あいかわらず面白い石田衣良。
もし自分が小説家になれるなら目標はこの人。こんな小説が書きたい。とくにIWGPは最高です。いまだに連載しててぼくもずっと読んでます(単行本ですが)。
今回もいつもと同じ4話構成。旬な時事ネタとヒューマンなドラマを重ね合わせる。
興味深い時事ネタが2つありました。1つは増殖する日本語学校の闇。後述します。もう1つは引きこもりビジネスです。「自立支援センター」が引きこもりを抱える家族を食い物にする。
引きこもりの第一世代は60代を超える。2018年内閣府調査では15~39才までの引きこもり人口は54万人。これに中高年も加えると100万人を超える。
自立支援センターにカネを払って、指導員が引きこもりを連れだして指導を行う。親にも問題ありということでセミナーを行う。プラチナ会員とかになれば親と子ども合わせて年間1千万円の会費という悪徳ビジネス。多額の会費や、体罰とかで裁判の例もある。途中退会は契約書でしばる。6か月分の会費と3か月分の違約金とか。
どうやって嵌められた親子を救うのか。それは本書でお楽しみください。
日本語学校の闇とは?
・全国で増殖して、私立大学の総数より多くなってる。繁華街ならどこの駅前にもある。
・文科省の許可が不要でカネがあれば創立できる。
・不動産屋とか飲食チェーンといった街の手の早い資本が群がる成長ビジネス。
・日本語を学びたいやつはたくさんいる。ベトナム、ミャンマー、ネパール、カンボジアなどの国々は日本語ブームの真っ最中。貧しい国からみたら日本は丘の上に建つきらびやかな高層マンションみたいなもの。
・豊かでおしゃれなニッポンで日本語を学びながら手軽なアルバイトをするだけで月に2~30万円の大金が手に入る。日本語能力試験でN1かN2をとっておけば将来的には自国の日系企業での就職も夢じゃない。一気に格差のハシゴを上にのぼれる。
・平均月収2~3万円の貧しいアジアの国々から、巨額の借金を背負い、若者たちは黄金の国ジパングにやってくる。そして絶望を思い知ることになる。
・留学ビザでアルバイトするのは上限が週28時間に決まっていて、入国管理局に違反がバレると本国に送還されてしまう。時給千円として月に112時間で11万強。税引き後は9万円。一人暮らしで学費を自分で払うのは無理がある。
・日本語学校は派遣会社みたいにアルバイトをあっせんする。アルバイトを雇用する人は日本語学校に行く。振込先は日本語学校の指定振り込み先で管理は日本語学校がやる。
・学校を退学になると留学ビザが切れて本国に送還される。残るのは多額の借金だけ。
・日本に来るのは貧しい家の子が多い。ベトナムとか月収1~2万円とかざら。
・成田までのチケットだけで年収が吹っ飛ぶ。
・日本語学校の学費は年間80万円ぐらい。
・当然仕送りはなくて、生活費と学費を全部アルバイトで稼ぎ出す。週28時間をオーバーワークさせる場合は振込先を別の通帳にして、ふたりの留学生が働いているというふりをする。
・アルバイトの掛け持ちで28時間を超えることもある。
・最初から金持ちなら日本に来ない。子女をアメリカに送る。アメリカの私立大学の授業料は500万円~1000万円/年。
・学生寮費用はぼったくり。所沢駅から徒歩15分のワンルーム一部屋に4人で住んで、1人4万8千円+光熱費5千円で1部屋約20万円。相場的に2.5倍以上。
・留学の初期費用は、家族が家と畑をカタにして銀行から金を借りるケースもある。送還されると借金のカタを銀行に取られる。
・本書の場合は留学初期費用は1人150万円ぐらい。ベトナムの1人あたりGDPは2017年で2300ドル。平均月収は2万円ぐらい。日本人の感覚でいえば1人1500万円ほどの借金。みんなそういうものを背負って日本に来てる。
・ベトナムには留学ブローカーがいる。ベトナムにも暴力団がいて現地の留学ブローカーから送り込まれて学生の管理をする。
・ベトナムから学生の管理で来た暴力団は、日本でいろいろな犯罪を犯す。学生に博打をもちかけていかさまで借金にはめる。
・女であれば日本の風俗業界に送り込む。男であれば犯罪集団に送り込む。
・本書にはベトナム人男性の犯罪が2つ描かれていた。
・1つは日本の暴力団に頼まれてベトナム人をおれおれ詐欺のお金の受け取り役にする。
・もう1つは日本製品の窃盗団。ユニクロとか赤ん坊のミルクとか化粧水とか。
・東京では話題にならないけど地方ではドラッグストアや衣料品店の窃盗はけっこうある。
・ベトナムでは日本製品はみんな高い。でも品質がいいから人気がある。
・ユニクロとか大人気で日本でたいして高級品でないものも商売になる。正規の輸入品よりすこし安い値をつけるだけで盗品がすごく売れる。
ニルヴァーナでスクール♪ このバージョンはなかなかハードです。
以前、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』で外国人労働者の支援活動を続けるある日本人が紹介されていました。
あまりにも酷過ぎる外国人の労働環境に驚いたと同時に、怒りや悲しみの感情で一杯になった事を思い出しました。
https://www.nhk.or.jp/professional/2019/0917/
ニルヴァーナの「School」はハードですね~♪
私このDVD持ってます。全体的に勢いを感じる良いライブです。