【女子刑務所ライフ/中野瑠美】書評と要約

著者は中野瑠美。1972年生まれ。覚せい剤取締法違反で4回逮捕されて、合計12年間の懲役を経験。出所後はラウンジを2店舗経営。更生してる。「ダウンタウンなう」とかのテレビにも出演して注目を集め「サイゾーウーマン」にも連載を持ってるやり手。ユーチューブで検索すると、いろんな芸能活動の動画が出てきます。



さすがに12年間も務めてると、いろんな有名人と一緒に過ごしています。たとえば尾上ぬい。あの「バブルの女帝」「北浜の天才相場師」です。ミナミの料亭「恵川」のおかみさんで、バブルで大儲けしたあと詐欺で逮捕された人。占いで株の動きを予想して「NTT株が上がるぞよ」というとホンマに上がったとかで、銀行関係者など「信者」がたくさんいた人。

有名な事件なのでご存知の方も多いと思いますが、銀行からの借り入れは2兆8千億円とか。これ料亭のおかみさんに巨額を貸した、銀行のほうが悪いと思うんですが(笑)。

尾上ぬいさんが獄中で破産手続きした負債総額は4300億円。個人として史上最高額。著者は高齢者の介護係になってたので、洗濯や布団の上げ下ろしなどの世話をしてた。

元気なころは夜になると神様を拝んでて、「ミーさんが降りてきはったで。ちゃんと守ってもらうように言うたから安心しいや」とか「養女においで」とか言われたことがあるそうです。ミーさんとは「巳さん」のこと。蛇の神様。

大阪高裁が再審を認めた西山美香元看護士。懲役12年。刑事に恋して罪を認めてしまった可能性が高い。冤罪かも。彼女とも一緒に過ごしてた著者。いわく、もともと不良でもなく、むしろ超乙女チックで、ムショに来るタイプじゃなかったと。

夫をバラバラ殺人して冷蔵庫に入れてたSちゃん。ゴキブリやハエをめちゃくちゃ怖がってたそうです。「いやいや、アンタのほうが怖いわ」ってみんな思ってた。

他の夫殺しのAちゃんは「何十か所も刺した」と報道されてましたが、ブスブス刺した記憶はないのだそうです。夢中だったのか。本人は「あんな程度で死ぬなや」と言ってたそうです。

その他の読書メモを。



留置場、拘置所、刑務所の違いは?

(留置場)
起訴される前。逮捕後すぐに入る。比較的自由。設備は整っていない。

(拘置所)
起訴されたあと入る。設備もいい。お金があれば弁当やおかしも食べれる。平日は手紙と面会が1日1回ずつ許される。

(刑務所)
刑が確定したら収容される。とにかく不自由。お金があっても弁当やお菓子は食べれない。懲役囚は刑務作業を行い、細かい規則に従って過ごす。

女子刑務所と男子刑務所の違い

平成29年「犯罪白書」によると、男子の既決囚が約5万人に対し、女子の既決囚は約5千人と、10分の1ぐらい。だから女子刑務所の数は少なく、人殺しから万引きまでみんな一緒。やはり多い罪名は「覚せい剤」関連。自分で使ったり密売したり。

男子は刑で施設が分かれてる。無期懲役の殺人犯とションベン刑のコソ泥が一緒になることは少ない。

100円ショップの商品は受刑者が作ってたりする

女子刑務所の場合は、縫製、お盆用品や家具などの木工品、金属加工(電気部品など一般企業の下請け)などが多い。100円ショップで売られているティッシュケースやツケマなどは、ほとんど刑務作業品。クリップなどの中国製品を箱詰めする作業もある。1日に2000個くらいを小さなケースにパチパチと詰めていく。

時給にしたら10円にもならない。3年の服役で出所時にもらえるのは平均10万ほど。

ムショのエリート的なお仕事

刑務作業には一般工場の作業以外に、受刑者の身の回りに関する作業もある。食事、洗濯、経理、図書、設備修理、清掃など。一般工場以外の作業につけるのはいわば「エリート」。包丁やアイロンなど危ないものを持ったり、外に出て清掃したり、誰もがさせてもらえる仕事ではない。品行方正で真面目な人が担当する。

ホリエモンや鈴木宗男さんなどは、高齢者の介護を担当されてた。ムショ内ではステイタス作業。

有名な犯罪者は芸能人と呼ばれる

小向美奈子とか、福田和子とか、三橋香織とか。こういう有名人たちを所長たちはめちゃくちゃ大切にする。刑務所や拘置所は事なかれ主義。トラブル発生に敏感。所長になりたい幹部とかは、とにかく自分の在任中には何も起こってほしくない。自殺なんかもってのほか。有名な受刑者がいじめを受けたり、自殺されたりしたら、マスコミが黙ってない。ムショの偉い人たちはマスコミと法務省に弱い。

だいたい芸能人たちは、エリート工場へ配役されることが多い。和ちゃんこと福田和子は、工場ではなかなかの「女親分」的な雰囲気を持っていた。和ちゃんは隣の房にいたけど、ある朝亡くなっていて(くも膜下出血)大騒ぎになった。

看守がパーティをしようぜって言いだした♪
おれたちは刑務所でバンド組んでたんでうれしかった♪
みんな楽しそうに踊ってやがる♪
さあ みんなでロックしようぜ♪

いろんな人がカバーしてる。今回はクイーンで。

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『【女子刑務所ライフ/中野瑠美】書評と要約』へのコメント

  1. 名前:seawind335 投稿日:2018/07/23(月) 23:21:15 ID:fb1468aa8

    いやー、我々の想像とは全然異なる世界がそこには存在するのですね。

  2. 名前:don 投稿日:2018/07/24(火) 12:31:17 ID:68064f117

    seawind335さん、こんにちは~
    アメリカだと囚人は220万人もいるみたいですが。日本で入る人は稀です。

  3. 名前:扶侶夢 投稿日:2018/07/26(木) 07:58:19 ID:e6fa58df1

    表も裏も見て初めて世の中を知ることが出来ますね。

  4. 名前:don 投稿日:2018/07/26(木) 12:23:15 ID:6fcc5f54a

    扶侶夢さん、こんにちは~
    ボーダーラインの裏側に落ちると、いろいろ大変ですよね。