東京都の健康長寿医療センター研究所の、医学博士が書いた本。最新の学説やデータから導き出した、健康維持のための結論。
まず5行まとめ。
・1日トータルの活動量で、平均8000歩・うち速歩き20分あればよい
・連続の活動でなくてもよく、秒単位の活動で積算できる
・不足する日や週、月があっても問題なく、1年トータルで帳尻があえばよい
・筋トレやストレッチは、やってもやらなくてもよい
・運動貯金があれば、数日や数週間のお休みがあっても体力は一気に落ちない
以下、何点か補足します。
速歩きは日本人の場合は1分120歩程度。中強度の運動というくくりです。なんとか会話はできるが歌は歌えない程度。8000歩だけではダメ。中強度の運動20分を入れることが大事。
連続しなくていいというのは、イギリスの研究報告から。活動運動は数秒単位でよい。積算で1日8000歩、中強度運動が20分あればよい。運動を連続してやるのと、分けてやるのは基本的な健康効果は同じだそうです。
ただしメタボ予防、脂肪の燃焼には連続してやるのが効果的。なぜか?リパーゼという脂肪を分解する消化酵素がある。リパーゼの脂肪燃焼効果は体温と関係する。脂肪は温まらないと燃えにくいため、連続運動のほうが体温が上がり、脂肪の燃焼には効果がある。メタボだから運動は長時間連続とムリをして、ストレスをためない範囲で行うこと。
歩けない日があってよい。週、月、季節、年単位でクリアすればよい。やりすぎはよくないが、ある意味運動は貯金できる。
⇒読んでから1週間に5万6000歩を管理値としました。
⇒中強度の運動、1分120歩というのは120BPMのことです。このビートに合わせて歩くと中強度の運動です。120BPMの楽曲を参考に貼っときます。
以下にその他の読書メモを。
1日1万歩神話はなぜできたのか
日本人の平均摂取カロリーが1日300キロカロリー多くなっていた。300キロカロリーを歩くことで消費するには、およそ1万歩。300キロカロリー消費が一人歩きをして、やればやるほど健康に良いとの風潮が常識になってしまった。
日本人の平均歩数
1日の平均歩数は男性が約7000歩、女性約6000歩。つまり8000歩にはあと少し。8000歩&中強度運動20分という基準は、通勤や家事といった日常活動を含めてのトータル。
1万2000歩で健康効果は完全な頭打ちに
1万2000歩&中強度運動40分以上は、いくらやっても得られる健康効果は変わらない。それを大幅に超えて活動した人は、数年後には膝を痛めている。スロージョギングやインターバル速歩でも同じで、やりすぎは必ず膝を痛める。
筋肉や心肺機能は何歳でも鍛えられる。歩数が増えると、心肺、筋肉、骨は鍛えられるが、膝(関節・軟骨)だけは鍛えられない。膝を痛めたら、ヒアルロン酸、コンドロイチンを飲んでも治らない。
8000歩を超えると免疫力が低下する
1日8000歩・中強度運動20分を境に、それを超えると免疫力は低下に転じる。免疫の代表格であるNK細胞の働きが、8000歩・20分でマックスになり、あとは活動量の増加にともない、低下をしていきやすい。スポーツ選手がケガをしやすいだけでなく、病気にかかりやすいのはそのため。
体力、パフォーマンスはあっても、ギリギリまで体を酷使してるため免疫は落ちる。ウイルスや細菌への抵抗力が低く、よく扁桃腺を腫らしたりする。
とはいえ健康な人が1日1万2000歩いっても、一時的に免疫力が落ちるだけで、大した問題にはならない。
正座は膝によくない
うさぎ跳びが悪いのと同じで、正座は膝によくない。法事の席でも、あぐらをかくべき。
日本人の健康寿命は何歳?
日常生活を普通に暮らせる状態(期間)のこと。日本人は長寿だが、かならずしも健康長寿ではない。日本人の健康寿命は男性平均71歳、女性は74歳。
75歳以上の人の場合は、5000歩・7分半が基準になる。
活動量は貯金できる
運動生理学の教科書に書いてあることだが、運動から得られる健康効果は、積み重ねた分だけ休むと戻る。積み重ねた時と同じように、その逆のカーブを描いて落ちていく。つまりコツコツゆっくり積み重ねれば、ゆっくりしたペースでしか落ちない。一気には落ちないのだ。
ただし入院などで完全に横になると、筋力は急に減少する。宇宙飛行士が1週間で3割筋力が落ちるのと同じだ。
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