「MAKERS 21世紀の産業革命が始まる クリス・アンダーソン」要約まとめ

世界で最も影響力のある100人にも選ばれたクリスアンダーソンの新作。

ぼくにとっては知らないことがぎっしりつまった、とても面白い1冊でした。

読むと誰でも簡単に起業家になれる気がします。実際にウェブの発達でハードルは低くなっています。巻末の付録には、CAD、3Dプリンタ、3Dスキャンなどのフリーソフトや推奨機器、やり方などの入門情報が書かれています。そのとおりやればニッチなロングテールのメイカーにあなたもなれるかも。やる気とニーズのあるアイデアさえあれば。

米国の初版が10月2日で日本語版初版が10月25日です。タイムラグもあまりありません。そういう意味では最新情報です。前作「フリー」以上の驚きがある。

以下に読書メモを。

もの作りは国家の基本

国力を維持しようと思えば、製造の拠点を持たなければならない。サービス経済は好調だといっても、製造業が消えれば国民全員が銀行員か、マクドナルドのアルバイトか、旅行会社の添乗員にならなければならない。マスコミはソフトウェアと情報産業ばかりに注目するが、そこから生まれる雇用は人口のほんの数%にすぎない。ビットの世界は刺激的だが、経済のほとんどはアトムでできている。

未来の予測は誰にもできない

コンピュータはむかし大学と企業と政府にしかなかった。これが家庭に入り込むとしたらどう使われるか?IBMからベル研究所まで、さまざまな企業が社内の精鋭を集めて、未来の家庭でどのようにコンピュータが使われるか議論した。出た結論は、レシピの管理だった。しかしアップルⅡとIBMのパソコン発売で、本物のパーソナルコンピュータが普及し始めると、次から次へとさまざまな用途が生まれた。それは大企業の精鋭が個人向けの用途を生み出したからではなく、人々が自分で用途を見つけたからだ。

オープンイノベーション

オープンイノベーションが強力なのは、ぼくらの周りにある「隠れたエネルギー」を利用しているからだ。いわゆる「知力の余剰」だ。「いちばん優秀なやつらは、たいていよそにいる」というビルジョイの法則は、「スカイプが隣の机」の時代になり、利用できるようになった。ジョイの言葉は、ハイエクの言葉を言い直したものだ。ハイエクは「知識は人々のあいだで不均質に分散している。組織は分散した知識に手を伸ばすことができない」と1945年に主張している。

iphoneの価格

2011年の調査ではiphoneの価格の半分以上がアメリカに留まっていることがわかった。部品の大半は中国で生産されるが、そのメリットをもっとも享受しているのは米国経済だ。アップルはデザイン、製品管理、マーケティング等の高給な職種を米国内に留めている。

中国の役割は一般の人が思うよりもはるかに小さい。その上ますます増加する物流コスト、関税などの政治リスク、それらに備えるための予備の在庫のコストを考えれば、製造業のアジアへの移転はピークに達したと考えていい。

人件費コストについて

現在、自動車産業における人件費の割合は、自動車総費用の15%に満たない。工場のオートメーションがさらに進めば、製品中の人件費の割合はさらに下がる。するとこれまでのような、海外移転による人件費削減の効果はなくなる。

著者の経営する会社の工場の賃金の違いは、サンディエゴ工場は月給2400ドル。製造委託してる中国の巨大製造企業(ipadなんかも製造してる)フォックスコンは月給400ドル。サンディエゴから車で20分のメキシコのティファナ工場は月給1200ドル。

しかしメキシコ工場と中国への委託では製造コストの1%、小売価格の0.5%の違いにしかならない。要はロボットが製造できる製品なら、人件費の安い場所に移動するメリットはしだいに失われていくし、ますますそうした製品は増えている。

キックスターター

企業家の新しい資金調達方法。銀行やベンチャーキャピタルとは違う。銀行は担保や利子が必要だし、ベンチャーキャピタルは会社の所有権を、それなりの割合で求めてくる。クラウドファンディングでウェブで人気のキックスタータは、資金援助といってもただの寄付ではなく、先行して商品を予約するような方式。キックスタータのルールは以下。

・期限を決める。資金調達に時間制限があることを参加者に知らせる。
・目標調達額を決める。(この金額が集まらなければ起業ができない)
・期限内に目標額に達しなければ、プロジェクトは流れる。
・寄付金の金額に応じて何段階かの異なる見返りを約束する。

資金提供者にはリスクもある。起業家が製品をつくる保証もないし、いいものとも限らない。基本的には慈善活動に寄付してるのと同じだ。

2012年5月までの3年で、キックスタータでは4万7000のプロジェクトがスタートし、その4割を超えるプロジェクトで1億7500万ドルの資金が寄せられた。その中の1万プロジェクト以上が目標額を達成し、6000万ドル起業家に渡されている。そのほとんどが、数千ドルの音楽、映画、そのほかのアート系プロジェクトだが、成功したもの作りプロジェクトも数百件にのぼる。

金銭的な部分以外でも起業家のメリットは大きい。市場調査に役立つ。もし目標額に到達しなければ、結局その起業は失敗する可能性が高いので、自己資金を失うリスクを避けれる。また衆目のもとで資金調達することで、さまざまなメディアの関心が集まり、それが無料のマーケティングになる。

クァーキー

2009年に設立された急成長しているプラットフォーム。アイデアを広く一般からウェブで募りそれを商品化する。大手ホームセンターにはクァーキー専用の陳列棚がある。仕組みは以下。

・だれでもアイデアを提案できるが、それには10ドルかかる。いたずらや冷やかしを排除するため。

・コミュニティのメンバーは好きなアイデアに投票し、コメントを書き込む

・いちばん人気のアイデアは次のデザインの段階に進む。発案者とクァーキーの社員の両方がデザインを提出し、もっとも人気のあるデザインが選ばれる。

・さらに投票によって商品名、キャッチフレーズ、機能等のブランディングが決まる。

・クァーキーのエンジニアが選ばれたデザインを製造に適した形に修正し、工場と協力して生産する。

・クァーキードットコム上の売上の3割と、小売店売上の1割はコミュニティに還元される。

・そのうち35%は発案者にいき、残りは改良に貢献したり、商品化されたデザインに投票した人たちに分配される。

エッツィー

2005年に開設されたサイトで1700万人の会員が利用してる。2011年は5億ドル相当の売買が行なわれた。ここではどんなものが売買されているのだろう。手作り品。それだけだ。

エッツィーでは、すべての出品物はなんらかの手作りでなければならないと定められている。工具を使うことはOKだ。売り手には作品ひとつにつき4ヶ月間出品するのに20セントの出品料と売上の3.5%が課金される。

著者のクリスは82年にREMでベースを担当してました。レコードデビュー前に、プロデューサーが言います。ジョージアに同じ名前のバンドがいる。

物好きなライブハウスのオーナーがライブバトルを提案し、バンド名をかけて対決します。
結果、負けた彼らは現在のREMに「エゴスラビア」と改名させられたようです。
I think the first song they played was Radio Free Europe. The crowd went silent,
mouths hung agape, and when the last chord was struck, the room exploded. Crap.

REM覚えてますか?当時アズテックカメラの隣にLPが並べられてました。カレッジチャート1位のREM。へ~アメリカにはカレッジチャートっていうのがあるんだ。なんかよくわからないけどスゴイな~と思ってました。個人的にはアズテックカメラのほうが好きでしたが。

クリスはかっこいいベースラインを弾いてます。いまはスキンヘッドですが、当時はフロックオブシーガルズのようなニューウェーブな髪型です。EgoslaviaでLost Song♪

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