人類史上、最も世界を変えた三大科学理論の1つ。
あとの2つは地動説と、無意識の発見です。
ダーウィンの「種の起源」。第一章は伝書鳩の飼育の話から始まります。
様々な生物のさまざまな特性が、次から次へと取り上げられる。ダーウィンの主眼は、それらがどうやって変遷(進化)してきたか。その過程と理由を探ることにあります。
当時は生物種が進化するという認識がない時代。生物は進化するということを膨大な証拠とともに読者に納得させる論理が必要です。
ダーウィンは進化を引き起こすメカニズムとして、第4章で「自然選択」を提唱します。これはハトなどの家畜や栽培植物が、人為選択によってつくられてきたことからの類推です。
ダーウィンがこの本で行ったことは、膨大な証拠、論理的な推論によって、ひとつの仮説を提出する作業でした。
ダーウィンが「種の起源」を出版するまでの経緯は最初(第一部)に書かれています。ダーウィン以後の進化生物学の発展については、第3部で年表+マンガ形式で解説されてます。
本書は全体がカラーマンガで描かれてますが、「こち亀」や「ゴー宣」以上に字が多くて、日本のマンガみたいに絵がうまくないので結構読みにくいです。
目次
各章の3行まとめ
第1章 飼育栽培における変異
この章では、人間がこれまでに、何世代にもわたる飼育や栽培によっていかに多くの動物や植物の種を作り出してきたかを明らかにする。数多くの種を生み出すため、人間はまず、同じ種の生物の中に無限の多様性があることに気づく必要があった。
第2章 自然界での差異
飼育栽培種に見られるような変異は、自然界にもみられる。個体に生じる変異は、やがて変種を生む原材料となる。差異がさらに大きくなると、新たな種が生じることになる。
第3章 生存競争
あらゆる種の生物は、それを支える資源が足りなくなるほど生まれてくる。そのため、まず同じ生物種の中で生存のための競争が起きる。異種の生物間の競争もあるが、同種の生物間の競争の方がそれよりもはるかに激しい。
第4章 自然選択、あるいは適者生存
それぞれの生物には様々な特徴があるが、その中のいずれかが生存競争の中で強みになることがある。生物の中でもその環境に最もうまく適応できたものは繁栄する。繁殖によって数を増やし、その特徴を未来の世代へと伝えていく。
第5章 変異の法則
今のところ、生物の変異はどのように進むか、その基本的な原理はわかってない。だがそこには、何らかの法則が働いているように見える。個体がどのようなかたちで、どの程度まで変異するかを支配する法則だ。自然選択は身体の構造の変化には大きな役割を果たしているが、その他の変異にはほぼ何の役割もはたしていないように思える。
第6、7章 学説の問題と様々な異論
わたしの学説に対してどのような異論があるかを紹介する。異論に応えることで、変異と自然選択が生物のあり方を理解する上で重要な基本的な原理であることを示していく。
第8章 本能
この章では、何種類かの生物の例をもとに、自然選択が多くの世代を経て作り上げていく生物の見事な本能についてみていく。
第9章 雑種形成
種の異なる個体間には子供が生まれないことが多いが、時には奇形の子どもが生まれることもあれば、不妊の子どもが生まれることもある。
第10章 地質学的記録の不完全さについて
地球の歴史の長さからすれば、生物の種が変異し、現在のように多様化するだけの時間は十分にあったと考えられる。ただし変異の証拠となる化石は意外なほど見つかっていない。それは生物が死後、化石になることが容易ではないからだ。また化石になっても大きな地質変動によって破壊されてしまうことも多い。
第11章 生物の地質学的変異について
生物は環境に適応して生存し続けるべく、たえず変化を続けてきた。生命の樹が枝分かれするのは、この絶え間ない変化があるためだ。この生物種の変化には何か究極の目標があるわけではない。生命の樹の枝分かれは、その時に違った個体が生き残ってきたことの結果でしかない。
第12、13章 地理的分布
地球上の様々な地点を調査すると、違った種類の生物に出会うことになる。生物の分布をよく見ると、いずれも最初に発生した地点から、あるパターンで移住して広がっていることがわかる。地点ごとにまったく別の生物が創造され、すべてがそのまま同じ場所に留まっている、ということはない。
第14章 生物相互の類縁性、形態、発生、痕跡器官
全ての生物は共通の祖先を持っている。この章では、その進化の歴史の証拠を提示する。また生命の樹に新たな枝をつくるのに、自然選択が欠かすことのできない役割を果たしていることを示す。
第15章 要約と結論
ここまで進化という問題に関して、私がこれまでに観察して知り得たことをできる限り多く提示してきた。私が述べてきたことを要約すれば、世代を経る過程での変異と自然選択が、進化の推進力だということになる。
ダーウィンの名言
・ブランデーを飲んで酔っ払ったことのあるアメリカザルは、二度とそれに手をつけようとしない。人間よりはるかに頭がいい。
・最も強い者が生き残るのではない。最も賢い者が残るのでもない。唯一生き残るのは変化できる者である。
なぜラバは不妊なのか?
異なる種の個体の間には子どもが生まれないことが多く、生まれても不妊の子どもであることが多い。
自然は多数の手段で種の違いを維持している。昆虫の多くはその種に特有のフェロモンの痕跡を追うことで交尾の相手を見つける。
鳥類や両生類は、種に特有の鳴き声、さえずりによって交尾の相手を見つける。たとえばカエルの鳴き声。震え方と長さが種ごとにちがう。
純粋な種であれば当然、生殖器官は完全な状態になっている。だが異なる2種を交配させてもその子から子どもは生まれない。ロバとウマの子、ラバは不妊で子どもは生まれない。
ライオンのたてがみは何故あるのか?
第4章:性選択より。
たてがみはオスどうしの闘いの際に首を守る。
こんにちは。これは読んでみる価値ありそうですね。
最初はダーウィンの説をみんな否定したそうです。何しろ当時は、すべての生物は神が創造したものだ、と考えられていましたから。
そしてダーウィンも仕舞には、宗教裁判にかけられてしまいます。