の講義をしたり、日経ビジネスなど様々な媒体で発信したりしています。

まず世界のファッション流通企業の2018年度売上ベストファイブです。いつの間にやらユニクロが3位になっている。

企業名 売上高(億円) 営業利益率 店舗数
①インディテックス(スペイン) 3兆2720 16.7% 7490
②H&M(スゥエーデン) 2兆5374 7.4% 4968
③ファーストリテイリング(日本) 2兆1300 11.1% 3445
④GAP(アメリカ) 1兆8065 8.2% 3666
⑤Lブランズ(アメリカ) 1兆4421 9.3% 2943

次にユニクロ(ファーストリテイリング)とZARA(インディテックス)の特徴を一言で表します。ここで理解できなくても、本稿を最後まで読むとなんとなく違いがわかると思う。

ユニクロ:年齢を問わず大多数の人が着ることができるベーシックカジュアルウェアを、「パーツ(部品)」として提供する。

ユニクロ対ZARA

ZARA:働く女性とその家族やパートナーのためのトレンドファッションを、「スタイル」で提供する。スタイルで提供するので1アイテムのカラーはほぼ一色。百貨店クオリティのトレンドファッションを高速回転、低価格で提供することをコンセプトとしてる。

続いてユニクロとZARAの価格帯の違いです。プライスポイントとは中心価格帯の事です。それぞれのアイテムで比較すると、どれもZARAがユニクロの2~3倍の高価格となっています。

ユニクロ対ZARA

ZARAのブランドコンセプトは、かつては富裕層のものだったヨーロピアンモードのトレンドファッションを、低価格で世界中の多くの消費者の手に届けること。つまり百貨店で販売されているようなデザイン性のある商品を、いかに安く早く多くの人に届けるか。具体的には百貨店クオリティを半額で買えるという。

以下のフォトはスペインの百貨店ブランドとZARAの比較です。見ての通りざっくりと半額になってます。

ユニクロ対ZARA

日本の百貨店ブランドとZARAの価格比較もざっくり百貨店価格の半額になっています。

ユニクロ対ZARA

注意深い読者の方はお気づきになったと思われますが、「おいおい、なんで日本はスペインの2倍で売ってるんや。ナイスボッタか」

スペイン本国でZARAを買うと、日本のユニクロ並の価格か、その1.5倍程度の価格で買えるという事です。まあこれはしゃあない。この前韓国出張者と話してたら、韓国のユニクロではヒートテックが、3000円(2000円だったかも)で売ってるという。しかも今やユニクロは韓国で一番売れてるブランドだと言います。

ZARAの日本価格が高い理由は本書によると以下。世界88カ国に出店するZARAは国内・国外で値段に差がある。これはZARAが「生もの」であるファッション商品を海外の店舗に届ける際、コストよりもスピードを優先して空輸便を使うことにしているためだ。欧州以外は全商品空輸するので、スペインから遠い国ほど価格は高く設定される。ファーイースト。ZARAは平均4週間で商品を入れ替える。店頭商品の高速回転はZARAの生命線。

その他の読書メモ(要約)を。



ユニクロの工場数

ユニクロはベーシック商品を扱う。トレンド商品と比べると脇役であるが、毎シーズン買い換え需要があり安定的な売り上げが見込める。ユニクロはシーズンの標準販売期間を12週間に設定している。その期間中にベーシック商品を欠品させない安定供給のために、選択と集中を行った。

ユニクロは海外の取引先協力工場に委託生産を行っているが、その工場数は約70社に絞り込んでいる。H&Mは約800社、ZARAはグループ全体で約1500社。ユニクロの絞り込みは突出している。

ちなみにユニクロの年間品番数は全店共通商品で約1000アイテム。1品番あたりの生産枚数は平均で50万枚。

ZARAの生産モデル

ユニクロが売り切り型に対して、ZARAは作り足し型。個々の商品ごとの平均販売期間は4週間。年間約1万8000品番の商品が販売されている。セーターやTシャツのようなベーシック商品の生産は、アジアの工場に外部委託する。それらはトレンド商品と比べるとリスクが少なく、むしろ品質と価格の勝負になる。

一方全体の50%以上を占め、ZARAの主力となるトレンドファッション商品のほとんどは、スペイン、ポルトガル、モロッコなど本社の近隣で、多品種少量スピード生産システムにより商品化されている。

まずシーズン売上の25%を最初に生産する。最初のロットを売りながら、POSデータや店舗スタッフの定性情報を元に本部はデザインを作りかえる。75%は店頭での顧客反応を毎週吸い上げてデザインされた改良商品である。本部でデザインしてから各国の店舗に届くまで4週間のスピード。この必要な分だけスピーディにつくる仕組みは、1980年にトヨタのジャストインタイムの指導を受けて確立した。

このように改良された商品が、全世界の店舗に毎週2回決まった曜日に新商品として並ぶ。

ZARAは広告宣伝をほとんど行わない

宣伝にどれだけ経費をかけるのか。売上高広告宣伝費率。世界の広告宣伝比率の水準は3~5%と言われる。

GAP Lブランズ 青山商事 ファーストリテ しまむら ZARA
3.9% 4.2% 8.4% 4.6% 2.6% 0.3%

ZARAは店舗こそ最大の広告宣伝と考え、賃料は高くてもブランドイメージと顧客のアクセスを優先し、好条件の立地の物件に厳選して出店する。また高級感のある内装、月曜と金曜に欠かすことなく新商品を投入し、同時に店内の商品配置を替える。このため通常ファッションブランドを訪れる回数は年間3.5回と言われる中、ZARAは17回訪れるという調査結果もある。

なぜユニクロは駅ビルの上層階に多いのか

毎週のチラシ広告で自ら集客できるユニクロは、都心部の駅ビルでも、多くのファッションブランドが入居したがる家賃の高い下層部ではなく、大きな売り場面積が取れる上層部のフロアを狙った。家賃比率は通常、売上高の10%台中ごろのところ、その半分程度に抑えて出店できるよう交渉を続け、多くの出店を果たしている。

知名度の高いユニクロのシャワー効果は絶大で、それを期待した商業施設はユニクロにとって好条件で契約したのだ。

ユニクロの海外比率

ユニクロは2014年8月期に海外売上高30%を超え、グローバルブランドの仲間入りを果たした。2019年には海外売上は約半分の1兆円超え。海外営業利益は国内の約1.4倍となった。

ユニクロとZARAの店舗基本データ

ブランド 平均売場面積 1店あたり売上 年間在庫回転数 訪問時品番数 年間品番数
ユニクロ 250坪 7.76億円 5.8回転 500品番 1000品番
ZARA 324坪 7.45億円 12回転 1500品番 18000品番

ZARAの店舗がアメリカに少ない理由

アメリカの多くの都市では、GAPやリミテッドストアのようなベーシックカジュアルが好まれ、低価格志向の客が圧倒的に多いから。

なぜユニクロは欧米では広がりにくいのか

ベーシックカジュアルSPAのガリバー企業が存在する先進国においては、ユニクロの成長は限定的。アメリカの衣料市場は大きいとはいえGAPグループだけで1兆2800億円。(GAP3900億円、オールドネイビー5800億円、バナリパ2400億円ほか)またオフプライスストアのTJMAXXやROSSも障壁になる。

オフプライスストアとは、ポロなどのナショナルブランドの流通在庫を大量に買い取り常時ディスカウント販売するチェーン。トップ2社だけで2兆円を超える市場規模を抱え、モールに店舗を構えベーシックカジュアル衣料を低価格で大量販売している。

欧州にもベーシックカジュアルSPAはC&Aやプライマーク、マークス&スペンサーなど指定席に座っている。

そのためユニクロの成長の主戦場は今後中産階級が続々増える可能性があり、ベーシックカジュアルマーケットのシェア争いに決着がついてない、中国を筆頭としたアジアの新興国に集約される。

ユニクロとZARAの原価率

業界平均 30%以下の原価率、平均35%の値下げを行い、最終的に55%の粗利益率
ユニクロ 40%程度の原価率、平均25%の値下げを行い、最終的に50%の粗利益率
ZARA 37%の原価率、平均10%の値下げを行い、最終的に60%程度の粗利益率

ZARAオーナーのアマンシオ・オルテガの経歴

オルテガはForbes2014によると、ヨーロッパ1位(世界3位)の資産家。1936年スペインのレオン州で4人兄弟の末っ子として生まれる。鉄道マンだった父の仕事の都合で、13歳のとき現在ZARAの本拠地であるア・コルーニャに引っ越す。1950年、家計を助けるため中学を中退し、13歳で紳士シャツ店galaで商品配達人として働き始める。客の話をよく聴くオルテガ少年は在籍3年間で接客販売の仕事を任されるようになる。

3年後、兄と姉が勤めていた服地屋チェーンLa Majaに転職する。同社が販売していた生地を洋服にする事業を提案し、社長に認められ部隊を切り盛りする。

1963年、兄ひとり目の妻となる後輩の縫い子メラと、バスローブとランジェリーを製造卸販売するアパレル製造業GOAを立ち上げる。

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