著者のケヴィン・ケリーは「ワイヤード」の元編集長。
デジタル世界を、もっとも深く理解するビジョナリーとして、評価されてる人。スピルバーグの「マイノリティリポート」では、未来世界のアドバイザーだったそう。アイアンマンもそうだとか言ってた。
すべての本はテキストがデジタル化されて、リンクできるようになる。古今東西の本がどんどんリンクでつながる。そうするとwikiみたいになる。その時はもちろん完璧な自動翻訳になり、人類の知識がすべてつながる。いまは著者や出版社の意向で無理ですけど。この流れは止められない。
音楽はみんなが自分で簡単につくりだすようになる。特殊技術だった映画の撮影が、YouTubeで誰もが映画製作者になったように。
2050年の市民生活。ホロデックやウェアラブルVRコンタクトレンズ、ダウンロードできるアバター、AIインターフェース。未来の人々が振り返って、「あの頃に生きて戻れれば」というチャンスの時代が現在。
いまは検索できないことが多いです。フェイスブックのなか、電話アプリ、ゲームの中の世界、動画の中身・・今後これらはできるようになる。ビデオゲームの中で起こっていることは、ニュースと同じように検索可能になる。
それは時間領域にも広がる。ウェブカムでエジプトのターリー広場のライブ映像は見れるが、広場の1年前の映像を見ることは不可能だ。2050年のウェブは過去の文脈にも及ぶようになる。
本書の12章を1行要約する
1.Becoming
ネット化したデジタル世界は、結果ではなくプロセスとして生成。
2.Cognifying
世界中が利用して人工知能を強化することで、それが電気のようなサービス価値を生じる。
3.Flowing
自由にコピーを繰り返し流れる。
4.Screening
本などに固定化されることなく、流動化(アップデート)して画面で読まれるようになる。
5.Accessing
すべての製品がサービス化して、リアルタイムにアクセスされる。
6.Shearing
シェアされることで、所有という概念が時代遅れになる。
7.Filtering
コンテンツが増えすぎて、フィルターしないと見つからなくなる。
8.Remixing
サービス化した従来の産業やコンテンツが、自由にリミックスして新しい形となる。
9.Interacting
VRのような機能によって、高いプレゼンスとインタラクションを実現して効果的に扱えるようになる。
10.Tracking
そうしたすべてを追跡する機能が、サービスを向上させるライフログ化を促す。
11.Questioning
問題を解決する以上に新たな良い疑問を生みだす。
12.Beggining
すべてが統合され、著者がホロスと呼ぶ次のデジタル環境へ進化する。
強いシンギュラリティではなく、弱いシンギュラリティがくると著者は予想している。弱いシンギュラリティでは、人間がAIの奴隷にならない。
ロボティクス社のバクスター
典型的な工業用ロボットの全運用期間にかかる平均費用は50万ドル(ハード10万ドル、プログラム作成や訓練、保守などに40万ドル、アップデートはバッチ式)。
バクスター本体は2万5000ドル。バッチ式のプログラムで動くこれまでの定番ロボットは、ロボットの世界ではメインフレームのコンピュータに相当するのに対し、バクスターは最初のパソコン型ロボット。
大昔のメインフレームとは違ってパソコンを使うように、直接その場でやりとりできて、専門家の助けを仰ぐ必要もない。
ソーシャルの未来と音楽
かつてソーシャルはテキストが支配していた。次世代ソーシャルは映像とサウンドを扱うものになる。かんたんに作曲したり、曲をいじったり、アルゴリズムで音楽を自動作成したりして、リアルタイムで共有できるツールもじきにできる。ユーザーがつくるカスタム音楽が標準のものになり、毎年つくられる音楽の大半を占める。他のアート分野でも民主化が進んでいく様子を見ると、ミュージシャンでなくても音楽が作れる時代がすぐに来る。ブログでみんながライターや評論家になったように。
wikiの統治について
wikiやリナックス、オープンオフィスといったサービスの統治の核心部分をよく観察してみると、外からの印象と違って、集産主義の理想郷からはやや遠い。wikiには100万人単位の人が書き込む一方で、少数の編集者(約1500人)がほとんどの編集に責任を持っている。
幸せな時代
読者やリスナーになるという点で、いまほど良い時代はない。大量の新しい作品が毎年創造されている。1年で800万曲、200万冊の本、1万6000本の映画、300億のブログ投稿、1820億のツイート、40万のプロダクト。
最近の調査では、この星で録音された曲の数は1億8000万になる。通常のMP3なら人類の録音した音楽データの総量は20テラバイト。現在20テラバイトのHDは2000ドルで買える。5年後には60ドルになりポケットに入るサイズになる。もうすぐあなたは、全人類の音楽すべてをズボンのポケットに押し込める。
オスカーの袋
2015年オスカー候補者たちに、アカデミー会場で配られた袋に、リップグロスやロリポップ、旅行用枕、高級ホテル付旅行券まで、雑多な商品が16万8000ドル分も詰められた。それを提供する側は、オスカーの候補者なら高い影響力を持っていると冷静に計算したのだ。
ブラック・サバスでアイアンマン♪
1970年。ヘヴィメタルの原点は、バーミンガムの機械工の鬱憤からはじまりました。しかしオジーもいい年して「セックス依存症」というのも恥ずい。