日本経済は2018年のいま、好景気だそうです。
短期、中期、長期、超長期の4つの循環がすべて上昇方向のベクトルで一致する、「ゴールデンサイクル(黄金循環)」に突入していると。
著者は三菱UFJモルガンスタンレー証券、景気循環研究所長の嶋中氏。
4つの循環とは何か?波動です。
①キッチンサイクル
短期循環。在庫投資。周期4.9年。2019年まで上昇。上昇局面は平均2.7年。
②ジュグラーサイクル
中期循環。設備投資。周期9.6年。2018年まで上昇。上昇局面は平均4.7年。
③クズネッツサイクル
長期循環。建設投資。周期25.6年。2025年まで上昇。上昇局面は平均13.5年。
④コンドラチェフサイクル
超長期循環。インフラ投資。周期56年。2028年まで上昇。上昇局面は平均28年。
著者は言います。③と④の2つのサイクルが上昇で重なった時期は過去2回あったと。「坂の上の雲」の時代と、「ALWAYS3丁目の夕日」の時代です。1904年~1916年と1951年~1968年。
そして今回が3回目。2025年まで歴史的勃興期にあたる。それが本書のタイトルの意味。
日本の景気は上昇をしていくのか?カギは大阪万博にあるという。
目次は以下。
序 章 「第3の超景気」に位置する日本経済
第1章 複合循環とは何か
第2章 最長景気達成も、五輪後は21年にかけ深い後退に
第3章 23年に底入れし、設備投資の波は27年に向け再上昇へ
第4章 東京五輪・大阪万博に向けて上昇する建設投資の波
第5章 56年ぶりの上昇軌道にあるインフラ投資の波
第6章 米国・中国の複合循環
終 章 期待できる日本経済の第3の歴史的勃興期
補論1 景気循環論への3つの疑問
補論2 経済学説にも周期性が
以下に3つの読書メモを。
五輪の後は大阪万博
日本政府は2025年国際博覧会で大阪を立候補した。競合はパリ郊外、ロシア中部のエカテリンブルク、アゼルバイジャンの首都バクーの3都市。パリは辞退の方向。2018年11月の投票で開催国が決まる。大阪万博の会場は人工島の「夢洲」。
開催が決定すれば、2020年東京五輪とセット開催。64年東京五輪&70年大阪万博の再現となる。開催期間は2025年5月3日~11月3日の185日。
開催にかかる費用は会場建設費が1250億円、運営費が800億円、入場者規模は3000万人。経済波及効果は約1.9兆円。
2019年消費増税がある。2020年東京五輪終了後、景気は2021年11月ごろ谷となる。大阪万博が獲得できれば、いざなぎ景気の時と同じようなことが2025年7月にかけて発生する可能性が高い。2027年に向けてリニア景気も控えている。大阪万博が日本の命運を握っている。
今後の日本関連イベント予定
18年9月:自民党総裁選
18年11月:万博開催都市決定
18年11月~12月:政府は2019年5月1日からの新元号を選定
19年3~4月:統一地方選
19年4月:天皇陛下退位
19年5月:新天皇陛下即位、改元
19年6月:大阪G20
19年夏:参院選
19年7月:アフリカ開発会議(横浜?)
19年9月:ラグビーW杯
19年10月:消費税10%引き上げ
20年7月:東京五輪
景気循環論に対する3つの批判パターン
景気循環論には批判も根強い。批判には3つのパターンがある。
①構造論
過去については循環論があてはまったが、複雑な世の中になったので構造的な理解が必要だ。
⇒構造的変化も循環する
②人口論
日本社会は人口が減少している。これまでのような循環論は困難。
⇒「デフレの正体」とか「未来の年表」の説得力はすごい。しかし以下表のように1870年からの125年間、日本の人口と実質GDPの推移をみると、人口と経済の成長はほとんど関係がない。設備投資により1人当たりGDPを成長させればよい。
③変動論
現実の経済は循環論のような単純な繰り返しではない。もっと複雑な変動。
⇒変動論も循環論に吸収されてしまう。
「日本政府は2025年国際博覧会で大阪を立候補した…..」
9/29 サンフランシスコで、大阪祭があります….
http://sf.funcheap.com/osaka-matsuri-introducing-osakas-food-culture-sf/