80年代はみんな聞いてたオールナイトニッポン。
黄金の85年。DJは日替わりで桑田佳祐、中島みゆき、ビートたけし、鶴光、とんねるず。どれもメッチャおもろかった。とくに鶴光は圧倒的人気やった。そこに割って入った謎の新人、マン小峰。だれやそのおっさん。
週刊プレーボーイの編集者でした。
今はマン小峰、筑波大の非常勤講師やってます。その小峰が佐藤優に筑波大学で講義を頼んだ。学生は優秀な人を集めた。東大、京大、筑波のマスター、ドクターコースの学生たち。
東大のドクターコースで学んでいた落合陽一博士も来た。
せまい会議室で行われた全17講が本になりました。本自体は対談形式でキャッチ―なネタで面白い。より哲学的思考を深めたければ、佐藤の推薦図書をよめばいい。
以下6点に絞った読書メモを。
なぜイランは制裁されるのか?
イランのアフマディネジャード元大統領は2005年に、イスラエルを地図上から抹殺するという公約を掲げた。それを現実にするために核開発を行いミサイルを製造した。イランのミサイルはノドン2号をコピーしたシャハブ3。射程距離は2000キロ。イスラエル全土を射程圏内に収めている。
イランのイスラム教徒はシーア派。シーア派の中の12イマーム派。12イマーム派の人はこの世の終わりに世界最終戦争が勃発してハルマゲドンになると考える人たちがいる。アフマディネジャード元大統領とか。
12代目イマームは874年にお隠れになって、今日までずっと現れてない。
諜報の世界の常識では、イランが核兵器を持っていると確認されたら、パキスタンの核弾道をサウジに移動させると考えられている。パキスタンの核開発のお金を出したのがサウジ。オーナーの要求に応えざるをえない。
そしてサウジが核兵器を持てば、湾岸諸国、アラブ首長国連邦、カタール、オマーン次々に核兵器を持つ可能性が出てくる。核の拡散で大変な緊張状態になる。
それを止めるために、イランの制裁を強化した。イラン産の原油を誰も買わなければ、イランの外貨準備高は6カ月程度で枯渇する。そうすればイランの核開発は阻止できる。それができなければ、人類は核を全員が持つという新しい歴史の段階に進むことになる。
⇒ぼんやり生きてると、なんでイランが米から制裁されてるのかよくわからないですよね。
スンニ派(スンナ派)のハンバリ学派がヤバイ
イスラム教はスンナ派9割、シーア派は1割。スンナ派は最高指導者を選挙で選ぶ。シーア派は血統子孫で選ぶ。後継者問題で分離した。
次にスンナ派は以下の4つに分かれる。
①ハナフィー学派
イラク西部、トルコ、シリア、中央アジア、エジプト西部、南アジア。
②マーリキー学派
アラビア半島東部、北アフリカ。
③シャーフィフィー学派
イエメン、イラク中部、エジプト東部、東アフリカ、東南アジア。
④ハンバリ学派
カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア。
①~③は世俗の思想や伝統と折り合いをつける傾向が強いので、そんなに危険はない。
④のハンバリ学派が危ない。イスラム過激派やテロはほとんどハンバリ学派から出ている。この学派は祖先崇拝や聖者崇拝を一切しない。コーランとハディースしか認めず、この2つをベースとしてできたシャリーア・イスラム法によって、世界はたった1つのカリフ国家で統治されないといけないと考える。
⇒スンナ派が4つに分かれるのを今回初めて知りました。
サウジアラビア人の酒と女は?
ハンバリ学派の1つであるワッハーブ派を国教としている国がサウジアラビア。ワッハーブはサウード家という部族の王様と協力してワッハーブ王国をつくり、これが後のサウジアラビア王国の素地になった。サウジアラビアは「サウード家のアラビア」の意味。
サウジアラビアの王族は堕落している。ウイスキーを飲んで酔っ払う。コーランではアルコールは禁止されてる。でも彼らにいわせると、コーランで禁止されてるのはブドウからできたアルコール飲料で、ウイスキはブドウを原料としてないから問題ないと。
イスラム教は売買春は死刑。しかも死刑方法が残酷で石打ちの刑。卵より大きく拳よりちょっと小さい石を山盛りにして、それをみんなで投げて殺す。そうすると鼻が折れ歯が折れ目玉がつぶれる。それは苦しい死に方をする。
でもロンドンのエスコートクラブに行くとアラビア語表記がある。客はサウジアラビアの人が多いと。つまりサウジアラビア人はロンドンで買春してる。
石打の刑にはならない。なぜならロンドンにあるのは「結婚あっせん所」。イスラム教は結婚のときに必ず離婚の条件に付いて取り決めて契約しないといけない。
この契約を逆手に取ったのが「結婚あっせん所」。聖職者が経営してる。それで写真を見せて「はい。この娘は結婚時間2時間、慰謝料は5万円」という説明がある。これを「時間結婚」という。イスラム教では4人まで結婚できる。金持ちが3人と結婚して、4人目は空けておいて時間結婚をする。なので600回結婚したとかいう人もいる。
ほとんど国の体をなしてない。税金もなければきちんとした国会もない。サウジアラビア国民には国がオイルマネーからぜんぶ生活費を出してくれる。汚い仕事、つらい仕事は、すべてイエメン人やパキスタン人にやらせて、サウジアラビア人は公務員として遊び放題。
⇒日本も売春禁止だけど、たまたま風呂で自由恋愛して行為したという強引な理屈。
アラブの春はなぜ広がらなかったのか?
チュニジアに始まる民主運動はリビア、シリア、イラク、イエメンに拡がった。しかし民主政権は誕生しなかった。なぜか?
「人権」の反対語は「神権」。中世のヨーロッパは神が全権を握っていた。近代になって神の持ってる権利が人間にスライドしてきた。世界中で。
ところがアラブ世界だけは神権から人権への転換が起きなかった。だから現在でも神権。神が決めたことがすべて。人間が自分たちを統治するという発想は根付かない。エジプトは独裁的なムバラク政権が倒され民主的な選挙が実施された。民衆は神権を支持するムスリム同胞団に投票した。民主的な選挙を通じて、民主主義を否定する政権が成立してしまった。
⇒人権の反対は神権。考えさせられます。
シリアのアラウィ派とは何か?
アラウィ派のアサド大統領はとんでもない人。自国民に対して平気で毒ガスを使う。それは自国民という意識がないから。歴史的な経緯もある。
日本の新聞にはアラウィ派はシーア派の一派と書かれているがちょっと違う。「アラウィ派」はキリスト教や仏教、ヒンドゥー教と、さまざまな要素がまじっている特殊な土着宗教。それがシーア派とされるのは、1970年代半ばにレバノンのシーア派指導者を脅して、むりやりシーア派として認めさせたから。
アラウィ派には悪い事したら次はトカゲに生まれ変わるという輪廻転生もある。一神教には輪廻転生はありえない。クリスマスのお祝いもする。アラウィ派の人はアラウィ派の人としか結婚しない。でもシリアは国民の7割がスンナ派で、アラウィ派は13%程度。
もともとアラウィ派は1000年以上にわたって差別されてきた。人がやりたがらない仕事ばかりやらされ、社会の最底辺に置かれていた。
虐げられていたアラウィ派はなぜシリアを支配することになったのか?
フランスの委任統治時代の影響。第一次大戦後にシリアはフランスの委任統治領になった。フランス人はシリアの支配にあたってアラウィ派を重用し、現地の行政、警察、秘密警察をアラウィ派にやらせた。植民地支配では少数派を優遇するのは常套手段。多数派の民族や宗教集団を優遇すると独立運動につながってしまうから。
そういう特殊なシリアに「アラブの春」が押し寄せた。シリアにはムスリム同胞団はいない。反体制運動が起きても全く運動はまとまらなかった。反体制派の自由シリア軍は、はっきり言ってシリアの「半グレ」集団。ただの暴力集団。スンナ派なのでサウジやカタールが支援するが自由の戦士とは名ばかりで、虐殺、強姦、略奪などひどいことばかりする。
しかもそこにシーア派過激派組織「ヒズボラ」がアサド政権支援のため参戦した。そこで政府側が盛り返すと、今度はシーア派に対抗するためにアルカイダ系の人々が入って大混乱になる。このシリアの混乱に付け込んだのが当時のISIS。現在のIS。
⇒朝鮮人がGHQに戦勝国扱いされて、在日が「朝鮮進駐軍」として優遇され、日本国内で不法土地占拠、強姦、殺人し放題で、一切の報道が規制されたのと同じような感じ。
ファシズムとナチズムの違い
多くの人はファシズムとナチズムを混同してる。ナチズムは「血と土」の神話による荒唐無稽な思想。アーリア人種は優秀なんだと。
ヒトラーは読書家だけど、インテリではなかった。基礎教養のしっかりしてないヒトラーはトンデモ本みたいなのが大好きで、「ユダヤ陰謀説」本をたくさん読んでるうちに、世界はユダヤに支配されていると思い始めた。
その陰謀説をぶち上げたら、世間がそれに乗って、いつのまにか本人が総統に成りあがった。当時のドイツは社会的に病んでいたのでそうなった。
ナチスは健康診断、がん検診、禁煙運動を導入した。胚芽入りパンを奨励したのもナチス。ナチスの思想は生涯現役。労働力でなくなった人間は、速やかに死ぬことが期待された。
なぜ健康を重視したか?それは個人の身体は総統のものだから。国家のために使う肉体は健康にしておかなければならない。女性は子供を産む。だから社会に進出せず家庭にいて子を育てるのが仕事。避妊は禁止で子供をできるだけ増やし、東側に入植地を増やし、アーリア人を増やしていく。とてもシンプルな考え方。強いものが正義。我々の群れは生き残っていく。
「群れ」というところでファシズムと共通するところはある。しかしファシズムはナチズムと違って非常に質的なレベルが高い。
まずムッソリーニは賢かった。ドイツ語、フランス語、英語、ギリシャ語、ラテン語に堪能。ムッソリーニはニーチェをドイツ語の原文、アリストテレスをギリシャ語で読み通すことのできた知識人。彼はマルクス主義者で、もともとイタリア社会党の機関紙「アバンティ」の編集長だった。そんなインテリだからムッソリーニはこんな考え方をした。
資本主義はほっておくと必ず格差を生じさせ、絶対的貧困層を作り出す。その階層になれば自分の力では這い上がれない。家庭も持てず子どもも作れない。作れたとしても教育の水準は下がる。その結果労働力の質が低下する。資本主義はダメだ。だから社会構造を変えなければならない。でも共産主義はダメだ。
当初はマルクス主義者だったけど、のちに考えたを変えた。ムッソリーニはマルクス主義が性善説に基づいていることに忌避反応を示した。
性善説に立つと共産主義になり、国有化された生産施設で国民は一生懸命働く。しかしそんなことは実際にはありえない。人はみな裏ではさぼる。さぼる人間が続出すると生産効率が上がらないから抑圧政治を始めなければならない。
また人間は優越欲がある。共産主義になってもこの優越欲は残るので、みんなが仲良くなり得る社会はできないと考えた。だから共産主義はダメなんだと。
資本主義でも共産主義でもない第3の道をムッソリーニは模索した。すなわち国家が資本家に対して雇用を確保し、賃金を払えと命令する。それをやらないときはそのような資本家を監獄にぶち込む。そして労働者にはストライキを認めない。働かざる者食うべからず。
しかし身体障碍者は自分たちの同胞であるから、みなで支えあわないといけない。
こうした概念で「仲間を束ねる」イタリア語で「FASCIO(ファッショ)」。仲間を束ねることが我々のファッショであると。
人種に対しても寛容で、イタリア人とはイタリアのために一生懸命やる人。ユダヤ人でもイタリアのために一生懸命やればイタリア人だと。
さらに女性に関する考え方はナチズムとは違う。女性が家にとどまるのはおかしい。導入されたのが婦人参政権の導入。軍では女性を将校に登用。
国家は利己主義な存在。常に隣国外国から収奪して食い物にする。だから戦闘精神を持ってないと、国家は生き残れない。
ムッソリーニの始めたファシズム運動とはこういうもの。
ファシズムは悪の権化のレッテルを貼られているが、世界を見渡せば、かなりの国がファッショ化している。たとえば高福祉の北欧諸国。アメリカもそう。グローバリズムの流れを克服するために、各国は様々なファシズムのバリエーションを創り出している。
⇒今回一番の衝撃でした。ファシズムっていいことやん。
懐かしのオールナイトニッポンのオープニング曲をどうぞ♪ ハーブアルパート。
80年代前半ハーブアルパートの曲はよくウイスキのCMソングになってました。友人が好きでアルバム数枚をメタルテープに録音してもらって聞いてました。1:41からCM曲。
マジックマンはイントロ部がCM曲。
アンリミテッドにちょうどいいベストはないですが、この作品はCMソングが2曲入ってます。ファンダンゴとルート101。80年前後によくテレビみてた人には懐かしい曲です。
「イスラム教は売買春は死刑。しかも死刑方法が残酷で石打ちの刑…」
マレーシアでもですか?