【LEAN IN(リーンイン) ・シェリル・サンドバーグ】要約まとめ

8月12日のCNNによると、著者はフェイスブックの保有株を88億円で売却したそうです。
彼女の保有株のたった5%。

ぼくの住んでいる現実の世界からは、何光年も彼方にあるように感じるスーパーウーマンの神話です。今をときめくフィスブックの女性COO(最高執行責任者)、前職はGoogleの副社長。そんな忙しい人が、なんでこんなにデータ豊富で示唆的な本が書けたのか?

一大プロジェクトで多くの人で書き上げていました。ライターは講演の原稿作りでいつも一緒のネルスコーヴィル。様々な調査データはスタンフォード大の社会学者マリアンヌクーパーが1年半をかけて。その他にも多人数による編集チームやアドバイザー。ハリウッド映画のような豪華布陣です。

彼女の輝かしいキャリア形成は、女性差別との戦いの歴史でもあり、そのタフで極上のストーリーを聴くと、ジェンダーフリーを進めていかないといけないという気になります。彼女の半生をベースにした、新時代フェミニスト論です。むかしのモテないイメージのフェミニスト論とは少し違います。



シェリルは1969年8月生まれ。ユダヤ人。父は眼科医で、母は博士号を持つフランス語教師。高校では学年トップの成績で、ハーバード大に入学。ハーバードでも上位7人に入りフォード奨学金を得ています。

弟と妹は医師。大学を卒業後は世界銀行に就職。チーフエコノミストをしていたラリーサマーズのリサーチアシスタントとして採用されます。インド派遣後は一度ワシントンに戻り、その後ハーバードビジネススクールで学ぶ。卒業後はロサンゼルスのマッキンゼーでコンサルとして働きはじめますが、仕事が合わず1年で辞め、財務副長官になっていたラリーサマーズの特別補佐官として働きます。その後ラリーが財務長官になると、首席補佐官になる。財務省で4年働きクリントン政権が終わりを向かえ、職を失ったあとは、シリコンバレーに向かいます。

2001年、ITバブル崩壊後のシリコンバレーは厳しい状況だったけど、財務省時代に何度か会っていたエリックシュミットに会いに行き、オファーをもらう。グーグルはまだ無名で、ビジネスユニットゼネラルマネージャーとしてシェリルを採用します。当時グーグルにはビジネスユニットは1つも無く、実際に動かすべきものは何物も存在せず、仕事があるのかどうかさえハッキリしない状況だったそうです。リスクテイク。

エリックのそのときのアドバイスは、仕事を決めるときの基準は1つしかない。それは成長だと。伸び悩む会社は社内の空気が淀み、人間の方が仕事より多くなる。そうなると駆け引きやゴマスリが横行し士気は低下する。「もしロケットの一席をオファーされたら、どの席かなんて聞かないだろう、すぐ乗り込むはずだ」その後グーグルの天才たちと6年半を一緒に働き副社長まで勤めます。

そして他社からCEOのオファーをもらっていたにも関わらず、またもやスタートアップ状態のフェイスブックを選び、COOとして着任します。初めは、なんで23歳の若造の下で低い地位で働く、と質問する人もいたようですが、今は一人もそんなことを言わないそうです。

私生活では、ベンチャー会社のCEOを勤める夫と2人の子どもに恵まれた母親です。(25歳のとき一度離婚経験あり、2004年に35歳で再婚)

2011年にはフォーブスの選ぶ世界で最もパワフルな女性ランキングで5位に入りました。ちなみに1位はドイツのメルケル首相、2位はヒラリークリントン、3位はブラジル大統領のジルマルセフ、4位はペプシコCEOのインドラノーイ。

「女性よ大志を抱こう」そう言いたくて、シェリルはこの本を書いたようです。訳者によるとタイトルの「LEAN IN」は、一歩踏み出せというメッセージであると。女性がみんな、シェリルのようにエリートじゃないけど、夫婦関係は僕らの世代で奥さんのほうが強くなったし、次の世代はどうなるんでしょうね。

以下に読書メモを。



どんな人が昇進するのか?

この人を誰かに紹介したいとか、この人の昇進を後押ししたいと思うのは、その人に好感を抱くからに他ならない。もちろん仕事の能力も必要だが、仕事をするうえで誰とでもうまくやっていけることも重要である。どちらの面でも評価できなければ、その人を昇進させたいとは思わないだろう。

アメリカの転職事情

2010年の時点で、平均的なアメリカ人は18~46歳の期間だけで11の仕事を経験している。

ティアラシンドロームとは

よい仕事をしていれば、きっと誰かが気づいて冠をかぶせてくれると期待する傾向。完璧な実力社会なら、ティアラは最もふさわしい人の頭に舞い降りてくるだろう。だがそういう例は一度として見た事がない。努力と成果は、認められるべく主張しなければならない。

メンターとは?、メンティとは?

出世の階段を上りたいならメンターとスポンサーの両方を見つける必要がある。メンターとはアドバイスをしてくれる人。スポンサーとは影響力を行使して紹介や推薦をしてくれる人を意味する。

メンターとメンティは見かけより、持ちつ持たれつであることが多い。同じ会社で働いている場合には、とくにそう言える。メンティの側がより直接的な支援を受けられる一方で、メンターの側にも有用な情報をもらえる、より多くの献身を引き出せる、より達成感を味わえる、など少なからぬメリットがある。

奥さんの方が給料が多い比率

アメリカでは働く女性の30%が、日本でもおおよそ10%が、夫より多くの収入を得ている。

イカロスのように、高すぎてはいけない

手作りの翼で空を飛んだイカロスは、太陽に近づきすぎてはいけないと父親から警告されていたにもかかわらず、高く飛びすぎ、翼を固定していたロウが溶けて墜落死した。仕事とプライベートの両方で高みを目指すのは素晴らしいことだが、高すぎてはいけない。女性はイカロスの勇気を学ぶべきだが、現実の限界があることは忘れないように。

アメリカと日本の共働き比率

アメリカでは、子どものいる夫婦の65%が共稼ぎで、その大半が二人の収入で家計を支えている。子どものいる世帯の30%は片親で、その85%が母親である。日本では子どものいる夫婦の51%が共稼ぎである。子どもの約9%は片親に育てられており、その多くは母親である。

アメリカ人の労働事情

アメリカ人の労働時間は長くなっている。この傾向は専門職や管理職の男性で顕著である。企業の高報酬の専門職従事者を対象にしたある調査によると、62%が週50時間以上、10%が週80時間以上働いていることがわかった。

テクノロジーは結局一日の労働時間を増やしている。雇用労働者を対象に2012年に行なわれた調査では、回答者の80%が退社後も仕事をしていることがわかった。夕食中にメールチェックをする人は38%、寝る前に必ずチェックする人は69%に達する。

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【オプションB・シェリルサンドバーグ】書評と要約
https://book-jockey.com/archives/8128

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