【日本を直撃する複合崩壊の正体/植草一秀】書評と要約

2019年は重要イベントが目白押しだそうです。

5月1日は改元。即位後朝見の儀が執り行われる。

この改元を祝福するかのように、4月27日から5月6日まで10連休です。

6月28日と29日はG20サミットが大阪で開催されます。日本が議長国。

こうした華やかなイベントムードに乗り7月参院選に突入します。

2019年10月22日には、即位礼正殿の儀が挙行されます。

新しい時代の天皇の即位を記念する式典。

ちなみに前回1990年11月の今上天皇の即位礼正殿の儀には、158か国から国家元首級の賓客が訪日。国王7名、大統領46名、首相11名。国賓級クラスの大量訪日に際して、58か国の首脳と首脳会談が行われ、57の外相会談が行われました。今回も多数の元首クラスの訪日が見込まれています。首都圏のホテルは満杯になり、警察警備は最大規模になる。

10月22日の即位礼正殿の儀は、ラグビーワールドカップが日本で実施されている最中です。9月20日から11月2日まで。日本チームの出場試合は9月20日、9月28日、10月5日、10月13日に予定。決勝戦は11月2日。

マイナスのイベントは消費税増税があります。他はパッと思いうかばない。いったい何が日本を直撃して、複合崩壊させるのか?

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日本を崩壊させるのは、「日本が売られる/堤未果」に書かれてるような件でした。

アベノミクスの3本の矢の第3の矢。成長戦略。これは5つの柱によって構成されている。これが日本を滅ぼすという。

①農業の自由化⇒これは難しい。

②医療の自由化⇒金持ちだけ助かる。

③労働規制撤廃⇒外人だらけ。格差の拡大。

④法人税減税⇒このために消費税増税。後述する。

⑤特区創設及び民営化⇒ハゲタカ優遇。

本書に新味はないです。著者は分析がうまいので頭の整理になる本。多読な人にとっては新情報はありません。

以下にその他の読書メモを。

そんなに高くない日本の法人税が減税された真の理由

2012年以降大規模な法人税減税が強硬実施されてきた。理由は3つある。

①消費増税を実施するには応援団が必要。経団連企業に利益を提供しその見返りとして消費増税への応援を求めた。

②消費増税を実施するには情報操作が必要。経団連企業はマスメディア・スポンサーの代表格。スポンサーはメディアの情報発信内容に介入することができる。

③法人税減税をハゲタカ外資が要求したこと。外国資本は日本での利益極大化のために納税負担の軽減を強硬に要求してきた。

消費税と法人税と所得税の関係は面白いことになっている。法人税と所得税は減税され消費税がそれを穴埋めしているという現実。

消費税が導入された1989年と2016年の税収規模は55兆円とほぼ同水準。27年間という時間を経ているがほぼ同額。この27年間で所得税は年額で4兆円減少した。法人税にいたっては年額で9兆円も減少した。その一方で消費税だけが年額で14兆円も増加している。

つまり消費増税は財政再建や社会保障維持のために実施されたものではなく、ひたすら法人税減税と所得税減税のためだけに実施された。しかも所得税減税の恩恵を受けたのは富裕層だ。

財政の所得再分配機能は破壊され、富める者はより富み、乏しいものがより乏しくなった。

トランプ政権の3つの政策と4つの外交戦略

トランプの基本戦略は3つに要約できる。

1.経済問題における貿易不均衡相手国との2国間での問題解決。

2.外交の基本方針として、米国の負担軽減のため米軍配備の再編を進行させながらも米国による覇権の維持を行う。覇権を脅かす最有力国家は中国。

3.基本哲学として、共和党のスタンスである自己責任を重視している。福祉国家の否定。

外交についてさらに補足。

米国の軍産複合体は米国の外交政策において4つの基本を置いている。米国外交政策を実質的に定めているといわれる「外交問題評議会」が提示してきた、米国における覇権維持のための基本政策方針である。

①中国、ロシア、イランの発展抑止とこれらの国々が同盟関係を構築することに対する妨害。

②ドイツとロシアの同盟関係成立の阻止。

③中国、日本、韓国による東アジア共同体の構築、関係強化の抑止と阻止。

④中東における反米巨大国家出現の阻止。

ちなみにトランプは米国支配勢力に資金提供を受けず自前のカネで大統領になった。なので支配勢力のいうことを聞かない。支配勢力は金融資本、軍事資本、多国籍企業という3つのカテゴリー。このうちトランプは金融資本、軍事資本と手を握り、多国籍企業の利害と衝突している。米国の支配勢力すべてと対峙したのでは、政権を運営することができない。議会多数勢力との融和を図る必要がある。政策実現のため議会の承認を得ることができないので。

トランプは多国籍企業の利害に抵触する重要な行動をとった。TPPの離脱である。これにより今でも激しいメディアからの攻撃を受けている。

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なぜ日本はTPPを推進し、ISD条項を主張したのか?

日本の関税率は工業製品、非工業製品ともに世界標準より低い水準。日本市場は十分に開かれている。安倍内閣はなぜTPPに前のめりなのか?

安倍内閣は日本の主権者の利益ではなく、グローバルに活動する巨大資本、ハゲタカ資本の利益極大化を目標に行動しているからとしか考えられない。

なぜこのような行動をとるのか?経済的な見返りがあると推察できる。最高裁が企業献金を合法化してしまった。大資本は圧倒的な資金力で政治を支配してしまう。

なぜ日米FTA交渉始動をOKしたのか?

基本的に世界各国との貿易交渉は米国の一人勝ちとなっている。安倍総理は日米FTAは行わないことを国会答弁で明言してきたが、事実上日米FTA指導を飲まされた。

18年10月4日ペンス副大統領はワシントンの演説で「日本と歴史的なFTA交渉を始める」と述べた。この発言はユーチューブでも確認できる。しかしホワイトハウスの演説記録には「自由貿易取り決めFTD(アグリーメントじゃなくディール)」という言葉が用いられた。言葉のアヤをかいくぐる詐欺的な政治運営を行う安倍総理に、米国が配慮したものと思われる。

米国のトランプは安倍総理に対しこう言った。「日米二国間協議を始めなくてもよい。そうであれば、日本の対米自動車輸出に25%の関税率を追加設定するだけだ」

この一言で安倍総理は日米間の二国間交渉を受け入れたと見られる。

築き上げた全てが♪

土砂崩れが直撃して 流されていった♪

ステイシーケントで、Landslide♪ 個人的にはディキシーチックスよりこっちのカバーのほうが好き。

オリジナルはスティービーニックスが74年に書いて、フリートウッドマックに参加後75年の「ファンタスティックマック」で発表。

(関連記事)
【農業を株式会社化するという無理】要約まとめ
https://book-jockey.com/archives/1090 

【日本が売られる/堤未果】書評と要約
https://book-jockey.com/archives/2166

【日本を破壊する種子法廃止とグローバリズム】書評と要約
https://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2018-05-15

国の借金、本当は150兆円程度~「これが世界と日本経済の真実だ」より
https://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-04-11

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『【日本を直撃する複合崩壊の正体/植草一秀】書評と要約』へのコメント

  1. 名前:扶侶夢 投稿日:2019/02/26(火) 10:48:34 ID:730ba9c76

    >②医療の自由化⇒金持ちだけ助かる。

    政策や立法というものの裏側は常に既得権者の有利に展開するような縛りで出来ているものですね。
    経済や権利の不平等は当然と見逃せても、医療や保健面だけは公平を願いたいものです。

  2. 名前:don 投稿日:2019/02/26(火) 12:36:23 ID:2170f842d

    扶侶夢さん、こんにちは~
    声の大きい人というか、金持ちというか強者というか、
    そういう人たちの代弁者ですね。

    弱者の味方は、反日政党ばかりだし。
    弱者の味方で、親日な政党が出てきて欲しいです。