【日本の「地下経済」最新白書/門倉貴史】書評と要約

【日本の地下経済最新白書/門倉貴史/18年4月初版】

地下経済とはオモテに出てこないお金のこと。非合法。で、なんぼやねんという。

日本の場合は2016年で約26.5兆円(著者推計)。名目GDP比で4.9%。

・いちばん大きいのは脱税で74%をしめる。
・暴力団の非合法所得は10%。
・セッ〇ス産業の非合法所得は9%。
・闇金業者の非合法所得が4%。
・その他(白タク、偽ブランドほか)は小さい数字の積み重ねです。

脱税で多いのは圧倒的に個人。近年増えてるのはFX脱税。

目次は以下。

1章:地下経済とはなにか?

2章:性風俗と地下経済
・日本のAV市場は年間1037億円
・ソープの市場規模は年間9134億円
・JKビジネスの市場規模は年間799億円

3章:貧困ビジネスと地下経済
・ぐるぐる病院と貧困ビジネス
・臓器売買と貧困ビジネス

4章:犯罪と地下経済
・もはや斜陽産業となった暴力団
・危険ドラッグの市場規模はすでに年間1200億円

5章:闇サイトと地下経済

以下に読書メモを。

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EU各国が地下経済をGDPに算入しはじめた理由

近年欧州地域で地下経済をGDPに算入する国が相次いでいる。イギリス、イタリア、スペイン、フィンランド、オーストリア・・。

これは各国の基準の違いの是正。たとえばオランダは売春や麻薬が合法化されてるのでGDPに算入されているが、フランスは非合法なので算入されてない、など比較が難しい。

では地下経済が参入されたらどれぐらい嵩上げされるのか?ギリシャは売春や密輸を加え約500億ユーロ/年押し上げられた。イギリスは国家統計局によると約100億ポンド。GDPの0.7%。麻薬が44億ポンドで売春が53億ポンド。イタリア中央銀行によるとイタリアは麻薬と売春がGDPに占める割合は10.9%。EU統計局ではすべての国で算入すると、EU全体のGDPは2.4%増加するという。

GDPに地下経済を算入する国の本当の狙いは、深刻化する財政赤字を削減すること。一般に財政赤字の数字は名目GDP比でみる。EUはマーストリヒ条約で毎年の財政赤字をGDPの3%以内に抑えることを要求している。

AVに関する内閣府2016年12月の調査

モデルやアイドルになろうとしてAV女優になってしまう。契約書には小さい文字で「制作するDVDなどが、成人向けである場合も含めて出演する」と書かれている。女性がAV出演を断ると、「契約を断れない」「断るなら違約金を払え」「親にばらして請求書を送る」と脅す。

おとなしい女性はノーと言えない。内閣府の2016年の2万人調査。モデルやアイドルにならないかと勧誘されたり広告を見て応募したことがあると答えた女性は2575人。このうち実際契約に至った197人に詳細を尋ねた。全体の26.9%の53人が「契約時に聞いてないあるいは同意してない性的な行為の写真や動画の撮影に応じるよう求められた経験がある」と回答した。さらにこのうちの17人は「求められた行為を実際に行った」と回答した。

イリオモテヤマネコより希少なAVトップ男優

トップ男優はわずか70~80人。イリオモテヤマネコは約100匹いる。トップ男優のギャラは1つの現場で約5万円。月20日稼働すると年収で1200万円になる。トップ男優の下には絡みのない男優たちがいてギャラはかなり安い。毎年300人ぐらいがトップ男優に憧れてAV業界に入ってくるが、1年経過すると3人ぐらいしか残っていない。それだけ厳しい世界。

最近は女性向けのAVもある。ネットの普及で女性も買いやすくなった。女性向けAV市場は約60.8億円。AV全体の約6%に相当する。特徴は登場するAV男優はかっこいいイケメンばかりで「エロメン」と呼ばれる。内容はストーリーを重視したりハウツーものが多い。監督や撮影スタッフをすべて女性にしているメーカーもある。

ソープに課税できない理由

お店に払う入浴料と女性に払うサービス料で構成される。税務署に申告されるのは入浴料のみ。料金全体の4分の3を占めるサービス料の部分はほとんど申告されない。この部分の実態を明らかにすると、売春防止法に違反してることを認めることになる。2016年の店の取り分は2283億円、女性の取り分は6850億円と推定される。

メルカリになぜ現金が出品されていたのか?

いわゆる貧困ビジネス。1万円札4枚が4万7300円、20万円が24万円でSOLDになった。クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠がある。キャッシング枠は上限がかなり低めに設定されている。

クレカのキャッシング枠で上限までお金を借りてしまってショッピング枠しか残ってない人が、メルカリで現金を商品扱いで購入している。クレカのショッピング枠でリボルビング払いを選択すれば、分割払いで大量の現金が手に入るというわけだ。出品者はニーズがわかっていて、15%から20%の利益を上乗せして現金を出品している。

メルカリは規約で禁止している「マネーロンダリング」につながる可能性があると、2017年4月以降現金の出品を禁止した。

その後はイタチごっこが続く。高額チャージされたSUICA、1万円札で作った折り紙を「オブジェ」として出品、パチンコの交換所で換金可能な特殊景品なども出品された。

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暴力団は衰退し覚せい剤に活路を見出す

警察庁のデータで2016年の覚せい剤末端価格は1グラム6万4千円。2009年より約30%ほど安価になっている。供給過剰で需給バランスが緩んだ。

仕入れは1キロ800万円から900万円。1グラム当たり8千円~9千円。今の世の中仕入れの7倍から8倍で売れる商品はそうそうない。

暴力団は1991年の約9万人(準構成員以上)から2016年は約4万人まで半減以下となった。「暴対法」「暴力団排除条例」などで追い詰められた。みかじめ料(用心棒代)やノミ行為(ばくち)など伝統的な資金源は1990年は3875億円で2016年は1875億円と半減している。

最近は暴力団がみかじめ料を要求できなくなったため、半グレ集団を通じて飲食店からみかじめ料を徴収するといったケースも出ている。半グレには「暴対法」「暴力団排除条例」が適用されないため、半グレを隠れ蓑に暴力団がみかじめ料を徴収すると、警察が取り締まることができなくなる。

スマホ当たり屋への対応策

歩いてる人にわざとぶつかって自分のスマホを落とし修理代を請求する。修理代の一部として1万~1万5千円を要求してくる。さらにはターゲットにぶつかってスマホを落とす役、目撃者Aの役、目撃者Bの役、というグループで犯行に及ぶこともある。相手が1人であれば反論できるが、「わたし見ました」と数人が目撃者としてさわぐと、被害者は心理的に追い込まれる。この手口が巧妙なのはお金が比較的少額であること、警察沙汰はメンドクサイということ。対策は1つ。メンドクサくても、とにかく警察を呼ぶこと。

⇒ぼくだったら「君たちはスマホ当たり屋か!警察読んでください」と大きな声で叫びます。

中国人白タクの市場規模は218億円にもなっている

2016年の訪日中国人観光客は637万人。日本各地の空港で中国人白タクが横行している。日本在住の華僑などの中国人がやってる。白タクは道路運送法違反で最高罰則は懲役3年。

利用者は中国人観光客。中国人白タクは日本のタクシーの半額。日本のタクシードライバーのほとんどが中国語に対応できないので、観光客には中国人白タクが重宝されている。

「皇包車」「唐人接」「丸人旅行」など中国の配車アプリを使う。ドライバーと観光客はスマホで連絡を取り合い、料金の決済もスマホで行う。配車アプリ大手の「皇包車」は、東京で1800人、大阪で1200人、北海道で280人、沖縄で100人など、都道府県ごとに在日中国人がドライバー登録している、

問題点は中国式白タクの売上は中国で申告されるため、日本政府にとって税金が徴収できないということ。警察も摘発しようと躍起になっているが、決済がスマホなので証拠をつかむことが難しく、職質しても「ただ空港に友人を迎えに来ただけ」と言われてしまう。

Jamiroquai – Deeper Underground

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