音楽業界の聖書ビルボード。
あらゆるミュージシャンは、米ビルボードアルバムチャートの1位になることを目標としています。それは音楽家にとって偉大なるトロフィ。
まずビルボードチャートの基本ルール。
『ビルボードアルバムチャートは、実物のCD売上とiTunesストアー等での有料ダウンロードと定額制音楽ストリーミングでの再生回数で作られる。
シングルチャートはYouTubeの再生回数も加えている。何故かというとシングルチャートは昔から無料であるラジオのオンエアー回数を加えているから。よって無料であるYouTubeの再生回数は加味しても問題がない。シングルチャートは「人気曲」チャート』
なぜテイラースイフトの新作は、いまの時代に100万枚超えを予想されるのか?
6月10日付NYタイムスの記事にその理由が書かれていました。テイラーは8月23日に7枚目のアルバム「ラヴァー」を発売予定です。
ざっとした和訳を以下に。
・去年ビルボードチャート1位の39タイトルのうち、少なくとも18タイトルはチケットやグッズの同梱品(バンドル)だった。アルバムはおまけ。
・テイラースイフトは、彼女のウェブサイトからパーカーやTシャツ、その他グッズを購入した人に、次の新作アルバムを配布する。
・昨年1位のバンドラーはトラビス・スコット。彼のCDはキーホルダー、帽子、チケット購入のおまけだった。
・2位のバンドラーはテイラースイフト。彼女はアルバムの発売も決まってないのに、彼女のウェブで服を買うとCD先行予約となる。パーカーが65ドル、Tシャツが40ドル、スマホ立てが20ドル。仮に30万人がテイラーのTシャツを買うと、CD発売初週に30万枚売上となる。
・同様の手法はボンジョビ、バックストリートボーイズもとった。
・アルバムのおまけ化現象の原因は音楽の聴かれ方の変化。2015年から2018年の間にCDは52%売上の減少、ダウンロードは53%売上が減少した。ちなみに2018年アメリカの音源売上比率は以下。CD:ダウンロード:ストリーミング=12%:11%:75%。残りの2%は映画等の使用料。あたり前の話だがストリーミングはCD実売と比べるとカネにならない。
・レーベルやミュージシャンはカネのために売り方を変えた。
・ストリーミング1400回でアルバム1枚売上換算。ビルボードの上位を狙うために、アルバム音源をチケットやグッズのおまけとして同梱した。
・テイラーは最近始めたわけではなくて、2012年の「RED」のときも22ドルのピザのおまけにCDをつけた。
・6月1日チャートがもめたのは、タイラーザクリエイターとDJキャレドの1位対決。DJキャレドのアルバムはエナジードリンクのおまけ。タイラーはTシャツやステッカーのおまけ。
・DJキャレドのファンブログが「まとめ買い」を奨励して、1人でたくさんのグッズを買ったので、ビルボードはその分を無効とした。その計算のために3日も遅れた。
・現在ビルボードは行き過ぎた音楽のおまけ化を改めるべく、新しいルールを作成中。それまでは現行ルールのまま。
⇒いかがでしたでしょうか。日本のAKB48のことを笑えない状況になってきてます。世界がAKB48に追いついてきたw。
日本の女性アーティスト最大のCD売上は誰でしょう?宇多田ヒカル?ユーミン?
いやいや違います。AKB48です。なんと5,700万枚のCD売上! 売れ始めて約10年弱なので1年で500万枚売れてます。あと10年これが続くと累計売上1億枚になる。1億枚といえば、メタリカとかプリンスとかビヨンセぐらいです。
AKB48がすごいのは「猿飛佐助」と同じということ。ご存知ですか?猿飛佐助。
猿飛佐助とは白土三平のマンガ「サスケ」に出てくる忍者のことです。猿飛佐助、じつは個人名ではない。それは「術」の名前。あるいは「型」の名前といってもいいです。
その「型」を習得したものが名乗るのが「猿飛佐助」という名称。それゆえ「サスケ」のなかには猿飛佐助が何人も出てきます。たとえ敵にころされてもまた現れる。その意味で猿飛佐助は不死身でした。
AKB48も個人じゃない。メンバーは常に新陳代謝するのでいつもフレッシュ。ファン層となるティーンも代替わりする。ファンもメンバーも入れ替わりながら続いていく。サステナブル。
BABYMETALの新作はアメリカのビルボードアルバムチャート1位になれるか?
それから10月11日に新作出すBABYMETALについて。
米国ツアーチケットに新作CD同梱してるみたいです。20公演完売したら7万人規模。チケット同梱だけで、日本人初の米ビルボードアルバムチャート1位は射程圏内。
8月3日付米ビルボードアルバムチャート1位はエドシーランで78,000枚でした。強力盤に当たらなかったら、ストリーミング加味してベビメタは約10万枚。1位の可能性が高い。
(すいません。外れたので下段に分析を追記しました)
ちょっと心配なのは悪の帝国「ライブネイション」の販売方法。あの会社は1万円のチケットを3万円~10万円で売ります。完全に需給。それでBABYMETALはまだ完売してない。
KPOP勢は韓国政府や韓国企業がライブネイションから一括で買い上げて、リーズナブルに配布してるみたいです。巨大資本に対抗するにはいい方法かも。
ライブネイションという巨大資本。ほとんどのライブ会場を独占で抑えてるので、ミュージシャン側がライブをするのに、配給先の選択肢がない状況です。
音楽がタダになって、レーベルが儲からない時代になり、ライブ会場を巨大資本で抑えて、ミュージシャンから興行でカネを抜く。よく考えられたビジネスモデルです。
むかしはレーベルが音源を抑えてカネをミュージシャンから抜いたけど、音源ビジネスが儲からない今、ライブネイションが一強になってしまった。
イリノイの山奥から、ダンフォーゲルバーグと一緒に出てきたアーヴィンエイゾフ。ポイズンドワーフ(毒の小人)と呼ばれた男が作り上げた、渾身のビジネスモデル。
ちなみにエイゾフは6年前にライブネイション会長の座を辞任しています。まぁあんだけ独禁法で叩かれたらイヤになってやめるわね。近年のニュースはレイカーズをフォーラムに戻そうとしたことや(エイゾフはLAフォーラムやMSGのオーナー)、ニッキーミナージュ論争とか。
というかビルボードパワー100(音楽業界影響力ベスト100)2019年版でも相変わらず4位。
エイゾフ語録で有名なのは、「ツアーの最初の3日間はまるで天国にいるとおもった。3日間でおれたちは400人の女を相手にしたんだ。信じられるか?」
彼はデビッドゲフィンからイーグルスのマネージャーを、1974年ごろ引き継ぎます。そのときのツアー語録。当時のグルーピーの狂乱は、その後「あの頃ペニーレインと」という映画になりました。
テイラーが100万枚超えるか、今年一番の音楽業界トピックス。MID予測で80万枚。
(10月22日追記)
10月26日付チャートが速報されました。BABYMETALは13位でした。ベスト10の販売枚数は以下。
1ヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲイン110,000枚
2ポスト・マローン99,000枚
3サマー・ウォーカー78,000枚
4ダベイビー55,000枚
5リル・ジェイ45,000枚
6テイラー・スウィフト44,000枚
7ワーレイ38,000枚
8ビリー・アイリッシュ34,000枚
9クリス・ブラウン33,000枚
10ヤング・サグ33,000枚
予想が外れ誠に申し訳ありません<_ _>
このサイトの予想をもとに、1位やベスト10入りを期待された方に深くお詫び申し上げます。
予想ハズレの主因はチケットバンドルの平均取得率が3割だったこと。すいませんこれ知らなかったです。7万枚x3割で2万枚強。それに購入が加算されて3万枚前後となりました。
それからストリーミング(有料サブスク)が弱すぎた。アメリカの一般人の認知度が低すぎた。適切なプロモーションがなされていない。今後の対策は以下。
①やっぱり良質のシングルが必要。優れたMVと楽曲のシングルを4作目のアルバムでは発売時に用意する。リードシングルの露出で一般の認知を高める。言うは易し。一番難しい。
②パフィアミユミみたいなアニメを作って、一般家庭のちびっ子に浸透させる。
③物販バンドルをテイラー並みにする。これでCD実売枚数が大幅に嵩上げ。
④ライブ時間を長くする。3人目を正式メンバーとしてBBMを復活。となるとメンバは歌がそこそこうまい鞘師に限定されるが。彼女にはストーリーもあるしいいんじゃないかと思う。
⑤4作目にアベンジャーズから1人正式メンバを選ぶ投票権をつける。悪魔の一手。もちろんスー&モアとの人間関係、パフォーマンス優先だけど、スー&モアが誰でもいいよ、パフォーマンスが同一レベルの場合は、人気投票で選ぶのもありか。となると4作目は2年後になるのでアベンジャーズを引っ張りすぎか。メインシナリオは2020年10月での正式メンバ発表と思うが。
※③の補足ですが別記事でも書きましたが、物販に以下を加えて充実させる。
・黒地に白いロゴの350mlマグカップ。ロゴは小さめ。
・似たようなシンプルデザイン(モノトーン)のコースター。
・シンプルなマウスパット。
・生成りカラーのシンプルなトートバッグ。ロゴ小さめ。
・Tシャツはシンプルデザインで。
・メガネ拭きなら派手でもいい。
・3000円とかするアートハンカチじゃなくて、普段使いできる1000円ぐらいのハンカチ。
・文房具。日本の誇る高品質なのとコラボ。ジェットストリームとか世界中で喜ばれる。
・日本の美味いスナック菓子とのコラボ商品。
・CDに3Dカード(レンチキュラ)を同梱する。ライブのプロショット。何種類も入れると欲しい人はCDをたくさん買う。物販でシンプルな銀のフォトスタンド、CDには段ボールのフォトスタンドを同梱する。
[…] グッズの方は去年世界二位のテイラーもよく言われてた https://www.nytimes.com/2019/06/09/business/media/billboard-charts-bundles.html https://book-jockey.com/archives/4064 […]