なぜ海外の無電柱化は進み、日本は電柱だらけなのか?

外国人観光客が、珍しい日本の景色としてカメラレンズを向けるのは3つ。パチンコ屋、立体駐車場、そして林立する電柱と絡み合う電線だそうです。

いやぁほんと、電線なくしてほしい。この前出張で行った山口県。佐々木小次郎と岩国城をカメラに同時に収めようとすると、電線が写るんです。台無しですよね・・・

まずは観光地から改善してほしい。

無電柱革命

この本の概要をざっと説明すると、世界の先進国はほぼ無電柱。景観が美しい。日本も無電柱にすべきだけど、お金がたくさんかかる。そう簡単にはいかない。世界ができて日本ができないのは理由がある。電柱にもメリットはある。しかし自民党を中心に、無電柱の法案成立にようやく政界が動き出した。

東大の松原教授と自民党の小池百合子が共著してます。国交省、NTT,電力会社にもインタビューし、さまざまなデータや技術課題を解析した、論文のような一冊です。

安倍総理を発起人とした議員連盟の発足、決議採択、最終ページには法律案まで書かれています。もう動き出してるんですね。なんでADSLやめるのかと思ってましたが、メタルケーブルやめないと、電線の数が減らない。すべてがつながっています。

以下に読書メモを。

世界と日本の無電柱化率

無電柱化率とは、道路の総延長内での割合を指す。日本の電柱は1987年に3007万本、2012年に3552万本。近年でも毎年7万本のペースで新設している。通信回線等の増加による。日本の無電柱化率は大阪市で5%、東京23区で7%。

世界に目を向けると、ロンドン100%、パリ100%、ベルリン99%、香港100%、NY83%、台北95%、ソウル46%、マニラ57%、ジャカルタ35%、北京34%・・・
無電柱革命



地震国は地中化は不向きなのか

地震国こそ地中化すべき。阪神大震災の時、電柱の停電率は10%、地中線は5%。ただし復旧工事は電柱のほうが楽。どこでトラブルがあったか一目瞭然なので。

複雑な監督官庁のからみ

道路に埋めるのは国交省の道路局が法や計画を立てる。電線や電柱の所有者は電力会社、電話会社、CATVなど。監督官庁は電気線は通産省、電話線は郵政省。道路は国道、県道、市道で管理者が異なる。

つまり電柱の廃止には官庁レベルで三省がかかわる。埋設深さは経産省、占用場所は国交省、電線距離基準は経産省と総務省。

国交省が計画しても、実行されるには電線所有者と電柱所有者、道路管理者、さらにその監督官庁との調整が必要になる。そのうえ、工事による通行止め補償などで、地元との利害調整も必要。

それだけの関係者間で埋設の費用や手間の分担が合意されて、はじめて電線は埋設され無電柱化は進む。

海外の無電柱化はなぜ進んだのか

たとえばロンドン。ガスはもとより管が地中化されていた。これに対して電線は架空できるが、それでは安くつきすぎて競争条件が公正でない。そこで電気法が制定され、架空線が禁止された。

NY。19世紀末のマンハッタンは架空電線が張り巡らされていた。その電線は裸線。関電事故が続発した。安全のため行政主導で地中化が進んだ。

日本は焼け野原からはじまり、経済復興が最優先された。アメリカと違うのは裸線ではなく被覆コーティング技術が完成していた。安全は担保され、地中化には向かわなかっった。

電柱のメリット

安い。トラブル補修が簡単。工事期間が短い。光回線が展開しやすい。ファイバートゥザホーム(FTTH)、光ファイバーを家まで引き込んでる率は、海外のほうが低い。イギリスでは光回線化の遅れが問題となり、法律で決め国主導で5年間限定で電柱を立てている。地下だけだと自由がなく、光回線を増やすためにはやむをえない。



無電柱化のコストはいくらか

新規の電柱禁止にかかるコスト。事業者側がはじき出した現状ベースでのコストは以下。電力負担分だけで4350億円/年、国や地方自治体を含めた追加コストも大きく、総額で年間2兆円ほどのコスト負担が必要になる。もちろん電力負担分は、総括原価方式なので、利用者負担となる。

つづいて無電柱下費用は以下の表。

無電柱革命

日本は4.7億円/1kmで、アメリカは7000万円、フランスは3000万円。ちなみに日本の道路実延長は120万km。

4億円/km×120万km≒480兆円ですか。フランス並みにコストダウンしても36兆円はかかりますね。

10年で完遂するとしてざっと4兆円/年、さきの2兆円と足して年間6兆円の国民負担。毎年国民負担が5万円/1人・年ですかぁ。4人家族で20万円/年。けっこうな負担額ですよね。フランス並みのコストダウンができるかどうかも怪しいし。。。

無電柱化はしたいけど、その前にやらないといけないことはたくさんあるような気もします。原発稼働して、債務超過しそうな電力会社の体力をつける。そうしないと廃炉すらできない。はじめの一歩はそこからでしょうね。

いろいろと考えさせられる、面白い一冊でした。

電信柱といえばこの歌。大阪で生まれた女♪

BORO – 大阪で生まれた女18 フルバージョン
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