書物については「出力性」を基準にその価値を考量する 。
内田樹が「街場の読書論」で言ってました。その観点でいえば、とてもいい本だと思います。世界12か国でベストセラー。日本でも50万部突破です。
『著者はジェニファー・L・スコット。南カリフォルニア大学卒業(演劇専攻)。大学3年生のとき(2001年)にフランスのソルボンヌ大学、パリ・アメリカ大学へ留学。典型的なカリフォルニアガールだったが、フランスの貴族の家にホームステイすることになる。
その家を取り仕切るマダム・シックから学んだのは、毎日を“特別な日”のように生きること。
*間食はせず、食事を存分に楽しむ。
*上質なものを少しだけ持ち、大切に使う。
*日常の中に、ささやかな喜びを見つける。
高級料理を食べて、たくさん買い物をして、あちこち旅行をしても、心からの満足を感じられないあなたへ。情熱的に、お金をかけずに、生活を心から楽しむ方法が満載』
いや~、ぼくは日頃から質素な暮ししてるんで、あんまり関係ないかなぁ。
著者は大学教授の娘さんです。ま、裕福なんですよね。
余談ですが日本だと40代教授で年収1000万円前後(准教だと8百万円)、米国だとハーバードで20万ドルぐらいって言います。日本の教授の2倍もらってる。むかしから言うのは日本だと給食のおばちゃんと大学教授がほぼ同じ年収(公務員じゃないパートの給食おばちゃんは安いそうですが)。アメリカだと10倍違うって。
米:給食2万ドル 対 教授20万ドル
日:給食800万円 対 教授900万円
公務員もコアとノンコア業務を分けて、一般企業みたいにコスト削減しようという思想はないのかなぁ。日本だと公務員だけ格差がないんですよね。教授にはもっとあげていいと思うのですが。。。
話が横に行きそうなので閑話休題。
上に書いたように、断捨離、いわゆる禅本です。
「茶人たちは、芸術そのものになろうとした」 と岡倉天心は言いましたが、この本も同じことを云ってます。フランス留学で自ら学び取った経験談として、現代風にアレンジしてますが。
この本で提案してる生き方は、
・内面はテレビを見ずに本を読む。
・外面はナチュラルメークで少量で上質で自分にあうファッションを、いつもきちんと装う。
・食べ物はジャンクフードを止めて自然なもので。水をよく飲む。
・運動はジムに行かずによく歩く。
骨子はだいたいこんなところか。あ、あ、あまりにも簡単にまとまってしまった(汗)
あと付随して、外面のところで、ネイルはこうしよう、香水はこうしようとか。内面は本以外に、映画はこんなものを見ようとか、アートに親しんだり旅行に行こうとか。
実は読む前から内容は予想できたので、ボツ本にするつもりでした。
じゃあなんで紹介してるのか。おもしろい本と言えるのか。
この本の原題は「Lessons From MADAME CHIC」です。邦題は「フランス人は10着しか服を持たない」。
読んで思いましたがまさにこの邦題しかない。この本の良さは絶妙の邦題に集約されてます。
フランスの貴族のワードロープはたった10着/シーズンだそうです。
奥さん冬用 | ウールのスカート3~4着、カシミアのセーター4枚、シルクのブラウス3枚 |
旦那さん | グレーのスーツ2着、紺のスーツ1着、セーター2~3枚、シャツ4枚、ネクタイ2~3本 |
息子さん | スーツは着ずに、ふだんはシャツやセーター。たまにジーンズ。 |
ワードロープには上着類(コート、ジャケット、ブレザー)や、ドレス類(カクテルドレス、イブニングドレス、昼用のドレス等)、アクセサリーや靴やアンダーシャツは含まない。
著者はアメリカに帰り、着てない服の70%を捨て以下のワードロープに変えたそうです。
秋・冬用の10着のワードロープ(夏用は省略します)
・カシミアのセーター3枚(ベージュ、クリーム、黒)
・シルクのブラウス3枚
・白のボタンダウンシャツ1枚
・濃紺のウールのテーラードパンツ
・黒のウールのスカート
・黒のスキニーorブーツカットジーンズ
(カシミア)
手持ちの服を組み合わせ、何通りもの着こなしを考える。10着を念入りに選べば、いつもいい服ばかり着れる。家でいい服を着たまま家事をするときは、エプロンをする。
10着のワードロープをすべて高い服でそろえる必要はない。お金をかけるべきなのは、コートや靴、サングラス、ハンドバック、カクテルドレス、ジーンズ、時計、ジュエリーなど。
こうしたアイテムは長く使えるし、こういうところにお金をかけておくと、手ごろな価格の服と合わせても全体的に高価な感じに見える。
いかがでしょうか。ぼくはまじまじと考え込んでしまいました。そんなに服は持ってませんが、着ない服がたくさんあります。サイズが合わなかったりヨレヨレだったり。
細かい話は省略しますが、こんなんじゃスペースがいくらあっても足りなくなります。よし、心に決めました。ゴミの日に着ない服は捨てます。
物欲を抑えて、自分では断捨離は完了してると思ってましたが、洋服は盲点でした。なんか捨てるのもったいないんですよね。
みなさんも、着ない服は断捨離してみてはいかがでしょうか。ふんぎりがつかない場合は、この本を読んでみることをお勧めします。きっと背中を押してくれることと思います。
綺麗なシャツに 新しい靴♪
シルクのスーツに ブラックタイ♪
女の子が飛びついてくる♪
どんな女も洒落た男が好きなのさ♪
ZZTOPでSharp Dressed Man♪