2017年新書大賞1位「言ってはいけない残酷すぎる真実」要約まとめ

3部構成になってます。
1.努力は遺伝に勝てないのか
2.あまりに残酷な美貌格差
3.子育てや教育は子供の成長に関係ない

ノンフィク新刊を多読する人にとっては、既読感のある記事が多いと思う。あまり本を読まない人にとっては、コンパクトに残酷な真実が理解できる。

残酷な真実とは、池谷裕二の本や、著者の前書で書かれてたことです。頭の良さはほとんど遺伝で、子どもが努力しても変わらない。以下、閲覧注意。不愉快になるのが嫌なかたは、読まないでください。



ずっと疑問が残ってました。
とくに著者の6年前の本の以下の部分。

『最新の遺伝学と心理学の発見。①知能の大半は遺伝であり、努力しても大してかわらない②性格の半分は環境の影響をうけるが、親の子育てとは無関係で子供同士の社会的な関係でつくられる。そしていったん身についた性格は変わらない』

遺伝じゃなくて環境影響の部分、なんで子供同士の社会的な関係が影響するのか?別々の環境で育った双子が、ほぼ同じような人生を歩むのはなぜか?これが本書で氷解しました。じつに6年ぶりです。

「子どもは、自分と似た子どもに引き寄せられる」ということです。一卵性双生児は同一の遺伝子を持っていて、別々の家庭で育ったとしても、兄弟が同じような友だち関係をつくり、同じような役割を選択する可能性が高い。遺伝と友だち関係が同じなら、その相互作用によって、瓜二つのパーソナリティができ上っても、何の不思議もない。

子どもは友だち集団のなかで、グループの掟に従いつつ、役割(キャラ)を決めて自分を目立たせるという複雑なゲームをしている。子どものパーソナリティ(性格)は、遺伝的な部分を土台として、友だち関係のなかでつくられていく。

これらを補足する話も面白かった。2つあります。

1つめ、乳児期に別々になった一卵性双生児の姉妹の話。2人の遺伝子はまったく同じで、成年になったときに1人はプロのピアニストに、もう一人は音符すら読めなかった。

養母の一人は家でピアノ教室を開いている音楽教師で、もう一方は音楽とは無縁の家だった。この話が面白いのは、子どもをピアニストに育てたのは音楽を知らない親で、音符すら読めないのは、ピアノ教師の娘だったこと。

1人はプロのピアニストになったのだから、どちらもきわめて高い音楽的才能を親から受け継いでいる。なぜ逆になったのか?

子どもは自分のキャラを子ども集団のなかで選択する。音楽とは無縁で育った子どもは、なにかのきっかけで(幼稚園でたまたまオルガンを弾いた)、自分に他人とちがう才能があることに気づく。彼女が子ども集団のなかで自分を目立たせようとすれば、その利点を最大限に生かそうとする。音楽によって彼女はみんなから注目され、その報酬によってますます音楽が好きになる。

それに対し音楽教師の娘は、まわりにいるのは音楽関係者の子どもたちばかりだから、すこしくらいピアノがうまくても誰も驚いてくれない。メイクやファッションのほうが目立てるなら、音楽に興味をもつ理由などどこにもない。

2つめ、英才教育について。11歳でハーバードに入学したウィリアムの話。まさに神童そのものだが、大人になると親に背を向け、父親の葬儀にも姿を見せなかった。学問の世界とも決別し、安月給の仕事を転々として46歳で心臓発作で亡くなった。独身で無一文だったという。

「ウィリアムのおかれた状況は、母親には育てられたが仲間とのつきあいがないままに成長したサルの状況に似ている」

仲間不在のまま育ったサルは、明らかに異常行動が目立つ。英才教育を受けて神童も、幼少期に友だち関係から切り離されたことで、自己をうまく形成することができず、大人になって社会に適応できなくなった。

親が子供にしてやれることは何なのか?子どもの持っている才能の芽を摘まない環境を与えること。

知的能力を伸ばすなら、良い成績をとることがいじめの理由にならない学校を選ぶべき。女性の政治家や科学者に女子高出身者が多いのは、共学と違って、学校内で「バカでかわいい女」を演じる必要がないからだ。必要ならデートの時だけ男の前でその振りをすればよい。

同様に芸術的才能を伸ばしたいなら、風変りでも笑いものにされたり、仲間外れにされたりしない環境が必要。

とはいえ有名校に子どもを入れても、そこでどのような友だち関係を選び、どのような役割を演じるかは親が介入できない。自分の遺伝的特性を最大限に生かして目立とうとするが、それは多分に偶然によって左右される。

以下にその他の読書メモを。



身長と体重の遺伝率

身長の遺伝率は66%。背の高さのばらつきのうち66%を遺伝で、34%を環境で説明できる。よくある誤解は、遺伝率を個々の確率と取り違えること。体重の遺伝率は74%と身長より高い。スリムなことが美徳とされる社会では、太っている人は努力が足りないと考えられているが、スリムな人は遺伝的にやせている、という可能性のほうが高い。

精神病は遺伝するのか?

精神病の遺伝率は非常に高い。躁うつ病が83%、統合失調症が82%。背の高い親から長身の子どもが生まれるよりずっと高い確率で、親が統合失調症なら子供も同じ病気を発症する。

サイコパスの遺伝率は?

イギリスで1994年から3年間に生まれた5000組の双子を対象に、反社会的な傾向の遺伝率調査が行われた。

犯罪心理学でサイコパスに分類されるような子どもの場合、その遺伝率は81%。環境の影響は2割弱しかなかった。その環境は、子育てではなく友だち関係のような、「非共有環境」の影響とされた。子どもの極端な異常行動に対して親ができることはほとんどない。親の責任は、たまたまその遺伝子を自分が持っており、それを子どもに伝えたということだけだ。

バカは遺伝するのか?

一般知能は知能指数によって数値化できる。一般知能(IQ)の遺伝率は77%、論理的推論能力の遺伝率は68%。頭の良し悪しは7~8割は遺伝で説明できる。

努力しても逆上がりのできない子はいるし、音痴は矯正できないこともある。それと同じように、がんばっても勉強できない子もいる。だが現在の学校教育は遺伝がすべてということを認めないから、不登校や学級崩壊の現象が多発するのは当たり前なのだ。

ゴリラのペニスは小さい

ゴリラのオスは体重200キロ近くあるが、ペニスの長さは約3㎝で睾丸は大豆ほどしかない。なぜか?一夫多妻のゴリラは、オス同士の競争はその前に終わっていて、ハーレムのメスと自由にセックスできるから。セックスにコストをかける必要がない。

対して乱婚のボノボ。平均体重40キロにもかかわらず、ペニスはゴリラの3倍で、睾丸はLLサイズのタマゴの大きさ。なぜか?身体の大きさや力の強さではなく、精子レベルで他のオスと競争している。1頭のメスを複数のオスで共有するなら、多量の精子を生産できるほうが、子宮に到達できる可能性が高まる。

ボノボ、ゴリラ

ヒトの本性は乱婚

証拠の一つは男性器の構造。乱婚のボノボやチンパンジーよりも長く太く、先端にエラがついている。一夫一妻や一夫多妻説では、この形状が説明できなかった。

ヒトのペニスの機能は、かんたんな実験で明らかになった。ペニスと同じかたちををしたものをゴム管のなかで激しく動かすと、管のなかに真空状態が生じ、内部の液体が吸いだされるのだ。

男性のペニスと性行動は、特徴的なかたちとピストン運動によって、膣内にたまった他の男の精液を除去し、その空隙に自分の精子を放出して、真っ先に子宮に到達できるように最適化されている。

なぜ女性はエクスタシーで叫ぶか?

サバンナには獰猛な肉食獣がいる。声によって自分の居場所を知らせるのは極めて危険。誰でも知ってるように男と女のオルガズムはきわめて対照的。男は何回かのピストンでたちまち射精し、すぐに性的欲望は消えてしまう。女性の性的快感は時間とともに高まり、繰り返しオルガスムに達する。この違いはこれまでの進化論では説明できなきなかったが、乱婚説では謎が解ける。

男性はなぜ短時間なのか?女性が大きな声をあげる性交が危険だからだ。素早い射精が進化の適応だった。それに対し女性は、大きな声をあげることに、身の危険を上回るメリットがあったはずだ。それは他の男たちを興奮させて呼び寄せることだ。

これによって旧石器時代の女性は、いちどに複数の男と効率的に性交し、多数の精子を膣内で競争させることができた。そのためには、よがり声だけでなく、連続的なオルガスムが進化の適応になる。

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