寿命を左右するのは性格だった。米国で80年に及ぶ研究結果

個人的には今年一番の新書。2015年新書大賞取らないかな。読後感が良かったです。

『健康食品やあらゆる健康法が花盛りだ。だが、薬でさえ寿命への効果が証明されたものは稀だ。寿命を左右する本当の要因は何か。それを知るには数十年もの研究が必要なわけだが、米国で行われた八十年に及ぶ研究結果が近年明らかとなった。

生活習慣を含め、あらゆる要因が調べられた結果、もっとも関係していたのは、若い頃の健康でも食べ物でも運動でもなかった。重要なのは性格であり、生き方であり、愛する人との絆だった。長生きする性格、生き方とはどんなものか。早死にのリスクを減らし、幸福な人生を送るには? 驚きの真実と珠玉の知恵に満ちた一冊』

2章に性格診断テストがついてました。とりあえずやってみると長寿性格でした。診断テストはメンドクサイのでふだんはあまりしないのですが、今回は気が向いたので。

お時間のある方はどうぞ。メンドクサイ方はもっと下段の読書メモからどうぞ。



長寿判定の性格診断テスト

<回答>
①とても当てはまる
②ある程度あてはまる
③どちらでもない
④あまり当てはまらない
⑤まったく当てはまらない

<質問>
1.いつも準備に怠りない
2.持ち物を散らかしっぱなしにする
3.冷たいもののことを考えると、本当に寒くなってしまう
4.詳細な計画を立てるのが好きだ
5.物事をごちゃごちゃにしてしまう
6.嫌な仕事は先にやるようにする
7.ときにはウソを吐かねばならないこともあった
8.物を元あった場所に戻すのを、よく忘れてしまう
9.秩序を好む
10.しなければならないことを怠ってしまう
11.予定や時間を守る
12.目標を達成しようとこだわる

<スコアの求め方>
子どものころの回答はやってません。大人になった今の回答だけやりました。

長寿判定の性格診断テスト

●1、4、6、9、11,12の6項目については、①から⑤をそれぞれスコア1から5として合計を求める(合計A)。

●さらに36から合計Aを引いた値を求める(合計B)。

●次に2、5、8、10の4つの項目についても同様のスコアで計算して合計を求める(合計C)。

●さらに合計Bと合計Cを足して、長寿性格判定スコアを求めてください。

項目3は意図的に挿入された無関係な項目で、項目7はライ・スケール(虚言尺度)と呼ばれる、その人の正直度を見る項目。項目7で⑤や④を選んだ人は、自分を実際以上によく見せようとする傾向が強く、回答の信頼性も劣り、割り引いて判定する必要がある。

<結果の判定>
スコアは最高点が50で、最低点が10である。

スコア37~50の人は長寿になりやすい性格
スコア25~36の人は平均的なレベル
スコア10~24の人は長寿を妨げる性格の持ち主

統計学的には優位な相関を認めているが、相関関数は0.15程度とゆるい相関。ただしゆるい相関といえど、侮れないことも確かだ。寿命には無数のファクターが関与する。そうした中で、たとえ、ゆるい相関であっても、統計学的に優位な相関が認められるということは、驚くべきこと。

少なくとも巷に溢れている薬や健康法よりも、あなたの寿命を左右することが裏付けられている。80年にもわたる追跡調査の結果、見出された関係というのは、好むと好まざるとにかかわらず、高い普遍性を持つ。



善人は早死にするは間違いだった

長寿ともっとも強い関係が認められたのは勤勉性だった。勤勉で誠実ないわゆる「善人」は、健康で長生きする。勤勉性にはいくつかの要素が含まれる。一つは慎重さや周到さといった危険回避。もう一つは節制に代表される自己制御。さらにもう一つは伝統や慣習を尊重し管理をきちんとする秩序愛。これら3つの要素が混じり合った概念が勤勉性。

勤勉性、誠実性の高い人のストレスの多くは、自分自身よりも周囲から生じる。そうしたストレスにうまく対処できるかどうかが、このタイプの健康を左右する。ある程度他者に寛容さや柔軟性、思いやりを備えている場合は、疲弊してしまうことを避けられる。

他者への寛容さや柔軟性はどういう人に具わるのか。愛着の安定性のある人に具わる。子供のころたくさん愛された人に具わっている。

孤独な科学者と社交的なビジネスマンはどちらが長生きか

科学者タイプのほうが長生きした。科学者は4分の3の人が70歳を超えて生きて、ビジネスマンタイプは3分の2の人しか70歳を超えて生きられなかった。社交性は長寿とは無関係。社交性と他者とのつながりは別物である。パーティの人気者であることと、本当の意味で親密で安定した絆を育むことは、まったく別次元のこと。

陽気な営業マンは短命

意外な結果であるが、陽気さや楽天的であることは長寿に関係ない。研究結果では早口でよくしゃべり、人気者の子どもは、将来営業マンや弁護士として成功する傾向がみられた。しかし彼らは平均より短い寿命であった。エンタテイナは、往々にして過酷な環境で育ち周囲を楽しませることでしか、自分の存在を認めてもらえなかったということが多い。基本的な安心感の乏しさを、周囲にサービスし、その存在価値を認めてもらうことで補ってきた。人一倍周囲に気を使って暮らしてきた人が、平均よりも長生きできないとしても何ら不思議はない。

陽気さの背後にある気分の波

子どものころとても陽気で快活で、周囲を楽しませるという特性は、双極性(バイポラリティ)の傾向がある。テンションの高い時期の合間に元気のない時期が挟まる。ごく短期間なので気にも留めない。双極性は過度の社交性と結びつきやすく、一時的には頑張るものの努力が継続しにくいため、勤勉性を損なう要因ともなる。母親との関係が不安定な子供には双極性の傾向がみられやすい。

ガンになりやすい性格、なりにくい性格

攻撃的な人、敵意の強い人は肺癌になりやすい。また相手に合わせ過ぎたり献身しすぎたりする人もガンにかかりやすい。とくに乳癌は子どもや夫に献身しすぎる人に多い。ガンになりにくい性格として興味深いのは、ヒステリー性格。別名演技性パーソナリティ。小さなことでも大騒ぎし、激しくアピールするのが特徴だ。都合が悪いとすぐに具合が悪くなり、少しでもショックなことがあると、過呼吸になったり、手足が動かなくなったりする。こうした性格の人はガンになりにくい。わずかなストレスでも人を巻き込んで大騒ぎすることは、ストレスから身を守る効果があるのかもしれない。

親の離婚は子供の寿命を5年縮める

経済的に不遇を味わいやすいこと以上に、親が離婚した子供は無謀な行動で命を落としたり、飲酒や喫煙、薬物乱用などのリスクが増える。また自分自身が離婚する危険が増えることも寿命にマイナスに作用する。たとえ親が離婚していても、良い伴侶に恵まれた人では、健康や寿命への悪影響を減らすことができた。

親の離婚は子どもの愛着の不安定さを招く。愛着は幼少期からの養育者との間に育まれる。離婚すると子供はもう片方の親への愛着を抑圧しなければならず、両方の親への思いの間で葛藤を抱える。この状況が愛着の安定にとって有害となる。

人を心から信頼し、安定した関係を結ぶ基盤となっているのが愛着という仕組み。そこが傷つけられると安心感や信頼感をもつことができなくなる。

不安定な愛着を抱えた人では、不安やストレスを感じやすく、人との安定したつながりによってそれらを上手に解消することができない。そのためアルコールやインターネット、過食、買い物、不特定多数の相手とのセッ○スなどに依存しやすく、結果的に寿命が短い傾向となる。



結婚と寿命

未婚者は既婚者より短命だが、離婚はもっと命を縮める。生涯独身だった偉人の名を上げると、ランボー37歳、宮沢賢治37歳、カフカ40歳、キルケゴール42歳、ゴーゴリ42歳、モーパッサン43歳、ボードレール46歳。独身生活は特に男性の寿命にマイナスに作用する傾向がみられる。

みんなが早死にするわけではない。アンデルセン70歳、ショーペンハウア72歳、カント79歳、ニュートン84歳と長生きした人もいる。彼らに共通するのは社交よりも、孤独な思索や読書を好む傾向が強かったという点。規則正しい生活、勤勉で、慎重で、節制した生活を送ったということも概ね一致している。またショーペンハウアを除いた3人は自閉症スペクトラムと言われている。ショーペンハウアは母親からネグレクトされたことによる回避性愛着障害だったと思われる。ニュートンとアンデルセンは、おそらく自閉症と愛着障害の両方を抱えていた。
(宮沢賢治)

宮沢賢治

どういうパートナーと結ばれるのが長寿につながるのか

安定した愛着を維持できるかどうかは、1年も付き合えば、ほぼ予測が立つ。1歳の時点での母親との愛着の安定性で、その後の愛着の安定性を7割がた予測できるのと同じ原理。1~2年付き合って、毎週のようにケンカをしたり揉めているようなら、その関係は長い風雪に耐えて維持されるのは難しい。維持されるとしても多くの犠牲を払う。性愛にしか関心がないようなら関係は暗い。思いやりのない態度、気まぐれな傾向、過度に依存的な傾向、過度にクールな傾向も不安定な愛着を示唆する。一緒の暮らしや子供を持つこと、ともに取り組む将来の夢などに関心が発展していけば、二人の間に愛着が育まれていると言える。

また年齢差では、男性は若い女性と結婚することが寿命に好影響を及ぼし、女性では年齢の近い男と結ばれることが健康に良い。詳細データは本書にて。

人を生きさせるものとは?

なぜ孤独な人は寿命が短いのか。愛されることはあまり寿命に関係がなかった。愛することに寿命を延ばす効果があった。それは人の助けとなり世話をするということだ。離婚した男性が早死にするのは、家族を愛し世話をする機会を失ってしまったことによる。

わが子を見ただけで、父親の中でバソプレシンという愛着ホルモンの分泌が高まる。わが子の世話をすればもっとそれは高まる。バソプレシンはストレスや不安を減らし意欲や勇気を高める働きがある。

研究の対象者の中でもっとも長寿を享受したのは、人にやさしく接し、思いやりがあり、進んで人の助けになろうとした人たちであった。

ペットを飼うことは寿命を延ばす効果は認められなかった。やはり人とのつながりが重要。

わたしは愛を信じる♪
愛は真実で 愛は強く 愛は続く♪

ディキシーチックスで I believe in love♪

「9.11」のとき放送禁止になった歌。ブッシュ批判が叩かれ、彼女たちの戦いは始まりました。CDは焼かれ殺人予告が相次いだ。世界中でトップニュースだったので記憶にも新しい。

Dixie Chicks – I Believe In Love

レスポンシブ広告

シェアする