仕事ができる人とはどんな人か?「採るべき人 採ってはいけない人」要約まとめ

この本すごくいいです。

伊賀泰代の「採用基準」並みにいい。おすすめ。深いことを言語化してくれてる。購入して息子たちに送ろうと思ってます。

対象者は、まず採用される人。どう振る舞うべきかわかる。採用する人。どう判断すればいいかわかる。それから、人を評価する管理職。どういう部分を評価すればいいかわかる(会社で管理職に支給される評価基準よりわかりやすい)。そして評価される担当者。どう仕事すべきかがわかる。なんだ、万人向けじゃないか。スゴイ。



ちょっと本書を一言でまとめてみます。

『やる気や誠実さを持った人を、面接で見わけるのは難しい。米軍でスパイを選抜する手法「アセスメント」がいい。仕事ができる人とは、「作業領域」ではなく「問題解決領域」で動ける人。作業領域はどんどん機械に取って代わられる。仕事力のある人とは、「概念化能力(考える力)」と「成果意識(大人の意識)」を持った人。その両方を持った人を見つけるには、「対象に向き合う力を持つ人」を採用すべし』

以下に読書メモを。

・アセスメントセンターとは何か
・仕事力とは何か
・仕事ができる人とはどんな人か
・概念化能力とは何か
・大人の意識とは何か
・対象に向き合う力とは何か

アセスメントセンターとは何か?

米国発の能力診断手法。スパイを選抜するために用いられた。評価したい人を1か所に集め、仕事の場面を想定したケーススタディに取り組んでもらう。訓練を受けた観察者が、その人たちの言動を分析して仕事のやり方を推察する。ケーススタディは特殊なストレスがかかる仕組みが備わっており、そのストレスが人の「振る舞い」や「取り繕い」を取り払い、その人の真の姿を浮かび上がらせる。

働く場所や立場が変われば、それまでうまくいっていた人であっても、まったく別の能力が求められる。未知の領域での生産性は、過去のいかなる経験や実績によっても担保されない。

仕事力とは何か?

仕事力が仕事の質を決める。英語力とか経理知識などのテクニカルスキルではない。仕事の質を決めるのは、持っている情報の質量ではなく、各自に固有のものとして備わっている情報を使う力。情報を生産性につなげる力を仕事力という。

この力は人の価値観や心の成熟度など、人の奥底に根付いているものと深い関係があり、「仕事人格」や「人間力」とも言い換えられる。経験知は保有してるだけでは生産性につながらない。経験知x仕事力=生産性。

仕事力とは人格と同じように、その人特有の個性。他人が教育で変えようと思っても、簡単に変えられない。変わる可能性があるとすれば、自分の弱みに気づいた人が、弱みが顕在化しないように自分を制御し続け、だんだん薄れていくことだけ。会社の教育は社員に知識を与えることはできても、社員の仕事力を変えることはできない。

仕事ができる人とはどんな人か?

仕事を質から2つに大別すると、作業領域での業務と問題解決領域での業務に分けられる。作業領域での仕事は定め教えられた段取りに従い、経験知に従って進む。判断や意思決定を行わない。

いわゆる非定型業務が問題解決領域。経験知をそのまま当てはめることができない。膠着や停滞の連続は当たり前で、アウトプットが出ないこともある。

仕事ができる人=問題解決領域で動ける人。
仕事ができる人に備わる仕事力には、概念化能力と、成果意識がある。



概念化能力(考える力)とは何か?

問題解決領域で動くには、考える力が必要。目に見える「具体」から、それまでにはなかった「新しい概念」を創りだすことを「概念化」という。

(具体的情報例)
競合他社がキャンペーンしていた、納期遅れで迷惑かけた、担当者の上司が変わった、今日は表情が固い、などなど。

(新たな概念)
もしかしたら他社との取引を検討してるのでは?

複数の情報を集めて統合すると、本質的な問題が浮かび上がる。

成果意識(大人の意識)とは何か?

求められているミッションを意識し続ける仕事力を成果意識という。課せられたものから意識が離れない人は、利他的なところに目的を置いて動いている。人のために責任を背負って動く人は、取り組みが持続的になり、集中力も高い水準で維持される。反対に利己的な人は、フェードアウトも日常茶飯事となる。

誰かのために動くのでなければ、取りくむ熱意を保つのは難しい。持続性や責任感という概念は、この成果意識の中に含まれる。自分勝手で幼稚な欲望にけりをつけ、自己中心的な自分から卒業した大人に備わる意識なので、大人の意識とも称される。

いくら概念化能力が高く自力で動く力がある人でも、その動く方向が組織の利益に向いていなければ、組織人としての生産性を期待できない。問題解決領域で動けるには、大人の意識と考える力の両輪が必要。

対象に向き合う力とは何か?

情報処理:反応が速い、理路整然などは見えやすいが、「概念化能力」は見えにくい。意識意欲:やる気やリーダーシップ、明るく元気は見えるが、「大人の意識」は見えにくい。見える能力は作業領域では通用するが、問題解決領域では通用しない。

「考える力」と「大人の意識」がそろって「見えにくい」となると、「人を見抜く技術」を採用関係者に伝授するのは難しくなる。

究極の視点の絞り込み先は、「対象に向き合う力」。人は考える意欲が喚起されると、まず対象に向き合おうとする。大人の意識も他者からの情報に向き合うことからスタートする。対象に向き合う力は起点になる。応募者が対象に向き合う力に欠けることがわかった時点で、応募者は仕事力に欠けるとわかる。

もちろん「考える力」や「大人の意識」がはっきり見える場面があれば、その情報はしっかりキャッチする。ちなみに著者は毎年2000人以上の学生をアセスメントするが、甘く見積もっても6割以上の人は、アセスメントの場で対象にしっかり向き合えていない。

対象に向き合わない人の心の奥で起こっていることは何か?自分のことで頭がいっぱいなので、肝心の対象に向き合えていない。自分を大きく見せたい、目立ちたい、嫌われないようにしたい、賢く見られたい・・・などなど。

まとめるとすれば、採用で求めるべきは「自然体の人」。

自然体のスナフキン

人目を気にすることなく、自立した心をもって選択と行動を繰り返せるということが、じつは大変に価値がある。

自立した心を持って動けるには、まず自分が自分を受け入れていることが必要。自分を受け入れていれば、自分を人と比べる必要はなく、人の目も気にならない。採用アセスメントにおいて、自然体という特性は、それが見えれば「ほぼ〇」。それに相反するものが多く見えれば「ほぼ☓」がつけれる。

他に類をみないほど集約的もの。

自己とは何者であるか 知りなさい♪
そこにあなたの 知りたい世界がある♪
自分の成すべきことは何なのか 心の欲する所に従って♪
あなたには 多くの与えるものがあるはずだ♪
君の微笑みは 太陽になる♪

Know Who You Are♪ byスーパートランプ
大好きな曲です。スマホの目覚ましにしてます。「自己とは何者で、私の成すべきことは何なのか?」創造性を引き出す2つの根源的な質問。ハーバードの試験によく出る定番問題。スタンフォードの人気講義にもある。

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