「脳神経外科医が見た死後の世界・プルーフオブヘブン」要約まとめ

書いてあることは、中学生のときに読んだ「カルマの法則・五島勉」みたいなものです。「葉っぱのフレディ」の世界観にも似てる。

死後の世界は存在する、と断言する本。これを僕が言うと嘘になるけど、ハーバードの著名な脳神経外科医が言ったので話題になりました。

『2012年10月8日号の米誌ニューズウィークは派手な見出しを表紙に掲げ、著名な脳神経外科医エベン・アレグザンダーの臨死体験をカバーストーリーに掲載した。細菌性髄膜炎で7日間昏睡状態に陥り、大脳新皮質が機能していなかった間に、脳から独立した意識がきわめて深い体験をし、死後の意識が存在する科学的な根拠を得たという話が紹介されたのだ。

「ニューズウィークは正気なのか?」「こんなに心揺さぶられたことはない」など、さまざまな意見が同誌のウェブサイトに投稿され、メディアやネットで賛否両論があいついだ。話題を呼んだ本書は10月23日に出版され、ノンフィクションベストセラーのトップになり、これまでにアメリカで200万部を売っている。著者が見たのは本当に死後の世界なのか、それとも脳内で起きた単なる幻覚なのか、脳は本当に機能していなかったのか、機能していなかったのだとすればなぜ完全に回復することができたのか。論争は今でもかまびすしい』



臨死体験には3つの陣営があります。信じる派、信じない派、中間派。

僕自身はむかし信じる派だったのですが、奥さんが「死んだら無になる」という。一時期信じない派になり、今は中間派です。科学で証明できないことはこの世にたくさんある。

この本にも書かれてますが、大多数の意見は、「臨死体験は、生命活動を維持しようとあがく脳が生み出した空想の産物であり、それ以上のものではない」だと思います。

それを脳神経外科医の立場から一つずつ検証しています。9つの仮説を要約して以下に。

1.脳幹の原始的なプログラムか?

⇒回想内容の双方向的な豊かな性質と堅牢性を説明できない。

2.大脳辺縁系の深い部分から記憶が歪められて表出してきたもの。

⇒同上

3.内因性グルタミン酸の興奮毒性の阻害により、幻覚を引き起こす麻酔薬ケタミン様の作用がもたらされた。

⇒ケタミンによって誘発された幻覚状態は混迷の度合いが深く、幻覚が不愉快であるから著者の体験には似ていない。

4.NNジメチルトリプタン(DMT)の放出により、鮮明な幻覚や夢遊状態を引き起こす。

⇒新皮質が機能していなかったため、DMTが作用する場所がなかった。

5.大脳皮質の中に一部機能が維持された部位があった。

⇒(詳細数値データを記載)この説の妥当性は極めて低い。

6.抑制性ニューロンのネットワークが優先的に障害されたために、興奮性ニューロンのネットワークの活動性が異常に高まり、超現実が生み出されたのだろうか?

⇒抑制性神経細胞と興奮性神経細胞は六層の機能列全般にバランスよく分散しているので、解剖学的分布からみてこの仮説を支持しない。

7.超現実感はもっと深い脳構造(皮質下領域)の視床、規程神経節と脳幹に関係しているのではないか?

⇒皮質下構造だけでは、対話型の豊かな体験を可能にする神経回路網の計算機構は持たない。

8.再起動現象(新皮質を再起動させて意識を回復させる際に、損傷を受けた新皮質中の奇妙なとりとめのない古い記憶が支離滅裂に放出される)ではないか?

⇒記憶の精巧さ、複雑さを考えれば妥当でない。

9.中脳の原始的な視覚伝導路による変わった記憶生成ではないか?

⇒後頭部の皮質に損傷を受けた皮質盲の人にはこのような現象が見られる場合がある。しかし著者が体験した超現実の手がかりにはならない。視覚聴覚体験が散りばめられていることの説明ができない。

まぁ色々と述べられてますが、専門外なのでふーんとしか言いようがありませんが。

著者が見た異世界、「三途の川」については本書でご覧になってください。数多ある臨死体験本と同じようなものです。

著者が臨死体験をすることによってわかったのは、「意識こそが、存在のすべてにかかわる唯一の実体」であり、「われわれが空間、時間、質量、エネルギーとみなしているものは、本質においては高次元の時空で振動する一連のエネルギーで、最も深いレベルではすべてがひとつに絡み合っている。

物質世界とその時空は巧みに組み立てられた幻想であって、そのおおもとにあるものは、神聖なひとつの意識である。意識は脳の活動に伴う現象ではない。物質世界とそこで見えているものの上位にあり、外から物質世界を支える、それよりはるかに豊かなもの」だそうです。

巻末に京都大学のカールベッカー教授が、これまでの死後世界の研究についてまとめています。面白かったので以下に要約を。



エリザベス・キューブラー・ロス

患者はさまざまな感情的段階を経て、死を受け入れるようになるという五段階説は、世界中の医学の教科書に載るくらい有名。エリザベスは患者の話を聴く中で、驚くべき話にたびたび出会った。患者が亡くなる少し前に神様や死者が現れる「お迎え現象」や、患者が昏睡状態だった間に「肉体を離れて、あの世を垣間見た」という話など。

ジョージ・ロドナヤ医師

車に撥ね飛ばされて、三日霊安室に安置された。解剖のため体にメスを入れられたときロドナヤの意識が戻り、死んでる間にこの世を見下ろしたり、あの世を経験したりしたと述べた。その後ロドナヤは国連で「スピリチュアリティ」について講演する。

アル・サリバン他肉体を離れて上から見下ろすケース

アルサリバンは目を覆いで隠されて心臓バイパス手術を受けた。手術後ジェスチャーや色まで手術の一部始終を正確に報告した。同様のケースは女優のパメラ・レイノルズの手術や、ケネスリングの数十名の失明した患者の臨死体験の報告、キンバリー・クラークなどからもなされている。

最近の研究

バージニア大学医学部には、臨死状態を研究する部門が設立されている。ここでは医学的証拠に基づき、患者の意識がないときに、体を離れた場所で知る術もない状況を見たとか、追跡調査でその報告は事実だった、というケースを数多く発表している。

オランダでは臨死の意識を調べる大がかりな調査もなされている。心臓停止後蘇生した344人の年配患者のうち、62名は臨死体験を報告し、そのうち41名は疑いがたく、その他の臨死体験に共通するコア体験をしていた。この研究報告は、医学会のトップ雑誌「ランセット」に掲載された。

イギリスのサム・パーニア医師はそのような調査を3500人まで拡大し、瞳孔が開いて神経も反応を示さない間でも「意識はずっとあった」、と患者が蘇生後に述べると報告している。

これらの研究は週刊誌レベルのものではなく、国公立大学病院の医学チームの研究をベースに、世界の一流医学誌に発表されている。臨死体験は珍しいものではないことがわかってきている。

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