「知のトップランナー149人の美しいセオリー」の感想

科学サイト「エッジ」が、知のトップランナー149人に問いかけた質問、「あなたのお気に入りの、深遠でエレガントで、美しい説明は何ですか?」を一冊にまとめた本です。

平均すると各人が3pほど書いてるので、分厚く490pの本になっています。まず、誰が何について書いたかのフォトを以下に。

知のトップランナー

知のトップランナー

知のトップランナー

知のトップランナー

巻末に索引もあるので、索引で見て興味があるものから読んだり、目次で気に入ったタイトルから読んだり、一項目は3pほどなので、好きなところから読めばいい。寝る前に読むのに最適です。クリエイティブな仕事をされてる方には、ネタ元にもなると思われ。

どうです?知の巨人がわんさかいるでしょう。リチャード・ドーキンスやジャレット・ダイアモンドやら、ミハイ・チクセントミハイやらぞろぞろ・・・。で、予想通り、ダーウィンの進化論を美しいと考える人が多かったです。



余談ですが、この前リチャード・ドーキンスの「進化とは何か」を読みました。リチャード・ドーキンスがティーンへ講義した内容を本にまとめた本です。巻末には吉成真由美がインタビューしてる。じつは読書メモが少なくてボツ本にしたので、この場に少量の読書メモを。

地球の時間の概念

両手を広げる。右手の指の先を地球の始まりとし、左手の指先を現在とする。そうすると右手首から始まって左手の手首ぐらいまでは、いろいろなバクテリアが生息してる時代。そして恐竜はだいたい左手の手のひらあたりで登場し、人間は左手の爪先くらいになる。人類の文明すなわち本を書いたりというようなことは、爪先をやすりでひとこすりして、爪から落ちた粉の分しかない。

人為選択によって作られた動物

ブルドッグは頭が大きくなりすぎて、自然分娩では子供を産むことができず帝王切開しなければならない。つまり人間に頼ってかろうじて存続しつづけている。人間が絶滅すればブルドッグも絶滅する。

リチャード・ドーキンスをご存じない方に。世紀の一冊として、必読書としていろんなところに紹介されてる「利己的な遺伝子」。子孫を残そうとしてるのは遺伝子で、生物は遺伝子の乗り物にすぎない。という本です。そうか~、遺伝子が本体だったのか。という逆転の発想。ファンモンの本体が坊さんだった、ぐらいの衝撃はありますよね。

閑話休題。「知のトップランナー」から気に入ったトピックを3つ以下に。



シンクロニシティについて/ヴィクトリア・ストッデン/コロンビア大学統計学准教授

ユングの「シンクロニシティ、あるいは非因果的連関の原理」は有名だ。ユングは1日に6回続けて魚のトピックに遭遇し、そんなことはあまりにもまれなので偶然では片づけられないと考えた。別の何かが作用してると考えた彼は、それを非因果的連関の原理と名付けた。

じつは数学的観点からは、ユングは驚くべきではなかった。ユングの例に、ポアソン過程を導入すると、長期的な平均頻度を24時間に1回として、24時間以内に6回以上魚に遭遇する確率を計算することができる。スタンフォード大学のパーシ・ダイアコニス教授が導き出した確率は約22%だった。

アクトン卿の格言/ミハイ・チクセントミハイ/クレアモント大学院教授

エレガントで、きわめて有用で、美しいまでにシンプルな格言。「権力は腐敗し、絶対的権力は徹底的に腐敗する」アクトン卿が1887年に書いた。あらゆる人間科学はこの一文の上に築き上げられる。

直感の限界/ブライアン・イーノ/芸術家、作曲家

世は直感信仰。だけど直感を疑うことは必要だ。ウィトゲンシュタインが学生によく課した質問。

地球の中心の周りをリボンで結ぶ。リボンは少したるんでしまい、1メートルほど地球の周囲より長い。こうしてできた1メートルの余分な長さを、地球の周囲に均等に配分し、リボンが地表上から均等にずれて結ばれるとしたら、それは地表からどれぐらいの距離になるだろう。

ほとんどの人の直感は、1ミリの数分の1というあたりに答えを導く。実際の答えは16センチメートル。

ブライアンイーノといえば、ロックファンにはロキシーミュージックメンバーとして。またU2、コールドプレイ、トーキングヘッズ、ポールサイモンのレコーディングプロデューサーとして有名です。環境音楽の先駆者としても「ミュージック・フォー・エアポート」は名盤と言われています。

個人的にはU2の「焔」のプロデュースが鮮烈でした。前任プロデューサーのスティーブ・リリー・ホワイトのスカーン、スカーンとした地雷ドラムが(とくにWAR)、イーノに変わってポコロ、ポコロに変わってしまった。「こ、これはU2ちゃう・・・」結局ぼくのU2熱は、ブラッドレッドスカイ、WAR、焔という3枚のLP購入で冷えてしまいました。

でもじつは一番よく聴いたアルバムは「焔」かもしれません。自分の好きだったU2をなんとか見つけようとして、ファン心理がそうさせたのだと思います。

A Sort Of Homecoming♪ A面1曲目のこの曲でえっ?と固まってしまった30年前。

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