『地方銀行全106行のうち約4割の40行が、2018年3月期決算で、本業が3期以上連続で赤字となったことが金融庁の調査でわかった。人口減少や低金利で収益が悪化し、有効な打開策を打ち出せない苦境が改めて浮き彫りになった』
いやいや。。金融機関は2期連続赤字の会社にはふつう「回収」に徹します。追加融資はしないし一括返済を迫ります。銀行さん自身が赤字の場合はどうするんだろう。
銀行がやばい本質的な理由は以下。
『コンビニ決済やスマホ決済に食われ、店舗が不要になった。地方銀行なんかシステム維持できないので、セブン銀行のATMを使い始めた』
世界のトレンドです。欧州最大のドイツ銀行でさえドイツ国内の25%の店舗を閉鎖します。
三菱UFJは今後1万人削減する。みずほは1~2割の支店を統廃合。新卒採用を抑えて、自然減でゆるやかに衰退できるのか。時間との戦いです。
以下に過去記事からの読書メモを(長谷川慶太朗と田村秀男の近作)。マイナス金利の影響や銀行リストラでどうなるか、まとめてます。
マイナス金利(=10年国債の利回りが2016年よりマイナス)の影響
収益の大部分を日本国債の運用(日本政府への貸付)で賄ってきた多くの金融機関は、苦しくなっている。国債依存率はメガバンクより地銀のほうが高い。それよりさらに厳しいのは生保である。銀行より国債依存度がさらに高いから。このままいくと運用益を出せる対象がなくなってしまう。
生保は日本生命をはじめとして相互会社で上場していない。相互会社は資金調達やM&Aにおいて不利である。今後は第一生命のように株式会社にせざるをえない。
金融マンは保守的であるから、尻に火がついてから動き出す。今後バタバタと地銀の統合、第二地銀の統合、生保の株式会社化が進行する。
さらに厳しいのは農協。資産運用の大部分を国債に依存している。農協は現在日本最大の地主。土地を担保にカネを借り、跡取りがいなくて担保流れで農協の所有になる。
農協が所有し、無耕作のまま放置されている土地は、岡山県一県分に相当すると言われているが、もっと多いのではないか。これがわかると一気に批判されてしまう。誰か意欲のある法人に管理運営を任せればよいのに、なぜ無駄に放置しているのかと。
放棄地の有効利用は、農地保護法の改正と同時に、農地行政を変えないといけない。安倍首相はその方向で改革を進めようとしている。それに黒田ショックが拍車をかけている。
FT技術の進化が銀行員を激減させる
FT技術の飛躍は素晴らしい。ソニー銀行は窓口がない。それがこれからの日本の銀行の姿である。大銀行も新規採用を控えている。採用しても仕事に慣れるころには、多くの仕事場がなくなるからである。
決済革命は急ピッチで進む。腕時計型のウェアラブル端末で、送金決済ができる。ATMへ行く必要がなくなる。ATMが不要になれば、銀行の支店も要らなくなる。
銀行員は現在全国で25万人ほどであるが、おそらく今後は5000人前後となる。近い将来、AIの活用で、トレーダーですら要らなくなるといわれている。問題はリスクをどこまで計算に入れるかなどの判別である。これは人間でないと難しい。その判断を行う人間は、5000人もいれば十分である。日本全国の銀行すべてで5000人である。余った人間はサービス産業など、新たな市場へと転換しなければならない。
マイナス金利導入の真の狙いは何か?
日本のマスコミは報道しないが、マイナス金利導入の真の狙いは、それによって日本の金融機関の整理統合を促し、近代化、合理化、国際化を図っていくということ。時間的な余裕もなく、素早くやりたいのでマイナス金利という荒療治をした。
これまで日銀は手段のかぎりをつくして、金融機関の統合整理を促してきた。結果としてうまくいかなかったので、最後の手段としてマイナス金利の導入に踏み切った。
元日経記者で、現産経の論説委員の田村氏いわく、地銀や第二地銀の整理統合について、新聞には地方の読者も多いので、ふれることはタブーになってる。だからマイナス金利の良い面を強調するしかないと言ってます。新聞はそこは書けないと。
銀行リストラの日本経済への影響は?
第二地銀(旧相互銀行)は2016年以降のマイナス金利でほとんどが営業赤字になった。地銀や第二地銀は地方の企業に貸すべきお金を証券に回したりしている。企業に資金を貸さない。
政府がこれまで地銀を整理統合しようとすると、邪魔が入った。邪魔とは地元出身の国会議員。整理統合では地銀の淘汰が起こる。国会議員はスポンサーが消えることになるので、必死で邪魔する。
整理統合は、信組、信金まで及ぶ。今や日本経済の実態に比べて、金融機関は多すぎる。日本の金融業界は、そうとうな勢いで整理統合へとこれから向かう。
とはいえ、銀行のリストラは日本経済にとって実はたいしたことない。銀行全体で行員は25万人程度しかいない。(ちなみに東芝がつぶれると、20万人の雇用影響が出る)
ついこの前、地元銀行で住宅ローンを借り換えました。メガバンクとどちらにするか悩んで、担当者には以下を確認しています。「銀行さんが統廃合したら僕のローンの金利は上がるのか?」「いや統合会社に引き継がれて同じ金利です」とのこと。
「銀行」という業種は無くならないと思いますが、
今現在の業態を将来にわたって確保することは、かなり難しい
のではないかと言わざるを得ないと思いますね。
でも、そうは言っても、銀行さんの底力は桁違いに物凄いので
そこいら辺の普通の企業と同列に論ずることは出来ません。
お国のお偉いセンセイ方だって、これまで散々コキ使っておいて
ポイは出来ないだろうし。
少しずつ安全に衰退・・・
それが皆さんに共通のコンセンサスじゃないでしょうかね?