1552年初版「インディアスの破壊についての簡潔な報告・ラスカサス」書評と要約


時は大航海時代。歴史の教科書では、スペインやポルトガルは世界を征服し植民地化した。と一行で終わります。

それがどれだけ極悪非道で残虐だったかが、これでもかと書かれた一冊です。「1500年から1540年の40年間の間に、キリスト教徒たちの暴虐的で極悪な所業のために、男女子供あわせて1200万人以上の人が残虐非道にも殺された。それどころか1500万人以上のインディオが犠牲になったと言っても、間違いないと思う」

犬に食い殺させたとか、生きたまま焼き殺したとか、耳や鼻を削いだとか、そういう表現が淡々、延々と出てきます。とは言っても岩波文庫の、本文は172pの薄い本です。
すぐに読了できます。

著者のラスカサスは15世紀スペイン出身のカトリック司祭です。キリスト教の聖職者として、6回にわたり大西洋を横断し、インディオの自由と生存権を守る運動の中心的な役割を果たしました。

先兵隊としてキリスト教の聖職者が現地に入り、原住民を信用させた後に非道な裏切りをして殺戮する。人として聖職者として、耐えられなかったのでしょう。

そういえばフィリピンも1500年代の半ばにスペインに征服されます。ここでひとつの疑問がわきます。なんで日本は征服されなかったの?




その答えは「鉄砲を捨てた日本人/ノエルペリン」に書かれています。

鉄砲を捨てた日本人・ノエルペリンの内容

要はその時代の日本は軍事大国、世界の先進技術国だったのです。1543年に種子島に鉄砲は伝来してますが、中国も量産できなかった時代に日本は鉄砲を量産し、アジアに輸出していました。しかも雨でも使えるように改良したりして。

1500年代の後半の日本は、世界のどの国よりも鉄砲をたくさん持っていたようです。イギリス一国の銃の数より、トップの6大名は鉄砲を多く持っていたと。

日本刀や鎧も、当時の欧州のものより優れていて、16世紀の西洋の剣は当時の日本刀で簡単に真っ二つに割れるらしい。

この辺の情報はイエズス会が本国に詳細にレポートしてるので、日本を侵略しなかったのでしょう。秀吉がキリシタン弾圧に動いたのはある意味正解だったと思います。

1500年代の後半のイタリア人宣教師のオルガンティノ・グネッチは、日本の文化水準は全体として故国イタリアの文化より高い、と思ったそうです。当時のイタリアは、もちろんルネッサンスの絶頂期にありました。

前フィリピン総督のスペイン人ドン・ロドリゴ・ビベロが1610年、上総に漂着した際にも、ビベロの日本についての印象は、グネッチと同様の結論でした。

1600年以降の日本は、江戸300年の泰平の世になります。その間の軍縮により、西洋のほうが武器としては進化していきます。しかし日本は文化・教育が世界のトップレベルとなっていきます。

この素地があってこその明治維新なのでしょう。

「自慢史観」と笑うなかれ。なんでこういう歴史を授業で教えてくれないのかなぁ。

ドンヘンリーは、ホテルカリフォルニアのB面ラストのこの曲で、自国の歴史とキリスト教の罪悪を嘆いています。

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『1552年初版「インディアスの破壊についての簡潔な報告・ラスカサス」書評と要約』へのコメント

  1. 名前:サンフランシスコ人 投稿日:2020/02/04(火) 08:46:33 ID:915bd6cbe

    「日本は文化・教育が世界のトップレベルとなっていきます….」

    2020年の日本の大学…..金融工学はトップレベルではない….

  2. 名前:don 投稿日:2020/02/04(火) 12:28:42 ID:6b4ea5541

    そうですね。
    悲しいことですが、おっしゃることは事実です。