なぜトヨタ社長は「裸の王様」と叩かれているのか?「巨大自動車企業 トヨトミの野望」概要まとめ

トヨタの社長が「裸の王様」だと叩かれてます。

「ビジネスジャーナル」という「サイゾー」のWebメディアに書かれてました。「リテラ」とかも「サイゾー」傘下です。いつも反日偏向記事ばかり。なので話半分に聞いてた方がいい。

とはいえ火のないところに煙は立たず。現体制に不満を抱く人もいる。数年前にも朝日新聞の元記者が原案協力して、トヨタの恥部をえぐり出すようなフィクションを書いてました。「トヨトミの野望」です。

旧サイトに概要をまとめてたので、以下に再掲します。



トヨタ近年の社史がよくわかる本。もちろん仮名でぜんぶ書き変えられてます。山崎豊子の本みたいに(ペンネームは、経済小説開拓者・城山三郎をリスペクトしてるんでしょうね)。

ただこの本で読んだことを、トヨタ関係者に話すと嫌われるかも。本書が逆鱗に触れて、原案協力者はトヨタのイベントから出入り禁止になってます。

この前読んだ日本のタブーに、以下が書かれていたので読んでみました。

『昨年の調査。広告費が1000億円を超えた9社のうち3社が自動車メーカー。1社がタイヤメーカー。この国のメディアにとって自動車産業が最大の得意先。とくにトヨタは最大の4980億円の巨額広告費。

2016年10月に出版された「巨大自動車企業 トヨトミの野望」。トヨトミ自動車を舞台に、武田剛平という叩き上げのサラリーマン社長と、豊臣統一という創業家のサラブレット、2人の主人公を軸に物語が進行する。

主人公のたたき上げ社長は奥田氏、サラブレットは豊田章男社長と思われる。この小説がトヨタの逆鱗にふれたのは、若かりし頃の章男社長の「スキャンダル」。トヨタ社内でもタブー視されてる裏面史が、臨場感たっぷりに描かれている。それを可能にしたのは、原案協力のジャーナリストの井上久男。朝日新聞経済部時代から、取材を通してトヨタの内部を知り尽くしている。

この小説は10刷のヒットを記録したが、テレビ、新聞、雑誌ではほとんど扱われない。広告はトヨタの顔色をうかがって取りやめ。井上氏もトヨタの会見やイベントから出入り禁止となった』



トヨタの歴代社長、近年は以下です。

5代 豊田英二(1967年10月~1982年7月)
6代 豊田章一郎(1982年7月~1992年8月)
7代 豊田達郎(1992年9月~1995年8月)
8代 奥田碩(1995年8月~1999年6月)
9代 張富士夫(1999年6月~2005年6月)
10代 渡辺捷昭(2005年6月~2009年6月)
11代 豊田章男(2009年6月~ )

本書は奥田さんから豊田章夫さんまでの物語。

まずスキャンダルとは何か?

現社長が39歳開発部次長のとき、名古屋のクラブの若いホステスといい仲になった。そこにヤクザが登場。典型的な美人局。暴力団フロント企業の事務所に拉致される。そこを猛者の奥田&張が乗り込み現社長を救出。示談はトヨタグループ処理係の豊田通商が行ったという。

まあこの話はよくある話で、さほどインパクトはない。人間だからそれぐらいのことはあってもいい。

それより本書に一貫して流れてるのは、奥田さんはすごかったという話。創業家は経営者の器じゃないし、嫉妬して報復人事までしてる。トヨタの功労者に。

喜一郎(実質創業者)⇒章一郎(喜一郎の長男)⇒章夫(章一朗の長男)

トヨタの社長は、弟とか、分家の人、外部人材もやってますが、豊田本家筋では、現社長が3代目になるんですよね。

奥田さんが社長になる前、豊田家の人間が社長をして業績が悪くなってる。それをいろんな手を打って、会社を大きく発展させたのが奥田さん。

ダイハツや日野のグループ化、中国市場参入、米国市場開拓。清濁併せのむ。フィリピン時代は絵画取引で裏金つくって政権に入り込む。アメリカ市場もロビー活動で、バッシングを封じ込める。

ボンボン社長だと、ワイロ贈って他国の世論を抑えたり、そういう発想がない。周りはイエスマンで固めてる。真の危機になったときに、救える人間がいない。奥田さんみたいに。

以下に読書メモを。



自動車メーカーは脆い

自動車メーカーなど脆いもんだ。国の規制ひとつで右往左往して会社が傾く。外野は大銀行並みのトヨタ銀行と面白がってヨタ記事を書いてくれるが、内情がわかってない。トヨタは世界中で1か月に5000億円~1兆円のキャッシュが出ていくんだぞ。クルマが売れなくなり、製造ラインが止まれば終わりだ。

(補足)19年3月期:売上30兆2257億円、経常利益2兆2855億円、自己資本19兆8462円、総資産51兆9369億円、自己資本比率38.2%、従業員数37万人弱。

プリウスは最初赤字だった

世界初のハイブリッド。当初は採算割れ。車体価格215万円。同クラスのガソリン車が150万ほど。40%ほど割高。それでも採算ラインに届かない。1台売るごとに1百万円の赤字。ただし高かったので年間2万台しか売れなかった。つまり赤字もたいして膨らまない。年間2百億円程度。

トヨタ社長の米国公聴会での弁

「わたしは創業者の孫であり、すべてのトヨタのクルマにはわたしの名前が入っている。わたしにとってクルマが傷つくということは、自分の身体が傷つくことに等しい。トヨタのクルマが安全であってほしい、お客様に安心して運転していただきたい、その気持ちはトヨタの人間であるわたしが一番強い」

豊田家の株主比率は1~2%程度だそうです。フォルクスワーゲンは、創業家のポルシェ家とピエヒ家が合わせて51%を持ってます。

テスラはZEV規制で儲ける

現在EVトップのメーカーはカリフォルニアのテスラ。テスラは1台売るごとに5千ドルの赤字が出る。採算度外視の販売制度。カネは投資で賄ってる。テスラはオーナーが口八丁のやり手で、EVが世界の主流になれば莫大な見返りがある、と富裕層を口説いてカネを引っ張ってきている。しかしそれが限界になった。

焦れた富裕層のかわりに、トヨタからZEV規制でカネをぶん獲ろうとしている。トヨタはカリフォルニアでクルマを売りたければ、テスラから巨額の排出枠を購入する必要がある。

テスラは現在でもZEVのクレジット販売で年間100億円単位の利益を得ているZEV規制強化後は、これが1000億円単位に跳ね上がる。

規制によるクレジット販売で濡れ手に粟の利益を得て、クレジットで儲けた莫大な利益を自社のEV開発につぎ込む。潤沢な資金で高性能のEVが誕生すれば、あっというまに世界の主流になる。

欧州、米国、中国ともにEVが主流になった。トヨタが推す水素カーは駆逐され、ガソリンカーとなり果てたプリウスとともに沈む。

テスラの投資者にはグーグルがいる。トヨタから巻き上げた上納金(ZEVクレジット)でAI自動車とインフラの、デファクトスタンダード(標準)を握れば、スマホ同様、トヨタはアジアの下請け工場になる。

トヨタはクルマを売れば売るほど、敵側にカネを吸い上げられ、そのカネで敵は強力な武器をつくる。

カリフォルニアは全米で最大の自動車マーケット。背後にロッキー山脈があり、出口のないスモッグ地獄で有名。リベラルの聖地で、自然と環境が重視され、大気汚染対策、環境規制は世界で最も厳しい。

奥田時代は、NY、ワシントン、LAにロビイストを置いて、活発に活動を行っていたが、現社長はクルマ屋にロビイ活動は不要と、経費削減してしまった。

カリフォルニアでロビイ活動を指揮できる優秀な奴は、いまのトヨタにはいない。とくにカリフォルニアは特殊で、政財界より市民運動に通じたロビイストが有用。カリフォルニア大気資源局は、弁護士、大学教授、エンジニア、企業経営者などから構成。札束で面をひっぱたいても、それがどうしたという変人ぞろい。並みのロビイストでは手も足も出ない。

(追記)トヨタで今なにが起こってるのか?

2020年3月16日号の日経ビジネスで、トヨタでいま起こってることの詳細が描かれてました。ご参考まで。PCなら200%拡大で読めると思います。スマホは指で拡大して読んでください。

トヨタ社長は「裸の王様」

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