(日経ビジネス22年3月7日号「なぜ給料は上がらない」より主要国の平均賃金推移)
日本はなぜ貧しくなったのか?
大きくは2つだと思う。
①為替=円安の影響
②日本企業の競争力がなくなった。とくに「産業の米」である半導体が壊滅
最近「なぜ日本人は貧しくなったのか?」という記事が増えました。上記グラフは購買力平価に基づく各国の平均賃金推移です。日本が約4万ドル弱/年。アメリカは別格としてその他は6万ドル弱/年です。
ちなみに日経ビジネス3月7日号特集の「なぜ給料は上がらない」の原因はシンプルでした。日本は生産労働人口の減少により、高齢者や主婦が労働市場に参加し、彼らの賃金は低いので平均賃金は下がるというもの。
あと分配面では企業の内部留保も増えている。
それと海外は転職文化でよい人材には市場価格の給料を出すけど、日本は転職文化がないので給料のステップアップがない。
GDPは為替影響が大きい
日本が貧しくなった主因。過去10年のドル円の為替推移。ざっくり1ドル80円が120円まで円安になってる。円の価値が50%下がった。
記事の1番上のグラフの平均賃金に1.5倍かければ約6万ドルになるので、1ドル80円になれば日本の平均賃金は先進国の平均レベルになる。アメリカには届かないけど。
他国並みに金利を上げると円高になりますが、日本は国債の問題があるから難しいですよね。
日本の長期金利が上昇することには大きなリスクが存在します。最も大きな問題は、日銀の保有する日本国債の価格下落による含み損の発生です。
日銀が現在保有する国債の平均利回りは0.2%前半と言われており、それ以上に市場金利が上昇すれば、保有している国債は含み損の状態になります。
日銀以外の民間の金融機関も同じように国債を保有しています。市場金利の上昇は、金融機関の保有する資産にもマイナスの影響があります。
また市場金利が上昇すれば、国債による資金調達の金利負担が大きくなり、国の財政状態の悪化に拍車がかかります。
日銀が今後も国債買入れによって金利上昇を防ごうとすれば、国債保有残高がさらに大きくなります。これは、金利上昇時の日銀のリスクをさらに高めます。もし日銀のバランスシートが金利上昇により劣化すれば、中央銀行の信任が低下します。これは円安リスクに拍車をかけることになります。
OECD主要国平均賃金とは?
OECD主要国の平均賃金の考え方ですが、基本的には「1人あたりGDP」なんですけど、各国で物価が違うのである程度そろえる必要がある。
購買力平価の為替レートを使って計算されていて、物価を考慮した数字です。ポイントは他国は物価の伸びより賃金の伸びの方が大きくて可処分所得は増えています。日本は可処分所得は減っている。
最近おもしろかったのは主要国のiPhone指数。最新のiPhoneを手に入れるのに、日本人はアメリカ、オーストラリア、スイスの人の1.5~2倍ほど働かないといけない。日本だけグラフの傾きが違う。iPhoneを手に入れるための労働日数が増えています。
もう日本人は無理してiPhone買わんでいいと思う。バッテリ交換して5年以上iPhone8とか使うんだったら、CPUもメモリもストレージも優位性のあるAndroidスマホを、3年ピッチで買い換えするほうがコスパがいい。スイッチングコストを考慮しても。
GDPとは。簡単に
「1人あたりGDP」が貧しさを計るベースなら、そもそもGDPってなんだという。復習というか再確認の意味でメモ残しときます。
ある一国で生産された財・サービスの総額です。GDPは三面等価の法則っていうのがあって、「生産」=「分配」=「支出」がイコール金額になる。
「生産」は財・サービスの生産を通して生み出された付加価値の合計のこと。単純に国内の会社の売上を合計するとダブるので仕入れを引いた合計というか、最終的に売れた商品(完成品)の価値がそのまま付加価値の合計というか、そんな感じです。
「分配」はみんながもらってる給料とか配当とかの合計。
「支出」はみんなが使ったお金の合計。政府が使ったお金も含まれます。
めっちゃアバウトですが。詳細はググって補完してください。
日本のGDPが減ったのは日本企業の競争力が落ちたから
わかりやすいのは韓国です。韓国はサムソン1社で韓国のGDPの14%を稼いでいます。それから韓国の主要企業64社(グループ)で韓国GDPの83%を稼いでいる。
韓国の企業が強いのは、サムソンやSKなんかの半導体なんですよね。
台湾が伸びてるのも半導体。世界最強のTSMCは世界の半導体の5割を生産しています。そりゃあGDPが伸びるわけだ。
一方で日本。かつての大企業は軒並み没落。いまやトヨタの1本足打法です。ヤバいです。
国家の衰退とはなんなのか?
この前ひろゆきが語っていて、なるほどと思ったこと。国家の衰退について。
「日本の衰退」とは日本人が減ること。日本を衰退させようとしたら日本人を減らしていけばいいと。
2020年の日本人口は1.258億人⇒2030年は1.166億人で10年で920万人減ります(内閣府)。
大東亜戦争のときの日本人死者数は310万人。1941年12月から1945年8月の約4年間。80万人/年平均で亡くなっている。大東亜戦争は国難というか日本の衰退だった。そのときと同じだけ今は人口が減っている最中。
これを国難と言わず何を国難という。
日本人を減らすには、結婚平均年齢を上げればいい。出産は30歳を超えればダウン症率とか遺伝子疾患率が高くなる。35歳以上は高齢出産となる。
今日本人の平均結婚年齢は男31歳、女30歳。これを4~5歳上げれば日本は滅亡する。
いま日本の大学進学率が約50%。うち50%が奨学金を平均320万円ぐらい借りている。借金返済のめどがつくのがだいたい30歳すぎてから。男は生活を支える必要があるので、借金があるあいだはまじめな人間は結婚を躊躇する。みんなカネがないから早婚できない。
日本は政治的な変革がむずかしい
上のグラフを見てください。中国、日本、韓国ともに少子化で労働人口は減少していきます。みんな下の方(若年層)がへこんでいる。だけどこの3国の人口ピラミッドには明確な違いがあります。
日本だけ高齢化&少子です。よくみると日本はトップヘビー。他国より65歳以上の人口比率が高い。扶養しないといけない老人が多いのです。
中国は文化大革命で、韓国は朝鮮戦争で高齢者人口が少ないそうです。医療レベルの違いも原因かもしれない。
日本は老人が多いので、少子化と合わせてダブルショックなんです。
老人の面倒を見ないといけない現役世代の負担は大きく、政治は票田である高齢者優遇となり、若年層にはしんどい政策を打ち出します。
大学の奨学金なんかは320万円x35万人ぐらいなので約1兆円/年です。1学年140万人として70万人が大学に行きその半分が奨学金を借りるとしての計算です。
もう国立大学進学者は奨学金返済免除にすればいいと思う。もしくは老人の医療費を自己負担させて、大学生で奨学金返済を全員免除でもいいとも思う。だって若者がこれからの日本を背負うのだから。
老人で医療費が払えない人ですか?自己責任です。ガンになったら寿命です。
資源のない日本は、製造業を中心とした技術立国でしか国力を維持することは難しい。
これから日本を背負う賢い人を育てる教育環境と、転職が容易にできて有能な人が昇給できる柔軟な雇用環境の構築。これらを再整備するタイミングなのかもしれません。
彼女はお金のために必死に働く♪
毎日が犠牲の連続♪
だから彼女には優しくして♪
邦題は情熱物語。1983年。ドナ・サマーがレストランで居眠りしていた清掃員の話を聴いて書いた詩だそうです。働く女性への応援歌。
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