2019年1月の直木賞「宝島/真藤順丈」を読みました。541pの分厚い本。読むのに3日ほどかかりました。たぶん9時間ぐらいかな。
タイトルのパクリは言い過ぎかもしれません。歴史ロマン小説なので史実にフィクションを加味して面白おかしく読ませる。
史実は史実なのでパクリではない。だけどその史実が読みやすくコンパクトにまとめられた決定版本があったなら…
あらすじはリテラという極左系のニュースサイトにまとめられてたので拝借。
『「宝島」とは、どんな作品なのか。舞台は1952年から1972年、アメリカの統治下に置かれた沖縄。米軍施設の物資を奪って生活の糧とした「戦果アギヤー」(戦果をあげる者)の若者たちを中心とする群像劇だ。72年「本土復帰」までの沖縄戦後史が、ウチナーグチや島言葉を交えた“語り”の文体で紡がれる。
物語は、コザの戦果アギヤーのリーダー「オンちゃん」と弟の「レイ」、親友の「グスク」たちが、嘉手納基地に侵入するところから始まる。オンちゃんは20歳ながら、米軍から奪った「戦果」を困窮する人々に分け与える義賊的な存在として英雄視されており、ヤマコという恋人がいる。
ところがこの嘉手納基地侵入作戦の夜、オンちゃんたちは米兵に侵入を発見され銃撃に遭う。グスクとレイは命からがら逃げることができたが、オンちゃんの姿は見えない。その後、グスクは琉球警察の警察官、レイはヤクザ、ヤマコは小学校教師として成長する。それぞれが若きコザの英雄の影を探しながら──』
以下に書評というか感想を4つ。
小説にも参考文献は書くべきじゃないだろうか
本読んでると、小林よしのりの描いたシーンが頭に浮かぶんですよ。
まず戦果アギヤー。
序盤で瀬長亀次郎が刑務所に来るシーン。
暗殺しようとした超悪役キャラウェイ高等弁務官。
物語のクライマックス。VXガスをレイが撒こうとするコザ騒動と嘉手納基地突入。
いや、これらだけじゃなくて、へ~っていう史実はほとんど小林よしのりの「沖縄論」に描かれています。
小林よしのり「沖縄論」はすべての参考文献を巻末に列挙しています。ぜんぶで100冊ぐらいでした。その一部は以下です。
ぼく思うんですが、小説家も巻末に参考文献書くべきじゃないでしょうか。
芥川賞は参考文献とかいらんと思うけど、直木賞は歴史モノも多いですしそうすべきじゃないかな。一昨年の直木賞「蜜蜂と遠雷」は「ピアノの森」の模倣作品だったし。参考文献「ピアノの森」とすべきだった。
ちなみに小林よしのりの「沖縄論」。「宝島」より分厚いです。その約40%が戦後沖縄史に割かれています。ネタの宝庫。ここを何度も熟読すればアイデアも浮かんできたと思う。
沖縄の左翼系の人が書いた小説だと思った
沖縄の言葉で書かれてます。なので作者は沖縄の人かと思ったら東京の人でした。そこは凄い。どうやって沖縄の言葉を覚えたんだろう。
むかし直木賞の「吉原手引草/松井今朝子」が花魁言葉を使ってて。しばらく「ありんす」がうつりました。あんなかんじで沖縄言葉が頭を回ります。
文体は「紅いコーリャン/莫言」みたいに猥雑です。村上春樹みたいに文体がキレイで心地よいということはありません。ストーリーで惹く歴史エンタメ小説です。
読むと沖縄から米軍基地は出て行けと思います。そういう意味ではサヨクな人が喜びそう。
ラストの謎解きが弱い
541pの長編。ここまで引っ張って謎ときがコレ?っていう。なんかバタバタとつじつま合わせのようなラスト。違和感ありでした。
途中は面白いんですよ。思い出したのは「サンクチュアリ/史村翔原作」です。『カンボジアでの戦乱から日本へ帰国した北条彰と浅見千秋。日本の腐敗した政治体制を、表と裏の世界から変革する』っていう傑作マンガ。史村翔作品では「北斗の拳」「ドーベルマン刑事」に並ぶ傑作です。個人的には最高傑作は「サンクチュアリ」だと思ってる。
そういう意味では本作をまとめると以下。
・小林よしのりの「沖縄論」に着想を得て。
・戦後の猥雑さを「莫言」のような文体で表現し。
・「サンクチュアリ」のように戦乱孤児の幼馴染が、表と裏の世界で成長して人生の課題に取り組んでいく。表の世界は教師や警官(諜報員兼ねる)。裏の世界は沖縄ヤクザ。
沖縄の人の感情を優先すべきと思った
なんだかんだと書きましたが。おすすめ作品です。沖縄のことをちゃんと考えるきっかけになる。本書を読むと沖縄の人の戦後のツラい思いを、これでもかと「追体験」することになるので。ぼくが沖縄の人だったら、米軍基地は出ていけ!と叫んでるかも。
米軍基地がないと困るという理屈は、みんな理解しています。沖縄の人たちももちろんわかっている。わかっていてもそう簡単には感情が許さない。
離婚と同じです。浮気されても経済的には離婚しないほうがいい。だけど多くの人は我慢できない。過去のつらい思い出がそれを許さない。
同じ構造だと思う。損得より感情面。感情が落ち着くには時間がかかる。
ここで腹が立つのが「反日勢力」。在日の外国人とそのお仲間たち。ワンピースアラバスタ編のバロックワークスみたいに、日本人同士の対立をあおりたてる。日本にはスパイ防止法がないのでやりたい放題です。
米軍基地をどうすべきか。それは難しい課題です。この記事読んでるみなさんもそれぞれの思いがあるでしょう。
ぼくたちに今できることは何か。まずは沖縄の人の感情に寄りそうことです。日本という国が、沖縄の人たちの犠牲によって成立してることは事実です。そこを日本人みんなが認識すること。そこから始めるべきかと。そのためには本書は良書です。
それと1つだけ言えること。在日サヨクという「日本のバロックワークス」。いますぐ日本から出ていけ。といっても彼らはずうずうしくて出ていかない。どうするべきか。
問題があるなら、ちゃんと法律を作ることが大切です。まずは「スパイ防止法」の成立。法律ができて困るのは「日本のバロックワークス」だけです。一般国民は痛くもかゆくもない。
いろんな沖縄の歌がありますが、一番胸がしめつけられる歌です。2年前にも一度貼りましたがいい歌なのでもう一度。Orion’s belt ft. RITTO/CHICO CARLITO♪
2年前にも書きましたが、こういう歌こそ「紅白歌合戦」で演ってほしい。