みなさんは安楽死について、どうお考えですか?
「安楽死」は70年代にホットな時期がありました。ブラックジャックの「ドクターキリコ」です。ブラックジャックは73年から79年までチャンピオンで連載。当時チャンピオンは国民的漫画「ドカベン」の全盛期。読者も多かった。
キリコはブラックジャックのライバルで安楽死推進派。ブラックジャックと方向性はちがうけど目的は同じです。2人とも患者を救おうとする。ピノコについでブラックジャック最大の見どころだった。
本書を読むまで世界の状況をよく知りませんでした。2000年代以降、世界中で安楽死は合法化されています。アメリカの五州、カナダ、スイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクなど。
アメリカで安楽死を行う人の特徴は「4W」だそうです。白人white、裕福wealthy、心配性worried、高学歴well-educated。
今回は2冊の本からの読書メモを。
・「言ってはならない日本のタブー100」
・「安楽死を遂げるまで」
目次
なぜ安楽死(尊厳死)は日本で認められないのか?
回復の見込みがない患者。延命措置を拒否し、もう死なせてほしいと訴える。いわゆる「尊厳死」は、アメリカをはじめとする多くの国では、法的に個人の権利として認められている。日本では違法とされている。医療業界からの圧倒的な反対圧力があるから。
この背景、延命措置は医療業界の大きな利潤となっている。2007年財務省資料。亡くなる1か月の終末医療費の平均額は112万円。医療機関で亡くなった70歳以上の高齢者を約80万人とすると、単純に9000億円のカネがつぎ込まれている。「尊厳死」が法制化されると、金のなる木を捨てることになる。
スイスの安楽死の状況
スイスでは積極的安楽死は違法だが、自殺ほう助は特定の要件を満たせば、「違法に当たらない」とされる。
第114条では嘱託による殺人は違法とされ、5年以下の懲役、または罰金が科せられる。しかし第115条には「利己的な目的(金銭目的)」がなければ、自殺への関与に違法性を問わないという条項がある。すなわち合法としているのではなく「不可罰(罪に問えない)」と解釈できる。
取材した医師によると、「オランダ、ベルギー、ルクセンブルクでは、医師が致死薬を入れて注射を打つ安楽死が許されているが、スイスでそれを実行すれば刑務所に入れられる。スイスでは点滴に入った薬を、患者自らストッパーを開いて血液に入れ自殺をする。医師はその手助けをするが、医師がストッパーを開けたら犯罪」
スイスではこの他にも、終末期患者に対する「セデーション」が認められている。セデーションとは、たとえば残りの命が1~2週間に迫った末期がん患者に薬を投与し、耐えがたい痛みを沈静させるとともに人工的に昏睡状態にし、死に向かわせること。フランスでも最近セデーションを合法化した。
スイスの自殺ほう助団体「ライフサークル」の費用について。年会費は5750円。実際に自殺ほう助を選ぶとスイス国籍なら46万円。外国籍は115万円。患者の4分の3は外国人で、外国籍が割高なのは、火葬や遺体搬送などに費用が発生するから。
1回の自殺ほう助にあたり「ライフサークル」に残るのはわずか11万5千円ほど。その残った資金は、老人ホームへの寄付金に回している。「可能性がある限り長生きしてもらう」をモットーに活動を続けている。
日本人が申請してきた例はない。英語による申請、自国医師による診断報告書の提出など、登録手続きがあまりにも面倒。
オランダの安楽死の状況
2001年、オランダ議会上院は賛成62%で、「要請に基づく生命の終焉、自殺ほう助」を制定した。いわゆる「安楽死法」。それまでの法律では、積極的安楽死、自殺ほう助を行った医師は「嘱託殺人罪」で送検されるが、ガイドラインに沿っていたなら不起訴になっていた。つまり医師は一旦は容疑者扱いされてしまう。
新たな安楽死法では、医師の保護が明確になり、要件を満たせば送検されないことになった。医師を送検する場合は検察に立証義務が生じる。
要件は、「患者の安楽死要請は自発的」「患者の痛みは耐えがたく治癒の見込みなし」、「医師は患者の病状について情報を与えた」そのうえで、「医師と患者がともにほかの解決策がないという結論になった」など6つを定めている。ちなみに安楽死の費用はすべて健康保険でカバーされる。
オランダでは「終末期」や「肉体的な痛み」であることを明記していない。そのため精神疾患も「耐えがたい痛み」の範疇とされる。適用年齢は12歳以上。
オランダの全死因の4%が安楽死。
ベルギーの安楽死の状況
安楽死の容認は2002年から。一定要件を満たして実施した場合、殺人罪にとわないという解釈を定めたことで安楽死を認めた。
ベルギーでは安楽死は自然死とみなす。健康保険の対象にはなっていない。注射による積極的安楽死のみが認められ、自殺ほう助は除外された。カトリックでは、自殺は人殺し以上の罪だという信仰があるので。
ベルギーの安楽死法には、「肉体的または精神的な苦痛に苛まれている」という一文がある。
オランダには「精神的」の一文がないので、医師などは倫理的に躊躇している。
ベルギーで安楽死が認められる精神疾患の基準は以下。
・10代の頃から精神科病院に何度も通うが治らない。
・自殺未遂の経験がある。
・セロトニンが足りないという生物学的な問題。
印象的な取材患者のコメント。
「やっと死ねるという気持ちで安心している。でももう少し生きてもいいかなと」安楽死は抑止力になるのかもしれない。その道を閉ざすことは、逆に死を急がせる。
アメリカの安楽死の状況
アメリカは安楽死や自殺ほう助は違法だが、尊厳死は合法という暗黙の了解がある。アメリカの尊厳死法は、自殺ほう助を可能とする法律。カリフォルニア、ワシントン、オレゴン、コロラド、バーモントの5州と、ワシントンDCで認められ、他州でも合法化が拡大しつつある。
アメリカの尊厳死法のモデルは、2006年に認められたオレゴン州の尊厳死法。
・主治医が患者を診断する。
・余命6カ月以内の末期症状を持つことを確認する。
・その判断を終末期医療に関する第三者機関が追認する。
・2人の医師の確認が終わり、最低15日以後に主治医の2度目の診察がある。
・続いて患者は書面で主治医に申請する。
・主治医が致死量の処方箋を交付するまで48時間を置く。
スイスのように事前に弁護士の了解を得たり、オランダやベルギーのように事後に専門機関に報告する義務はない。医師は全権委任され保護されている。
なおアメリカの尊厳死は、医師に致死量を処方してもらい、自らそれを飲み死に至る。医師が立ち会う義務はない。
世界の安楽死年表と本書のまとめ地図
<安楽死の年表>
<安楽死まとめ地図>
感想。地球温暖化対策として安楽死は必要と思う
サケのオスもメスも、産卵行為を終えると「死のスイッチ」が入る。数日間、産卵床を守ったのちに両方とも死んでしまう。ヤマメやイワナも産卵できなくなると、やはり親は死ぬ。
なぜ「死のスイッチ」が入るのか?川には栄養がないから。サケの稚魚は死んだ親たちの腐敗した肉や、親の体を栄養源として育った植物プランクトン、それを餌とする動物プランクトンや昆虫を食べながら川を下る。
つまりサケの親はまだ生きれるのに、自らの体を子どもの栄養源にするために死ぬ。人間以外の哺乳類は、出産ができなくなるとサケのように死ぬ。ほとんどの生物がそうだ。
ある動物の親が生まれて10年で子供を産み、10年で子供を育てるとする。するとその動物の体は20年が基準になるよう設計されている。
なぜならその動物の食料が一定だから。親が子育てを終わって生きていると、子どもが獲得できる食料が不足するから。
人間の場合はどうか。信長じゃないけど50年。
50前後で子育てが終わり、生物としての人間が終わる。だけどファクトフルネスに書いてあったけど、世界の平均寿命はいま70才。
そりゃ地球はパンクする。その弊害が「地球温暖化」。いろいろ言われているが、原因はたった1つ。人口が爆発的に増加してるから。石炭や石油の利用を減らしても焼け石に水。人間を減らさないと…。
ふつうはABC分析(パレートの法則)して主因から潰していきます。後進国へ避妊具配布するとか、宗教改革(イスラムとか神の命令で結婚出産奨励)とか、安楽死とか。
レジ袋とか電気自動車とか泡沫的な課題に対策しても、メインの課題(人口爆発)に着手しないと温暖化はどうしようもない。
世界中で安楽死を50歳以上に認めて欲しい。若い人には希望がある。50歳を超えると将来の希望が少なくなって、半分ぐらいの人間は軽い「うつ」だといわれている。ルール作りは専門家が考えればいいと思うけど、人間も子孫のために、サケやマスを見習うべきだと思います。
カサンドラ・ウィルソンで、A Little Warm Death♪
常常思っていたました、介護業界で働いている人に日本でなぜ安楽死を認めれないかと聞きました。それは医師会が反対しているからと言われました。ネットで知れば知ればほど裏で大きな力働いている感じを持ちました。
認知症の人が地域で安心暮らせる地域社会を作りましょうなどと言っていますが、とてもそんな感じを持ちません。同じ人に聞きました、安心暮らせる状態ではないと言っていました。