ミュージックマガジン創刊50周年特集第2弾、AOR(ヨットロック)ベスト100。
19年3月号のミュージックマガジンは、AOR名盤100特集です。AORベスト100は、40人の識者が1位から30位まで順位をつけたものを、ミュージックマガジン編集部が集計してベスト100を選出しました。
40人全員が30位まで何を選んだか、個々人のセンスもうかがえます。
ボズとかスティーリーダンとかマイケルフランクスが上位に来ると、な~んだで終わります。個人的に最もニヤッとしたのは池上尚志。1位がティモシー・シュミットの「プレイン・イット・クール」でした。曰く「リッチ感と下世話さの同居」。
AORお好きですか?
長くブログやって音楽好きな人とコメント欄で交流すると、AORの定義が人によって違うことに気づきます。
ぼくの思うAORは、エアサプライ、クリストファークロス、ボズスキャッグス、JDサウザー、マイケルフランクスあたり。いわゆるウエストコーストロックとかソフトロック。
人によってはTOTOをAORに分類してる人もいる。個人的にはTOTOってハードロックかプログレハードちゃうの?って思ってましたが。
目次
AORとは何か?
日本版wikiのアダルトオリエンテッドロックとは
『AORは1980年代の日本で音楽用語として用いられた。ボビー・コールドウェルの「Heart of Mine」が1988年に紹介される際、「Adult-oriented Rock」を「大人向けのロック」と解釈された。ボズ・スキャッグスやボビー・コールドウェル、ルパート・ホームズ、スティーリー・ダン、クリストファー・クロス、1974年以降のシカゴなどが該当する。音楽性の近い音楽用語としては、クワイエット・ストーム、ソフト&メロウ、アダルト・コンテンポラリー、アーバンなどがある』
ミュージックマガジンの長谷川&松永対談による解説
・ある時代の流行を象徴した音楽。76年から82、83年くらいまでリアルタイムのブームがあった。
・アメリカに端を発した音楽だが日本で定義が拡大解釈され、やがて独自のジャンルとして定着した。
・サウンドのスタイルをおおまかにいえば、ブルーアイドソウルの成熟型でありつつ、ジャズやスティービーワンダーなどの影響も受けていて、スタジオミュージシャンの演奏による16ビートのダンサンブルさが主体。
・日本人ってAOR的なメジャーセブンスの響きが大好きなところがあって、本場でAORのリリース量が減っても日本制作でアルバム作ったりした。
・海外のレコード屋さんにはAORコーナーはない。ソフトロックコーナー。それも日本とは違う意味のソフトロック。ブレッドとかを指してよくそういう。
・海外ではマイケルフランクスとかケニーランキンは、ジャズの棚にあったりする。
ヨット・ロックとは何か?
US版wikiの和訳。ヨットロックとは?
・ヨットロックとは、ウエストコーストサウンド、アダルトオリエンテッドロックのこと。
・ソフトロックで識別される幅広い音楽。
・1970年代後半から80年代前半に商業的に成功した音楽。
・引用元ジャンルは smooth soul, smooth jazz, R&B, funk, discoなど。
・サウンドの特徴は、凄腕ミュージシャンによる高品質なサウンド、クリーンなボーカル、キャッチ―なメロディ。
・ビートよりもメロディを重視。グルーブしててもスムースさを維持する。
ヨットロックのアーティストリストは以下。
『10cc、エアプレイ、アンブロシア、スティーブンビショップ、エリックカルメン、クリストファークロス、ネッドドヒニ―、ドゥービーブラザース、ロビーデュプレ、イーグルス、ドナルドフェイゲン、フリートウッドマック、ジェイグレイドン、ホール&オーツ、ドンヘンリー、エイミーホランド、ルパート・ホームズ、フレディハバード、アルジャロウ、ニコレット・ラーソン、リトルリバーバンド、ケニー・ロギンス、マイケルマクドナルド、ニールセン/ピアソン、パブロクルーズ、ペイジズ、ロバートパーマー、プレイヤー、キャロルバイエルセイバー、シール&クロフツ、サンフォードタウンゼントバンド、ボズスキャッグス、ジョンセバスチャン、スティーリーダン、TOTO、ジノヴァネリ』
ミュージックマガジンの長谷川&松永対談による解説
『ヨット・ロックとは、アメリカにおけるお笑い発のムーブメント。愛もあるけど小馬鹿にしている要素がすごくある。ダサい恰好をしたあまり格好よくないミュージシャンが、スムースジャズのような音楽をやってるのになぜか格好いいみたいな。そういうバッドテイストぎりぎりなところを楽しむというか。
「ヨットロック」はAORの名曲誕生秘話をデタラメな再現ドラマで描くというニッチな番組だった。2005年に始まって8話まで続いた。そのあとも2話続いて、2007年と2010年に1話ずつ作られて完結した。
その後深夜番組にクリストファークロスが出たりして再評価の現象が起きた。ドナルドフェイゲン、マイケルマクドナルド、ボズスキャッグスのユニット、デュークスオブセプテンバーがツアーに出た時も、豪華客船がキービジュアルに使われたり、みんながその流行に乗っかった。その最終的な帰着点が、マイケルマクドナルドとケニーロギンスが参加したサンダーキャットのアルバム「ドランク」。
ヨットロックの主人公はあの2人なので、番組がないと2人を呼ぶという発想は生まれない』
ヨットロックの第1話貼っときます。
AOR名盤20位~11位
以下にサブスクのAmazonMusicアンリミテッドを貼っていきます。作品レビューはAmazonでご覧ください。会員は2クリックで即聴けます。
・20位:スティーブンビショップ/ケアレス
・19位:クリストファークロス/クリストファークロス
・18位:マークジョーダン/マネキン
・17位:ザフィフスアベニューバンド/ザフィフスアベニューバンド
・16位:マイケルマクドナルド/思慕
・15位:ボズスキャッグス/ミドルマン
・14位:Tom Misch / Geography
・13位:スティーリーダン/ガウチョ
・12位:Hirth Martinez / Hirth From Earth
・11位:ルパートホルムズ/パートナーズインザクライム
AOR名盤10位~1位
アマゾンミュージックアンリミテッドのアルバムを貼っていきますので、会員の方は2クリックで即聴けます。
・10位:ボビーコールドウェル/ボビーコールドウェル
・9位:ポールサイモン/時の流れに
・8位:サンダーキャット/ドランク
・7位:ニックデカロ/イタリアングラフィティ
・6位:マイケルフランクス/アートオブティ
・5位:ドナルドフェイゲン/ナイトフライ
・4位:ドゥービーブラザース/ミニットバイミニット
・3位:スティーリーダン/彩
・2位:ボズスキャッグス/シルクディグリーズ
・1位:ネッドドヒニー/ハードキャンディ
いかがでしたでしょうか?
AOR好きな人は色々と文句あると思います。ネッドドヒニーは1stやろとか。まあミュージックマガジンはもともとAORと疎遠な雑誌なので。
以下にベスト100で目についたアルバムを。
AOR名盤21位~30位
・ジョニミッチェル/コート&スパーク21位
・ジェームステイラー/JT22位
・シャーデー/ダイヤモンドライフ24位
・エアプレイ/エアプレイ25位
・TOTO/TOTOⅣ27位
・JDサウザー/ユアオンリーロンリー28位
・ジムメッシーナ/オアシス29位
AOR名盤31位~50位
・マイケルフランクス/スリーピングジプシー32位
・リッキーリージョーンズ/浪漫35位
・ホール&オーツ/ヴォイセズ36位
・TOTO/TOTO41位
・スタイルカウンシル/カフェブリュ44位
・ペイジズ/ペイジズ46位
AOR名盤51位~70位
・ケニーロギンス/ナイトウォッチ51位
・フリートウッドマック/噂52位
・ノラジョーンズ/カムアウェイウイズミー53位
・ライ/ウーマン54位
・ダフトパンク/ランダムアクセスメモリーズ58位
・ラーセンフェイトンバンド/ラーセンフェイトンバンド60位
・クリスレア/オンザビーチ62位
・アースウィンド&ファイア/アイアム67位
AOR名盤71位~100位
・ローラアレン/ローラアレン76位
・エアサプライ/ロストインラブ80位
・アルジャロウ/ブレイキンアウェイ83位
・ボビーコールドウェル/キャリーオン91位
・カラパナ/カラパナ98位
ほかにホール&オーツは3枚入着してました。
まとめというか感想
ノラジョーンズの1st、フリートウッドマックの噂、ダフトパンクのランダム~はもちろん名盤なんですが、それぞれジャズ、ポップ、EDMかと思います。AORランキングに入れるべきなのか?入れるとしたら名盤度が高いので(3枚ともグラミー賞最優秀アルバム、ということはその1年で世界で一番素晴らしいアルバム)もっと上位になるべきかと。
何をもってAORとするか、人によって基準が違うし、線引きが難しいですよね。そういうバラツキがランキングに反映されたのかなと。
逆にこれこそAORかと思われる、スニーカー、ファイアーフォール、シルバー、あたりは入れて欲しかった。ワディワクテルやらリックマロッタの浪人とかプレイヤーなんかも。POCOの80年前後のアルバムもAOR度が非常に高い。
アメリカのwikiだったらリトルリバーバンドもヨットロックにがっつり入ってるので、これこそヨットロックの王道というか、個人的には1位かな。
<リトルリバーバンド/クールチェンジ>
人生でぼくに欠けているのは 1人で過ごす時間♪
美しい海をセイリングすると 特別な気持ちになる♪
クジラや海鳥はぼくの仲間で ヨットの上はとても心地よい♪
これまで多くの人に恵まれ 整った人生だった♪
いま周りにいる 素晴らしい人々を ぼくは失いたくない♪
だけどぼくは 変わらなければいけない 変革の時が来たんだ♪
身勝手かもしれない しかし今 タイム・フォー・クール・チェンジ♪
少し意訳気味ですが。ちなみに「クール・チェンジ」はオーストラリア南東部の海風のこと。夏の暑い日に寒冷前線がやってきて、急に気温が10度ぐらいに冷え込んで、雷雨となる。人生の分岐点とオーストラリアの風をかけている。1980年USビルボード10位。2001年にはオーストラリアのオールタイムベスト30ソングに入った。発売当時の邦題は「クールな変革」。
(関連記事)
ロック名盤の誕生秘話。グリンジョンズ回顧録「サウンドマン」より
https://book-jockey.com/archives/7174
ストーンズのおすすめアルバムは?オリジナル34枚を年代順に解説
https://book-jockey.com/archives/6571
ホテルカリフォルニアは、なぜダブルネックギターなのか?
https://book-jockey.com/archives/180
こんにちは。AORは、コンピレーションアルバムで、たまに聞きます。ゆったりできますよね。
ルパート・ホルムズの「Escape 」は、リズムもいいし、歌詞が面白いですね。
大好きです。