【オプションB・シェリルサンドバーグ】書評と要約~レジリエンスとは?

『家に帰ると、娘は何事もなかったように走り寄ってきた。「ママお帰り」。息子はすぐにただならぬ雰囲気を察し、「どうしてもう帰ってきたの?」「それに、パパは?」私たち3人、私の両親と妹とでソファーに座った。

心臓がバクバクして、自分の声も聞こえないほどだった。勇気をふり絞って話した。「悲しいお知らせがあります。とても悲しいお知らせが。パパが死んでしまったの」

このとき聞いた悲鳴と泣き声は、いまに至るまで耳に焼きついている。私の心の叫びとも共鳴した、原初の叫びだった。この瞬間の痛みに匹敵するものを、私はいまだに知らない。いまでさえ、あのときのことを思い出すと、体が震え喉が締めつけられる』

シェリル・サンドバーグの全米大ベストセラー。リーンインに続く2冊目。

彼女の人生が暗転した。

ご存知の方も多い、シェリル・サンドバーグ。

ハーバード⇒世界銀行⇒マッキンゼー⇒ラリー・サマーズ財務長官の首席補佐官、⇒グーグル副社長⇒フェイスブックCOO

2013年にはフェイスブックの株を88億円で売却した。彼女の保有分のたった5%です。結婚は20代に一度失敗。30代で再婚して小学校4年と2年の子どもがいる。

すべてを手に入れた女性が、「女性たちよ、一歩踏み出せ」と語りかけたリーンイン。社長が現役の時に「自叙伝」出すと会社が傾く。って有名なジンクスがあるじゃないですか。こんだけ自慢して大丈夫かいな。と思ってたのですが・・・

オプションBとは「代替え案」のこと。アナザー人生。人生はバラ色のオプションA案であるべきだけど、仕事の失敗、挫折、病気、愛する人の死、で暗転する。オプションBでも、人生は素晴らしくあるべきだと。

シェリルの友人で心理学者のアダムグラントが教えてくれたのは、「人生を打ち砕く経験から回復するための、具体的なステップがある」と。

レジリエンス(回復する力)は、あらかじめ決まっているのではない。「レジリエンスは自分で鍛えることができる力」であると。人生の喪失や困難への向き合い方、逆境の乗り越え方。

ま、彼女の場合はシングルマザーになっても、カネがあるので苦しみは少ないとおもう。本書によるとアメリカ人の46%が、400ドルの突然の出費に対応できないという。シェリルは2000億円ぐらい持ってる。そこは恵まれてます。


このまえ会社の人事労政担当者と話したら、レジリエンスの研修を、中堅社員にしようかと思ってると。強い心の作り方を教えれば、ウツや退職を防げるのではないかと。

ぼくがレジリアンスという言葉を初めて知ったのは2012年9月。ブログに読書メモを残してます。以下。

『<レジリアンス(レジリエンス)>いま精神医学ではレジリアンスという言葉がたいへん流行っている。同じストレスを受けて傷つく経験をしても、そのストレスで病気になる人と、あるいはそのストレスを糧にして成長する人と2通りいる。この違いをレジリアンスという。病気に対抗する力のことで、「抗病力」などとも訳されている。

このレジリアンスの強さを決める条件のひとつが、子供時代の親からの無条件の肯定であることがよく言われている。「強い自己」を形成するのに、他者から条件抜きで肯定された経験があるかどうかというのは、大事なことである』

みなさんとこの会社は、レジリエンス研修してますか?

このレジリエンス、ストレス耐性と言いかえることもできますが、これまでいろんな本を読んで、ぼくなりに3つの理解をしてきました。

①基本的にウツは遺伝
②10代に素敵な恋愛した人は、ストレス耐性がある(アメリカ・デンバー大学の研究)
③子供時代、親にたくさん愛された人はストレス耐性がある

これの組み合わせで、ウツが避けられない人がいると。

①を補足すると、躁うつ病の遺伝率は83%。ちなみにIQは77%遺伝。
②と③は環境というか後天的な自己肯定力。愛されると人は強くなる。

若いころ親や異性に愛されなくても、先天的にタフな性格ならウツにはならない。

で、ここで疑問です。

遺伝的にウツな人、親にも異性にも愛されなかった人は、レジリエンスを獲得できるのか?
いわゆる教育や知識で、人は救われるのか?

「3つのP」という、なかなかのクリティカルヒットがありました。

以下、要約読書メモで紹介。



レジリエンスの「3つのP」とは何か?

心理学者のマーティン・セリグマンは、人が失敗や挫折にどのように対処するか研究し、3つのPが苦難からの立ち直りを妨げることを明らかにした。

・自責化(Personalization:自分が悪いと思うこと)
・普遍化(Pervasiveness:あるできごとが人生のすべてに影響すると思うこと)
・永続化(Permanence:あるできごとがいつまでも続くと思うこと)

「自分のせいだ、すべてがサイテーだ、この先ずっとサイテーだ」という考えが、頭の中をぐるぐる回りつづける。

つらいできごとが「自分のせいではない、すべてではない、ずっとではない」ことに気づけば、子どもも大人も立ち直りが早くなることを、多くの研究が示している。

ネガティブなできごとを自責化、普遍化、永続化しない人は、うつになりにくく、状況によりよく対処できる。

自分を苦しめてるのは3つの罠だ。と気づけば回復が早くなる。

その他の立ち直り方法は以下。

(2章)
ひどいことが起こったら「もっと悪い事態が起こっていたら」と想像することは救いになる。

(3章)
まわりの人は「君はひとりじゃない、一緒に乗り越えよう」となぐさめる。

(4章)
「今日うまくできたこと」を毎日3つ書く。小さなことでいい。自信が取り戻せる。これを続けると幸福感が高くなる。

(5章)
苦痛の向こう側には成長がある。トラウマや逆境は人を成長させる。

(6章)
「喜びの瞬間」を毎日3つ書く。フロー体験は喜びに繋がりやすい。スポーツ、仕事、読書、等々なにかに没頭して忘れる。

(7章)
レジリエントな子どもを育てる。以下4つの信念を子どもに持たせる。

①自分の人生は自分である程度コントロールできる。
②失敗から学ぶことができる。
③自分は大切な存在である。
④他人と分かち合える強みが自分にある。

8章~10章はシェリルの自分語りが中心なので割愛。「3つのP」の要約メモのはずが、各章の1行まとめになってしまった(笑)。

この本から得られる、レジリエンスは以上です。

個人的には、「耐える」「逃避」しか解決策はないと思っています。逃避しながら耐えてると、時間が解決してくれます。時はすべてを洗い流す。いいことも、わるいことも。

悲嘆の5段階とは?

精神科医のエリザベス・キュープラーが提唱した有名な「悲嘆の5段階」。人は喪失に直面すると以下。

・まずそれを否認する。
・次に怒りの段階に移る。
・それから取引。
・抑うつへ進む。
・さいごに「受容」の境地に。

これらは5つの段階ではなく、状態だ。この順番で直線的に進むのではなく、複数の感情が並行して存在する。悲しみや怒りは、火に水をかけるように消えない。ある瞬間消えても、次の瞬間燃え上がる。

オープナーとは何か?

相手の心を開き、自己開示を引き出しやすい人。心理学者はそういう人を「オープナー」と呼ぶ。オープナーは質問をし、評価や判断を加えることなく、返答にただ耳を傾ける。そして相手を理解し、気持ちを通じ合わせることに喜びを覚える。オープナーは苦境に置かれた人、とくにふだん控えめな人にとって、大きな救いになる。

時は すべてを洗い流す♪
川のように♪

アランパーソンズプロジェクトで、タイム♪

Alan Parsons Project Time

(関連記事)

【LEAN IN(リーンイン) ・シェリル・サンドバーグ】要約まとめ
https://book-jockey.com/archives/8120

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