なぜ本書を読んだかというと、Jカーブ効果が最近の論文で否定されたから。
日経でニュースになってました。
Jが横に寝た形をしてるのでJカーブと呼ばれてます。
・1日に日本酒換算1合ほどなら飲酒ゼロの人より死亡リスクが低くなる。
・2合ぐらい飲んで飲酒ゼロの人と死亡リスクが同じという。2合は男性で赤丸のところね。
相対リスクがほぼ1.0ということは、「飲酒ゼロの人」と「1日2合の人」は飲酒による健康リスクが同じということ。「1日1合の人」は相対リスク0.8~09なので「飲酒ゼロの人」より健康リスクが低いということ。2合以上飲む人はリスクが増えるというグラフです。
適量といわれる1日20gとは日本酒1合。アルコール量の計算式
アルコール消費量の計算は簡単です。酒の量x度数(%)x0.8(アルコールの比重)
基準となる日本酒換算で1合とは以下の量です。
ビール | 500mlx5%x0.8=20g |
日本酒 | 180mlx14%x0.8=20g |
焼酎 | 100mlx25%x0.8=20g |
Jカーブを否定したLANCET誌の論文のグラフ
男性の場合、1週間に14合(1日2合=アルコール40g)までだったら飲まない人とあまり死亡リスクは変わらないという、長年の神話が否定されました。1日2合=40gは下のグラフの赤丸のところね。
Jカーブじゃなくなって直線的にリスクは増えていく。といっても1.2ぐらいと大したことないけどね。酒飲みとしては誤差かなぁと思ってます。
酒飲まない人のほうが健康だという。LANCET誌に掲載された論文は研究者からすると「やっぱり出たか」という感じだったそうです。
本書の答えは「1つの論文で結論を出すのは危険。いろんなデータを見て判断する必要がある。ただLANCETの論文の登場で少量飲酒が体にいいとは言えなくなってきた」と。
酒は百薬の長!と大手を振って飲めなくなった。
同じLANCETに掲載された2018年4月の研究では「死亡リスクを高めない飲酒量は、純アルコールに換算して週に100gが上限」であると。
・1週間にアルコール消費量100g以下(5合以下)は死亡リスクは一定
・100~150gまでは緩やかに上昇
・150g以上は急上昇とのこと。
この研究が発表されるまでは1週間に140g(1週間に7合)まではOKだったのですが、それより40gも少なくなった。100gというと、毎日500mlビール缶1本飲んで、週に2日は休肝しろという。
ぼくの場合は総合的に考えて、1日2合までは飲もうという結論に達しました。
たとえば75歳男性の死亡率は約30%です。100人いたら30人死ぬ。相対リスク1.2とは以下のような計算になります。
1日2合飲む集団 | 100人中36人死亡 |
飲酒量ゼロの集団 | 100人中30人死亡 |
まあ1.2ぐらいなら許容できるかなと。酒飲みの方は是非読んでみて、自分なりの飲み方を決めてください。ちなみに前書のまとめ記事は下記の関連記事に貼っておきます。
(関連記事)
酒は1日どのくらいまでOK?「酒好き医師が教える 最高の飲み方」より
https://book-jockey.com/archives/6181