ずーっと売れてる本。
アマゾンレビューもすごい数ついてる。話題の本なので読んでみました。
読む前は、ビットコインを丁寧に解説する本だと思ってました。だからニーズがあると。ちがいました。ドラッカーの「ネクストソサイアティ」、クリスアンダーソンの「フリー」、オットーシャーマーの「U理論」を足して、3で割ったような本だった。
世の中の仕組みを、うまく言語化してる。それから近未来はこうなるというのを、わかりやすく具体例を挙げながら説明してる。売れるわけだ。一冊でバランスよく知識が得られるので、子供にも読ませたい。
ドラッカーの「ネクストソサイアティ」は2002年の本です。
・知識・アイデア > 資本の時代が来る。
・上司や人事部のいない、フラットカンパニーの時代が来る。
そんな時代くるわけないやん、と思ってましたが。お金2.0は、情報 > 資本の時代が来たといってます。最近話題になった「ティール組織」はフラットカンパニーの進化型。
まあドラッカーをありがたがるのは日本人だけみたいですが。経営学というよりも経営哲学者。著作はアメリカの2.5倍以上日本で売れている(人口比)と生前語ってます。今のアメリカでは、ほとんど引用もされず、名前も出てこない人。ピーターは嘘つきと親戚から告発されてる。彼の著作にはウソが多い。あまりにも創造力が高いと、自分の記憶が都合よく書き変えられてしまうのか。
クリスの「フリー」は2009年当時衝撃の一冊でした。いろんな情報が目からウロコだった。「人はなぜ無償でアマゾンのレビューを書いたり、ブログを書いたりするのか?社会的、精神的報酬を得るため。無償であるが、贈与経済の一部で、そこにはコミュニティへの貢献や、自己の成長の為が主な理由となる」
オットーの2010年著作「U理論」は、集合的無意識というか、みんなの想念の方向に物事が進むという本でした。「お金2.0」の、経済と自然の根底にある同一システムの話や、3つのベクトルが未来の方向性を決めるという部分が、似たような思想を感じました。
前置きはこのくらいにして、読書メモを以下に。
3つのベクトルが未来の方向性を決める
「お金」「感情」「テクノロジー」が未来の方向性を決める。
・お金:経済の構造は弱肉強食が大前提で、自然界のように淘汰と食物連鎖を繰り返し、強く大きいものが、弱く小さいものから奪うという構造。
・感情:共感、嫉妬、憎悪、愛情。経済的に成功しても、他人の感情を無視しては長続きしない。お金の影響力より劣るが強力な要素。
・テクノロジー:大きな変化のきっかけをつくる。
お金の9割が資産経済
労働して給与をもらい、コンビニに行ってお金を払うという一般的な経済は、「消費(実体)経済」と呼ばれている。大半の人はこの経済の中で生きている。
もう1つがお金からお金を生み出す経済。「資産(金融)経済」。
世の中に流通しているお金の流れの9割近くは、資産経済のほうで生まれている。少数の人が回す資産経済が大半のお金の流れを作っている。
資産経済はどんどん拡大を続けていて、世界中で金融マネーは投資先を探している。利回りの良い金融商品はなくなってきて投資先が枯渇している状況。資金調達は容易な環境にあり、相対的にお金の価値そのものが下がり続けている。
財務諸表の問題点
企業の価値は財務諸表から判断される。ただ最近は財務諸表では企業の価値が測れなくなりつつある。先進国では製造業は下火でものを扱わないサービス業が中心。さらにITなどオンラインのみで完結する事業にシフトしつつある。
この産業シフトの中で、ものや土地を前提に作られた現代の財務諸表では、企業や事業の価値を正しく評価できなくなりつつある。Webサービスの会社の最大の資産は、ユーザーであり、購買行動データも重要価値。しかしこういったものは財務諸表には一切反映されない。
ネット企業には「人材」と「データ」が重要。サーバー上に存在するデータは現在の金融的な考えでは存在しない価値のないものとして無視されている。
ネット企業はイスやパソコンなどの備品を失っても全然痛くないが、データを失ったら終わり。データこそが価値であり、それがお金を稼ぎ出す資産だ。現在の金融や会計の枠組みはこの点をカバーしてないので、いろいろな不都合が発生している。
海外の一部の機関投資家は、企業の従業員の満足度調査のデータを、投資判断の参考に取り入れている。
「価値」の3分類
「価値」という言葉は3つに分類される。
①有用性としての価値。役に立つかという観点から考えた価値。資本主義の基本。
②内面的な価値。愛情、共感、信頼など、実生活には役に立たないが、その個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼす価値。SNSで可視化されてきた。
③社会的な価値。慈善活動やNPOのように、個人ではなく社会全体の持続性を高めるような活動も価値がある。
将来のベーシックインカムの姿
AIなどのテクノロジーが発達していくと、大半の労働は価値を失う。そうなると多くの人が失業する。そこでベーシックインカムの導入が増える。国だけでなく巨大企業が無償提供することも考えられる。
例えばグーグルが自社の製品しか利用できない、無料で住めるアパートのようなものを提供することも十分考えられる。グーグルはここで人々の生活パターンを分析して、サービスの改善に活用し、ユーザーは無料で生活できる。
複数の経済システムは併存できる
沖縄の琉球コイン。こういった流れは地方公共団体だけでなく、銀行、民間企業、商店街、学校、ファンクラブにまで及び、簡単なプログラムさえ作れれば、だれでも容易に通貨を発行して、独自の経済システムを作っていける。
経済の分散化が進む。あなたは自分の資産をビットコインと日本円と楽天ポイントに分けて保有していて、シェアリングエコノミーのサービス上で自分で働いて得た報酬をトークンとして受け取り、個人間のネットワーク上で誰かから服を買ってそのトークンで支払っているかもしれない。この場合あなたは複数の経済圏にまたがって存在しており、保有する資産も分散している状態にある。
世の中の常識は変化していく
200年前、中央銀行が通貨をコントロールすることはおかしいと議論されていた。40年前、紙幣がゴールドの裏付けを失ったらそれはただの紙切れだ、と議論されていた。
今の日本の常識と呼ばれているものは、日本の人口分布でボリュームゾーンである45歳前後の人が持っている概念。
30歳前後の世代は、すでに車や家や時計などのものに対して高いお金を払うという感覚がわからなくなりつつある。ものは所有しなくても使う時だけ借りられる。
いっぽうで、50歳前後の人からすれば、スマホゲームに課金したり、ライブ配信に投げ銭したり、ビットコインを買ってる人の感覚はよくわかならない。まったく役に立たないものにお金を払う若者を憂うかもしれない。
ジェームス・テイラーで、マネー・マシーン♪
高校の時このLP買いました。リアルタイムじゃなかったけど。
「まあドラッカーをありがたがるのは日本人だけみたいですが…..」
米国ではありませんが、他の国でもありがたがる人がいるみたいです…..